◎ 2018.2.16D-TaCの大阪市教委との「協議」報告(公開)
<出席> 市教委…S(指導部中学校教育担当)、N(指導部小学校教育担当)、O(総務部広聴担当)、D-TaC…19人
<時間> 15:30~17:30(17:40)
<場所> 大阪市役所地下1階第1共通会議室
<「協議」の進行>
1.「2月16日『協議』に向けた質問」読み上げ→回答(1項目ずつ)
2.「君が代」指導についての質疑・確認(ここまでで1時間)
3.教職員への「君が代」強制についての質疑・確認(ここまでで1時間40分)
4.教育委員会への要望等自由に発言
5.「協議」の確認と要請
<「協議」の内容・確認>
1.「君が代」指導について
協議にあたっての質問事項【「各校において適切な教育課程を編成することが大切」という回答について、
私たちは、『「君が代」にかかわる歴史的事実を正しく伝え、どう考えるかは児童・生徒一人ひとりであるとする立場での指導内容に転換すること。児童・生徒に「君が代」起立・斉唱が強制でないことを伝えること。』という私たちの要請内容に沿った指導を各学校が行った場合、大阪市教育委員会はそれを「適切」と判断すると理解していますが、そのような理解でいいですか。】に対して、
最初のS総括指導主事の回答は、「学習指導要領の趣旨に沿ったもの=『適切』とは認識していない」であった。
それに対して、私たちは、
① 市教委が「教育活動の一部または全部に参加できない意思を示す児童・生徒がいた場合、その思いを尊重するとともに、指導にあたっては、児童・生徒の実態をふまえながら、参加のあり方について、当該児童・生徒の気持ちに寄り添った丁寧な対応を心がけることが大切である」と答えているのは、『「君が代」斉唱は、児童・生徒の「思想・良心の自由」にかかわる問題である』との認識に立ったものであり、そのことは、これまでに市教委は認めていた。
② 『「君が代」にかかわる歴史的事実を正しく伝えること』は、当然であり、子どもの権利条約に「自分に関係することについて正確で十分な情報を受け取り、意見を表明する権利」が規定されていることからも実践しなければならないことである。
③ 『どう考えるかは児童・生徒一人ひとりである』については、学校の指導内容がどうであろうと最終的にどう考えるかは児童・生徒一人ひとりの問題であるという当たり前のことを言っているに過ぎない。
④ 児童・生徒にとって、「君が代」起立・斉唱が強制でないことはこれまでも市教委が認めてきたことであり、『児童・生徒に「君が代」起立・斉唱が強制でないことを伝えること』は、子どもの権利条約の規定からしても当然である。
を主張し、『「君が代」にかかわる歴史的事実を正しく伝え、どう考えるかは児童・生徒一人ひとりであるとする立場での指導内容に転換すること。児童・生徒に「君が代」起立・斉唱が強制でないことを伝えること。』のどこが学習指導要領の趣旨に沿っていないというのかと追及した。
結果、学習指導要領をふまえて、各学校が『「君が代」にかかわる歴史的事実を正しく伝え、どう考えるかは児童・生徒一人ひとりであるとする立場での指導内容に転換すること。児童・生徒に「君が代」起立・斉唱が強制でないことを伝えること。』は問題ないとの市教委の立場を確認した。
子どもたちの「君が代」に対する認識について、私たちの中学生ビラまき活動での経験から、「君が代」の「君」が「天皇」をさすことを知らない児童・生徒がほとんどである現実にふれ、市教委の認識を問うたところ、総括指導主事の口から、「歴史的にはそういう事実があったと認識している」と、現在の「君が代」の解釈では、『「君が代」の「君」が「天皇」をさすわけではない』かのような発言が飛び出した。
私たちは、「君」は「象徴天皇」、「君が代」は「我が国」と解釈する国旗国歌法制定時の政府の「君が代」解釈について説明し、戦前、大日本帝国憲法下で「天皇陛下のお治めになる御代は、千年も萬年もつづいておさかえになりますやうに」と教えられた「君が代」の扱いについても説明して、歴史的事実を伝える必要性について再度確認した。
大阪市内の中学校において、運動会の練習で、グループごとに「君が代」を歌わせ、OKが出たところから休憩を許可するというような人権侵害が行われていた事実にふれ、市民団体との「協議」で表明した立場を学校現場に全く伝えていない市教委の姿勢を批判した。
そして、何らかの方法で、本日の確認が学校現場に伝わるようにしてほしいと要望した。また、「学習指導要領」を絶対視する市教委に対して、最も優先すべきは、子どもたちの人権であるべきだと訴えた。
2.教職員への「君が代」強制について
協議にあたっての質問事項【(国旗国歌条例の趣旨としてふれられている)教職員の起立・斉唱が高めることに役立っている「教育の効果」とは何を意味しているのですか】に対する回答は、
改正教育基本法第2条5「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」という教育の目的と、学習指導要領解説「入学式や卒業式は,学校生活に有意義な変化や折り目を付け,厳粛かつ清新な雰囲気の中で,新しい生活の展開への動機付けを行い,学校,社会,国家など集団への所属感を深める上でよい機会となるものである」「このような意義をふまえ、入学式や卒業式においては,『国旗を掲揚するとともに,国歌を斉唱するよう指導するものとする』こととしている。」という入学式・卒業式での国旗掲揚・国歌斉唱の位置づけにふれた上で、「教職員の『起立・斉唱』が児童・生徒の模範となることによる教育効果である」であった。
その回答は、『2017年2月3日付教育長通知は、児童・生徒に対する率先垂範の教育活動として、教職員に「君が代」斉唱時の「起立・斉唱」を命じるよう学校長に指示するものである』という指摘を認めるものかとの再度の質問に対して、総括指導主事は「その通りだ」と認めた。
大阪市の教職員の卒・入学式での起立斉唱は、「慣例上の儀礼的所作」に過ぎないのではなく、愛国心を育て、国家への所属感を深める位置づけをもって行われる「君が代」起立・斉唱を、きちんとした姿勢で大きな声で歌うという姿を児童・生徒の見せることによる教育活動であるということである。
私たちは、教職員に対する「君が代」起立・斉唱強制がもたらしている人格破壊、教育荒廃、児童・生徒の人権侵害という教育に対する悪影響について説明・指摘し、教育等への問題が生じているという指摘があるなら、その指摘内容を検討し、その結果によっては、条例等の適否も検討していくというのが正しい行政のあり方ではないかと追及したが、「問題が生じているとは認識していない」との回答であった。
しかし、「君が代」指導の責任的地位にある人が、現在の政府解釈で、「君が代」の「君」が「天皇」であることも知らないまま、「学習指導要領」の規定を機械のように繰り返している教育委員会事務局の姿こそ「日の丸・君が代」強制による教育荒廃の姿を表している。
今回の「協議」をステップに、「君が代」強制が教育に与えている影響を掘り下げ、国旗国歌条例・職員基本条例の不当性を広く明らかにして、撤廃の運動につなげていきたい。
<「協議」至る経過>
2017.12.15 「教職員の「君が代」起立・斉唱義務づけ、および、児童・生徒への『 君が代』指導にかかわる要請と質問」(要請事項2項目、質問事項5項目)提出
2018.1.25 大阪市教委「回答」
2018.2.13 「市教委回答にかかわる2月16日『協議』に向けた質問」を提出
2018.2.13 大阪市教委が「要請と質問」をホームページにアップ
2018.2.14 大阪市教委が2.16『協議』についてプレスリリース
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます