この石、滋賀県の箕作山という山の山頂付近で拾ってきたただの石ころですが、湖東流紋岩という名前が付いています。
この石を調べると火山火砕流の軽石や火山灰が再溶融して出来た岩石で溶結凝灰岩というものらしいです。しかし、現在の滋賀県には火山は有りません。
滋賀の琵琶湖の東には湖東平野が広がっています。この平野の景観を特徴付けているのが、ところどころにある孤立した山です。石ころを拾ってきた箕作山もそうですし近江八幡の八幡山、安土城址のある安土山など、平野の所々にポコンと山があります。
これ等の山々は主にこの湖東流紋岩で出来ています。
実はこの湖東流紋岩の分布は約7000万年前の中生代白亜紀に、この地域で巨大カルデラ爆発が起ったことを示しているのです。この地形は湖東コールドロンと呼ばれ直径60kmの阿蘇山カルデラに匹敵する巨大カルデラ火口があったということが近年の研究でわかってきました。恐竜が地上を闊歩していた頃です。ちなみにその恐竜の時代は6000万年前のK-T境界層を境に終わり哺乳類の時代・新生代が始まります。阿蘇山クラスのカルデラ爆発が起れば地球規模の気候変動を引き起こします。この湖東カルデラ爆発によりおそらく地球は10年近く寒冷化したものと思われます。
グーグルアースで見るとその中心部分に奇妙な地形がある事が解ります。
丸く山に囲まれて中央に森があります。奥の狭隘部はかって佐々木六角氏の支配下にあり尾張から京へ上る上洛の際に必ず通らなくてはならなかった関門です。今は新幹線と国道八号線と旧中仙道が交わりながら通っています。中央の森は万葉集にも歌われている老蘇の森で老蘇神社があります。周りの山は全て湖東流紋岩で出来ています。
この地形はクレーターのように見え、中央の森は中央丘の跡では無いでしょうか。これが湖東クレーターのほぼ中央に見える奇妙な地形です。
大変参考になりました。ありがとうございます。