◎ 意 見 陳 述 書
2018年7月25日 大阪高裁
控訴人 志 水 博 子
控訴人 志 水 博 子
私は、「君が代」起立斉唱の職務命令にはどうしても従うことができませんでした。命令を出す根拠となった、国旗国歌条例は、教職員から教育の自由を奪い、ひいては子どもの教育権を侵害すると考えます。
かつて軍国少女であった母から「教育は恐ろしい」と何度も聞かされました。在日の生徒に対し、戦前と同じような、「同化」すなわち日本人化教育に手を貸すことはできません。
条例下、校長は、「処分」者を出さないことだけを考え、生徒の中には「先生、口パクしたらええやん」という者さえいました。誰もが条例ができた以上は命令に従わざるを得ないと考えるようになったわけです。しかし、それこそがおかしなことではないでしょうか。命令であれば従うことは絶対なのでしょうか。
原判決では、教育基本法の「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛する」という表現と、条例の「伝統と文化を尊重し、それらを育んできた我が国と郷土を愛する意識の高揚に資する」という表現は同じ内容と判断されています。しかし、両者は明らかに違います。
条例が教育の目的としてあげているのは「意識の高揚」なのです。意識の高揚とは、「気分が高まる、精神が興奮状態となり昂ぶった状態」を指します。
「意識の高揚」―まさに戦時、教員は子どもを愛国の意識の高揚に導き戦争に加担したのではありませんか。私の母が見事な軍国少女であったのは「国を愛した」からではありません。教育によって「国を愛する意識の高揚」が図られらたからです。
条例は、教職員の国歌斉唱により子どもの「意識の高揚」を目的としたものであり、憲法が禁じている領域に踏みこんでいます。
また、不起立2回目で出される「警告書」は、3回目の「君が代」不起立は免職があり得ることを示しています。「君が代」不起立3回でクビもあり得ると否が応でも認識させられることになったわけです。
原判決は、本件戒告処分は懲戒処分であり、職員基本条例27条2項の分限処分とは無関係であり憲法19条違反には当たらないと判断されています。
しかし、職員基本条例29条1項に基づく「警告書」の、1、2は懲戒処分、3は分限処分、よって1、2と3は無関係であるなどという詭弁が通用するでしょうか。
そもそも職員基本条例第八章第2節として、地方公務員法にはない〈職務命令に対する違反〉の項目を設け、その第27条において、1項の懲戒処分から2項の分限処分に転換されていることこそが、「君が代」不起立者の排除を企図していることを立証しています。
まさに西原意見書にあるように、職員基本条例は国歌国旗条例と一体となり、特定の思想の教職員を排除するものとして機能しており憲法19条に反します。控訴審では西原意見書について真正面から判断されんことを望みます。
『グループZAZA』(2018-07-30)
https://blog.goo.ne.jp/zaza0924/e/d089316211ea2c8a0ed48e63a9ba54f7
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます