英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

市民球場最後のナイター

2008-09-29 | 日常
別にカープのファンでもないし・・・
今ではプロ野球の順位なんかにも興味ないのですが・・・
でも、市民球場が無くなる!となると話は違います。

土曜日の公式戦ラストナイターに家族3人で出動です。

立錐の余地も無い外野スタンド。
もちろん内野も満席です。
内野の名物応援おじさんも今年限り?
(新球場では内野での私設応援団は禁止されるのです)



2階席もぎっしり。
レフトスタンド上段に微かにヤクルトファンらしき影が確認できます。


7回の風船ショー。
日本シリーズで優勝したかのような雰囲気です。


そごう百貨店の隣にある市民球場、
世界遺産原爆ドームのまん前にある市民球場、
入り口を入って、階段をトントントンと上がると
すぐにプレイが見れる市民球場、
カープうどんが美味しかった市民球場・・・
スタンドの席はとっても狭かったけど、
売店がトイレ臭くってちょっと嫌だったけど・・・

残して欲しかったよね。

これぞ赤貧チルドレン

2008-09-22 | イギリス

フランク・マコート「アンジェラの灰」

どうしようもない「のんべー」の父親。ようやく見つかった仕事も、給金が出たらそれでお仕舞い・・・・・。有り金全部、一晩で飲みつくしてしまうのだ。泥酔して帰ってくれば、子供たちを叩き起こして、整列させてはアイルランドの歌を放歌し、アイルランドの英雄たちを称え叫ぶのだ。
内地植民地として、イギリスから徹底的に搾取され続けたアイルランド。じゃがいも飢饉に代表される困窮から新大陸への移民が急増。成功を夢見てニューヨークに移り住んだ一家を押しつぶす貧困の毎日・・・、たまらずアイルランド、リムリックに帰ってはみるが、父親の酒癖は治るはずもなく・・・・・。雨が降れば、周囲の汚物と共に水に浸かる借家。それでもたまに日が差す二階の部屋は、家族にとっては「イタリア!」なのだ。
「極貧」とか「赤貧」とかでは済まされない状況が、どこか恍けた語り口で展開していきます。国を捨てても、アイルランド人たるは止めない。この国の人たちの強さは、最低の男として描かれる「のんべー」な父親が、酔っ払うたびに子供たちに熱く語るアイルランドへの「想い」・・に支えられているのかもしれない。

欧州連合(EU)の世論調査機関ユーロバロメーターがまとめた統計では、1回に飲む酒量の1位はやはりアイルランド人だとか。スタウトを10パイント以上はざらだと聞きますが・・・。さすがギネスのお国です。


スペシャルなカレーを召し上がれ

2008-09-09 | イギリス

ジュンパ・ラヒリ「停電の夜に」


9篇のお話からなるこの本。「病気の通訳」「本物の門番」「ビビ・ハルダーの治療」以外はアメリカで生活するインド系の人々が描かれています。同朋意識が強く、時におせっかいで人懐っこい、でもとっても寂しがり屋さん・・・・というインド系の人々の日々の暮らしの中に潜むちょっとしたすれ違い、孤独感、そして喪失感が、静かなタッチながらもユーモラスに生き生きと描写されていきます。

・「停電の夜に」

・「ピルザダさんが食事に来たころ」

・「病気の通訳」

・「本物の門番」
 可笑しいけど、とっても哀しいお話。老婆の語る昔話は、あながち嘘ではないのかも・・・。

・「セクシー」

・「セン夫人の家」
 私はこのお話が一番胸に残りました。インド人がお魚大好きとは知らなかった。

・「神の恵みの家」

・「ビビ・ハルダーの治療」
 インドの大地では、これぐらいの奇跡は日常なのでしょうか。

・「三度目で最後の大陸」
最後のお話はラヒリの家族の経歴がベースになっています。遠くインドから離れ、世界のあらゆる場所で異邦人として、でもその地にしっかりと根を下ろして生活するインド系の人々の自信と誇りのようなものが滲み出る作品です。
後半に出てくる一文にちょっとニンマリしてしまいます。
「私だってロンドンへ行ったばかりのときはそうだった。地下鉄でラッセルスクエアへ行く道を覚え、初めてエスカレーターなるものに乗り、新聞売りの呼び声すら聞き取れず、車掌が各駅で「隙間に注意」と言うのさえ、一年ものあいだわからなかった。」
私の体験と同じ・・・。英語教育をある程度受けた人間でも分かり辛いのですね。

ジュンバ・ラヒリは1967年、ロンドン生まれ。両親ともカルカッタ出身のベンガル人。幼少時に渡米し、ロードアイランド州で育つ。


それにしても、この文庫版の表紙デザインとクレスト・ブックス版との違いは・・・・・・。ここまでグレードを落とさなくても、ってな感じです。多様なスパイスで構成されるラヒリの作品(インド料理)には、やはりこちらの方が、いいですね。



