もう原発問題について書くのは止めようと思っていたが、どうにも腹の虫が収まらないので、また書かせて頂く。
イタリアから帰ってぼけた頭に入ってきたのが海水注入55分間中断問題だ。TVでは国会で菅首相が中断指示したとか、しないとか自民党の質問に答えている。私はいったいなにが問題なのか判らなかった。つまり、55分間の中断が意味する物理的意味がである。この事によってメルトダウンが進み、中断が無ければ問題が起らなかったとでも言いたいのだろうか? などとぼんやり考えていた。
ところが昨日になって判った事実は海水注入中断は無く、官邸の意向を慮って中断指示を出した東電本店を無視して原発所長である吉田氏が注入を継続していたと言うことである。
まず、技術的な観点から見ると海水注入継続は正しい措置と言える。海水注入により再臨界の可能性が増える事は無く、中止すれば炉心が加熱することは明らかで、中止を指示した本店は明らかに判断ミスを犯している。
その上で、報道では”東電は、報告の遅れた吉田所長の処分を検討する。”と書いている。
もし吉田所長がYESマンで、本店の指示通り注入を中止し、炉心過熱により圧力容器の底が抜け水蒸気爆発を起こし、チェルノブイリを越える放射性物質を撒き散らしていたら皆さん満足だった様だ。
まったく、ふざけるんじゃない!と言いたい。日本を救ったのは吉田所長の、この判断だったのかもしれないのだ。
東電の本店は全くの判断ミスを犯している。官邸は海水注入で再臨界の可能性があるなどと全くの素人丸出しである。安全委員会の斑目氏は再臨界の可能性はゼロでは無い、などと無責任丸出しで保身と責任逃れで精一杯の無様を晒している。吉田所長が居なかったら、どうなっていたことか。
私はエンジニアとして彼の判断、行動を支持し、日本の技術者魂は生きていると感じる。その彼を処分するなどという事になれば、私は日本を見限る。