英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

ミュージカルは楽しい(2)

2006-11-30 | イギリス
89年ロンドン訪問時に「メトロポリス」「レ・ミゼラブル」を楽しんだ私は、以来訪問の度にミュージカルを観に劇場に繰り出しました。
90年は「スターライト・エクスプレス」
91年は「スターライト・・・」と「ブラッド・ブラザーズ」
92年は「スターライト・・・」と「A Tribute To The Blues Brothers」
何で「スターライト・・・」を3回も観てるか(笑)というと、特に気に入ったという訳でなく、いつ行っても当日劇場窓口で良い席が手に入ったということと、その時々に同行した者が観に行きたいとリクエストした結果です。ローラスケートを履いて走り回る「機関車やえもん」というか「機関車トーマス」的スペクタクルで、ちょっとお子ちゃま向けですけど、アンドルー・ロイド・ウェーバーの曲はちゃんと耳に残り、分かりやすさと共にそれなりに感動できます。
「ブラッド・ブラザーズ」は、双子として生まれた兄弟が運命にもてあそばれて最後に悲劇的な結末を迎えるという筋。今でも上演が続いている超ロングラン作品です。ただ十分楽しむためにはかなりの英語力が必要かも。
「A Tribute To The Blues Brothers」は、ミュージカルというよりは映画を下敷きとしたライブショーという感じ。途中、客席といっしょになってのパフォーマンスに大いに笑わせてもらいました。

そして00年訪問時には念願の「オペラ座の怪人」を。
96年以降急速に普及したインターネットのおかげでこういったチケットの入手が本当に便利になりました。以前日本でエージェンシー通して入手しようとして、法外な手数料を取られていたことから考えると夢のようです。 Ticketmasterなんかを利用すれば事前に席の番号も分かるし、郵送手数料さへ払えば事前に日本でチケットを受取ることも出来ます。
で、この時の席はオーケストラストゥール1F席の一番前左。「オペラ座の怪人」の場合、大シャンデリアの落下という見せ場がありますので、一番良い席は2F席の一番前あたりなのですが、舞台が近い分演出で使われる炎の熱やピストルの火薬の臭いなどがリアルに感じられます。
舞台の進行は本当に見事!冒頭のオークション会場の煤けた雰囲気から一気に絢爛なオペラ座の舞台に変わる展開、クリスティーナの清楚な歌声、第2幕の仮面舞踏会のシーンの迫力、ラストに追い詰められた怪人の哀しい叫び・・・、圧倒的なロイド・ウェーバーの音楽・・・、英語なんて一切分からなくても、ぐいんぐいん物語の中に引き込まれてしまいます。
映画版の怪人はちょっと変態ぎみでしたが、この舞台で怪人が目の前3mで切々とクリスティーナへの想いを歌うラストには身体が震えました。
幕が降り、カーテンコールも終わり、観客が退場する間もオーケストラボックスの楽士達は演奏を続けてくれます。一番前の特権としてボックスを覗き込みながら演奏を聴きます。最後の一音まで堪能して、もう一度ブラボーを楽士達に。彼らのニッコリとバイバイを受け止めて早くもがらんとした劇場を後にしたのでした。


そして、01年訪問時には「マンマ・ミア」を観たのですが・・・
この時、とんでもないスキャンダルを目撃するはめに・・・。その話はまたの機会にしましょう。

紅葉狩り

2006-11-26 | 日常

広島で紅葉と言えば宮島!ですが、市内西部の三滝寺も紅葉の名所として有名です。むしろ観光地スレしてないのでゆっくりと晩秋の風情を楽しむことができます。
寺の入り口は大きな山門があるわけでもなく、さり気なく境内となるのですが、そこから紅葉に彩られた小道が奥へ奥へ本堂へと続きます。
今年は紅葉がどこも遅かったり、週末には雨が続いたりしてなかなか楽しめませんでしたが、これで満足できました。


梵鐘は誰でも撞くことができます。

「飛び梭」って知ってる?

