一昨日、作業員が始めて立ち入り一号炉の水位計調整作業をした結果、水位は燃料棒の下であることが判明した。つまり、核燃料は全てむき出しになり全溶融していたことになる。この話が3月時点で判っていたら、再臨界が心配で世界中の専門家は心臓マヒを起こして死んでいた、かもしれない。
幸いにも挿入済み制御棒と一部注入ホウ酸水の効果で上手く核燃料とボロンが混ざってくれたと見え、再臨界は起らずに済んでいる。これが、もし再臨界を起こしていれば溶けた核燃料は高速中性子と猛烈な熱を発しながら圧力容器、格納容器の底を破り、誰も近づけない、誰も止められない状態になっていたかもしれない。まさに破滅の瀬戸際だった事になる。我々は運が良かった。
未だに解せないのは、これだけ大量に冷却水を注入していて、その水が何処に流れ出しているのかがハッキリしないことだ。普通に考えれば圧力容器、格納容器を経てタービン建屋地階へ、と思うが、保安院や東電の発表によると格納容器圧力は保全されている事になっている。先日も窒素封入を試している位だ。しかし、水位計の間違いの例を見てしまうと発表している圧力も当てにはならないとの疑念がわく。注入水が流出している以上、圧力保全されている筈は無いからだ。つまりこれは、炉心が大気開放されている可能性を示している。事故処理は今後も、困難を極めるだろう。