最近、「旅」をする人が多くなり、絵画の世界でも「旅」をテーマにしている作品が増えています。
この方も「イングランド南部の田舎の風景」というタイトルがありますので、「イギリス」へ行ったことを思い出しながら描いたものと思われまうす。
しかし、「異国の情景」の中に、日本と違う視点で見ているのは良くわかります。
歴史を重ねたような「民家」の中に、「赤」と「青」の車が対比して描かれていますが、その対比の中に「田舎」の存在を確認したのかも知れません。
ただ、日本の現実を通り越して、どこか「ファンタスティックな世界」を創りあげ、絵本の中に作者がいるような錯覚に陥ります。
「ニュージーランドの旅」とあるこのパステル画も、異国で見た色彩がとてもさわやかなものとして目にうつり、その際立った「コントラスト」がいつまでも残っているような作品になっています。
湖から見える向こうの氷河の「白」と、こちらの湖と空の「青」の色が強烈に脳裏に残り、思わずパステル画になったような作品になっています。
「北海道」の景色のように見えますが、この作品も同じように「色の対比」がとても強烈に残り、それを絵画の世界へ移行しているように見えます。
「夕焼け」でしょうか、「太陽」があたって「オレンジ色」に見える部分と手前に残る影の部分の「青」が「補色」という対比で描かれ、よりいっそう「インパクト」の強い風景画になっています。
こうした「非日常の光景」から見えてくる「色の美しさ」はいつまでも脳裏に残るものではないでしょうか。
これとは逆に「日常」見慣れている風景の中に、いつしか自分と「同化」している色彩があることにも気づきます。
こうした絵画の制作を通じて、改めて「故郷」や「身近な風景」の良さを再確認することはよくあることだと思います。
そこには「郷土愛」のようなものが見られ、それがいつしか体の一部となり、絵を描くことにより、それらを再発見することは、とても楽しい作業ではないかと思います。
「廃船」というものを通じて、自分の過去を振り返る「ノスタルジア」のようなものが感じられるのはこの作品です。
「過ぎていく年月」の中に、人の「存在」というものの意味を問いかけ、自分たちの過去を「具現化」しようと試みる世界に浸っているように思えます。
このように「旅情」も「こころのふるさと」も同じ「心の旅」を意味していて、そこに流れるものは似ているように思えます。
人には「旅」はとても大事なものになっていますが、それはひとえに「心を動かす」ことのできる環境に自分が置かれると言うことを意味しています。
しかし、場所は変化しなくとも「心が動く」ということは、同じ意味を有しているわけで、「絵画」の基本につながっています。
「絵を描く」と言うことは、とりもなおさず「心を動かす」ことにほかなりません。
「流れる川はにごらない」だったと思うのですが、「流れている川」からは「生命」を感じることができ、そこから発する「エネルギー」は我々に感動を与えてくれます。
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