ケイト・モートン「忘れられた花園」
1913年のオーストラリア。ロンドンから着いた客船に一人の少女が小さなトランクとともに取り残されていた。少女は港湾関係の仕事をする男の家に引き取られネルと名づけられて育てられるのだが・・・・。成長したネルに養父が告げる。おまえはロンドンから来た船にいたんだ・・・と。ネルによるイギリスでの家族探し、それはネルの死後、遺産という形で孫娘カサンドラに引き継がれ、ロンドン、コーンウォールへと読者を導いてくれる。ネルの時代、カサンドラの時代、そしてネルの親たちの時代・・・。いく層にも重なる物語であるが、読者を困惑させることは無い。美しい自然に囲まれたコーンウォールの館の庭に造られた立ち入ってはならない花園。バーネットの「秘密の花園」を下敷きにしてるものだが、バーネットも実際に登場するサービス付き。
もっと違う結末でも良かったんでは?とか、あの気味悪い伯父さんのエピソードがもっとあったら!とか、だいたい養父が溺愛するネルに「お前は本当はうちの子じゃないんだよ」なんて言うかいな!とか、色々と茶々入れたくなる場面もあるのですが、面白かった。お勧めします。装丁もグッド。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます