「印象派」の画家はとても人気があるらしく、ここ「メトロポリタン美術館」には、想像を絶する数の作品が展示されています。
そのなかでも日本人にとても人気があるのがこの「ルノワール」ではないでしょうか。
その「ルノワール」の作品と言えば、「パリ」の有名な美術館にしかないものとしていままで思っていましたが、ここにはたくさんの「ルノワール作品」が展示されているのには驚きます。
以前、グログでも紹介しましたが、この作品は「ルノワール」が世にでるきっかけになる作品ですので、改めて紹介したいと思います。
「シャルパンティエ夫人とその子供たち」というタイトルのこの作品は、「パリ」の「サロン」で入選し、その後「ルノワール」のもとには注文が舞い込むようになったそうです。
「上流階級の家族」の幸せな一場面を描いたこの絵は、それまでの絵画のあり方を180度変えたような作品になっています。
「ルノワール」といえば、「女性像」が多く、特に「裸婦像」は有名な作品として我々の心に届いていますが、その「裸婦像」からは、「幸せと優しさ」をまじえたメッセージが伝わってきます。
いわゆる「楽しむ絵画を描く」という一点にしぼり、いかに充実した創作を行っているか我々に伝えようとしている作品に見えます。
「楽しいから描く」という単純な動機で描かれているように見えるこうした作品は、我々に「絵画の喜び」を教えてくれます。
「美しいもの」しか描かない、という徹底した姿勢がそれらをいっそう強いメッセージにしているように思えます。
しかし、そうは言っても「ルノワール」の創作への苦しみはなかったわけではなく、むしろいろいろな変遷を経てこうした人々を感動させえるものになっています。
この人物画で説明すると、輪郭線の処理がとても柔らかくなっているのがわかると思います。
また「肌」の色の中に、いろいろな色が混ざっていることもわかると思います。いろいろな色が混ざると当然にごってくるということになるのですが、それがないのは「ルノワール」の「探究心」の賜物だと思います。
また、バックの処理にしてもよく見るといいかげんに描いているように見えますが、こうした描き方のほうが人物をより強調できることを発見したように思います。
流れるような線と色の交差が織り成すその美しさに、思わずため息がもれるような気分になります。
絵の中に「悲しみ」を表すところがかけらもないこうした作品群から、彼は「幸福な画家」と呼ばれています。
しかし、現実には40代後半から「リューマチ」に悩まされ、「車椅子」に座っての制作が続くようになります。
そうした「ハンディ」をばねに、こうした「幸せな作品」が生まれたのかも知れません。
人の「内面」はとても複雑で、表面だけでは理解できない世界があります。
そうしたことを私に教えてくれたのも、この「ルノワール」という大画家の存在ではないかと思っています。