ジミー・ペイジ

2008-09-04 | イギリス

北京オリンピックの閉会式といえば、もう1人変なおじいさんが大汗かきながらギターを弾いていましたね。そうジミー・ペイジです。何故に彼が選ばれたかは別として(おそらく誰も引き受けなかった??)、4年後はいったい歳幾つかい?って感じでした。いったいどれだけの人が彼を認識できたのでしょうか。
引っ張り出したレコードは、ツェッペリンのアルバムとしては一番売れた4枚目のアルバム。ジャケットのどこにも文字が入っていない名無しのアルバムとして有名です。A面だけかけてみても、その完成度は相当なものです。曲の展開なんて三ッ星レストランのコース料理の様式美にも匹敵するかのような・・・・。ガツン!ときて、グィーンとなって、高められて、昇華してしまう。


Black Dog

Rock and Roll

The Battle of Evermore

Stairway to Heaven

Misty Mountain Hop

Four Sticks

Going to California

When the Levee Breaks


3曲目の「限りなき戦い」は「指輪物語」後半の「ペレンノール野の合戦」を題材にしているという説もあります。




ボリスくんです

2008-09-03 | イギリス

気がつけば9月。昨年近所でまったく鳴かず心配した「つくつく法師」もようやく鳴き出し、秋はもうすぐですね。北京オリンピックもなんだかずっと昔のことのように思えます。そのオリンピックの閉会式。栄えあるオリンピック旗を引き継いだのが、ロンドン市長のボリス・ジョンソンでしたが、彼の風貌にはちょっと笑ってしまいました。髪はぼさぼさ。お腹はメタボでズボンはずりさがっている。そして、たぶん癖なのでしょうが、上着のポケットにせわしなく手をつっこんだりして・・・。ジェントルマンにはちょっと見えないよねえ。ここで言うロンドン市とは大ロンドン市(Greater London Authority)でして、なんと市長(Mayor of London)は2000年に初めて設けられた役職なのです。ボリスくんはその2代目。ややこしいのですが、古くからいる、シティ・オブ・ロンドン(現在金融街のあるロンドンの発祥の地)の市長は、Lord Mayor of Londonと呼ばれ、まったく別のものです。(こちらは名誉職として残っている役職)
すでにマイナス成長局面に入ったと言われるイギリス経済ですが、この4年間、どう変わっていくのでしょうか。

ロンドン市(GLA)のHPは→



うなぎのゼリー寄せ・・

2008-09-02 | イギリス

R.D.ウィングフィールド「フロスト気質」

7年間も待たされれば、おのずと期待は膨らむ一方。そしてその期待をまったく裏切らなかったフロスト警部に、まずは万歳三唱を!心なしか老け込んだ感のあるフロスト警部ですが、そのお下劣、セクハラ満載のトークの炸裂にただただ吹き出すばかりです。嫌味な上司マレット署長も数段バージョンアップして登場します。今回の脅し文句は「経費削減!」。負けじとフロスト警部、署長の車の助手席を・・・(くくく、ネタはばらしませんよ)。手柄を片っ端から横取りする、ムカつくキャシディ警部代行や、上昇志向が特に高く、でも実はなかなか良い女っていうリズ・モード部長刑事などの新顔も登場してデントン署は24時間の大車輪・・。
個人的には、誘拐犯が何故に指を切断するという猟奇に走ったかの理由が、いまいち明らかにならなかったことが少し残念だったことと、リズ刑事とバートン刑事の顛末がちょっと知りたかったところ・・・。
残る未訳は2作・・となったのですが、くれぐれも7年毎の刊行なんてやめてくださいよね。最後の「killing~」が出るのが14年後だったら・・・、娘が成人してるじゃないですか!
深夜の捜査本部にフロストが差し入れするフィッシュ・アンド・チップスとか、署の食堂で終日提供されるイングリッシュ・ブレイクファストなど、イギリス度もいっぱいですが、最後の打ち上げパーティーで登場する「うなぎのゼリー寄せ」には、さすがのフロストも「オエッ!」ですか・・・。ロンドン名物と言われるこの「うなぎのゼリー寄せ」。日本で言う「煮凝り」ですね。うなぎをぶつ切りにして塩ゆでし、そのまま冷やせば、うなぎから出たゼラチン質で固まるというものです。食べたことはありませんが、見た目も味も絶対に「オエッ!」だと思うのですが・・・。

これぞ「うなぎのゼリー寄せ」→(人間の食べ物に見えないところがロンドン風?)