2006-11-16 | イギリス
先週は娘の4歳の誕生日。プレゼントはドイツ製織り機「イネス」にしました。このイネス、子供向けですが、工夫すればそこそこの物も織れる優れ物です。経糸を大人が張ってさえあげれば4歳児でも何とかここまでは自分で出来ます。(写真では、横糸を強く編みすぎて幅が狭くなっています。)
横に渡された綜絞(イネスでは棒の溝になっている)を回転させ経糸を上下互い違いにさせた間に横糸を巻きつけた「梭(ひ)」を通し、「筬」(イネスでは櫛)で横糸を押さえる。次に綜絞を動かし経糸の互い違いを逆にして、また「梭」を通して「筬」で押さえる。この繰り返しです。

私「この横糸を通す棒が『ひ』って言うんだよ。知ってる?」
娘「ひ?」
私「そう、『ひ』なんだよ。昔ジョン・ケイって人がいてね。1733年この『ひ』を改良して『とびひ』ってすごい物を発明したんだよ。」
娘「とびひ?この前『とびひ』でママと病院に行ったよ!」
私「それは皮膚病の とびひ・・・。その『飛び梭』の発明によって織布における生産性が格段に高くなり、結果として綿糸不足を招いたんだよ。」
娘「・・・・・・」
私「そこで紡績業における改革が始まるんだよ。ハーグリーブズが発明したのがジェニー紡績機。アークライトが発明したのが水力紡績機。そしてクロンプトンが発明したミュール紡績機などで綿糸不足は一気に解消すると共に逆に糸の生産過剰を引き起こしたんだな。」
娘「テレビ観ていい?」
私「ちょっと待ちなさい! そこで今度はまた織り機の改良が必要となり、そこで出てきたのがカートライトが作った力織機なんだよ。こういった技術発明と蒸気機関の登場によってイギリスはいち早く工業化を達成し、特に綿織物は国民経済の主役としてイギリス帝国発展の基盤となるんだね。こういった流れをいわゆるインダストリアル・レボリューション、産業革命って言うんだよ。わかった?ちなみに産業革命って言葉を最初に使ったのは歴史家アーノルド・トインビーなんだよ。このトインビーは文明史家として有名なトインビーの叔父さんなんだな。面白いでしょう?」
妻「ねえ!4歳児に向って、さっきから何小難しいこと並べてるの!せっかく編み機で楽しく遊んでるのに!」
私「どうせ高校行っても世界史なんて履修しないかもしれないから、今のうちに・・って思ったんだけど」
妻「4歳児に履修させる必要は あ・り・ま・せ・ん!! 私も世界史習ってないけど、生活に不自由は感じません!」

世界史教育をちゃんと受けていれば、日々の生活が彩られ、子供の誕生日プレゼント一つでも知的興奮を体験できるのに・・・・・これが歴史教育の現実であり、限界なのでしょうか。

小説≦史実?

2006-11-15 | イギリス
かつてのウガンダ大統領、イディ・アミンって知っていますか?
身長2メートル、ボクシングのアフリカ・ヘビー級チャンピョン、独裁者で30万人を虐殺し、人肉も食した。スコットランド国王を名乗り、アントニオ猪木との異種格闘技戦興業も計画された。
そんな男が治めるウガンダでの物語が、

ジャイルズ・ フォーデン「スコットランドの黒い王様」

1971年1月、駆け出しの医者である主人公は僻地医療に夢を抱き空路ウガンダに降り立つ。そこから始まる冒険談は、先入観なく読めば、小説のようなノンフィクションに見えてしまう。いや、これはやはり小説だ。小説だけに許された奇想天外が史実に裏打ちされてひたすらリアルに展開するのです。
クーデターにより登場した狂人指導者アミン。その主治医となる主人公。目の前で繰り広げられるアミンの異常な行動と虐殺の日々。国際社会を翻弄するアミンの言動に、主人公は恐れおののき、ひれ伏しながらも彼に愛着に似た感情を持っていく。
6年のリサーチが生み出した赤道直下の土地にまつわる熱いリアルな描写は、ちょっと寒い秋の読書にぴったりかも。

このアミン大統領、72年にはウガンダ経済を実質的に牛耳っていたインド系イギリスを全員国外追放とします。この時イギリスに逃れた一家の話が、かつて紹介しましたパトリック・ニート作 「シティー・オブ・タイニー・ライツ」です。

風邪にご注意!

2006-11-10 | 日常
朝晩冷え込むようになり、紅葉もだいぶ色づき始めました。
先週金曜日は、チケットをいただいたので、原田真二のコンサートに行ってきました。この時期なのに神社の境内を使っての野外コンサート・・・。防寒の用意をせずに行ったので寒い寒い・・・。別にノリノリの訳でもないのに、寒いので立ち上がって飛び跳ねておりました。当初2時間の公演時間予定にもかかわらず、原田真二、地元ということもあってか、サービス満点で結局アンコール入れて3時間15分の寒い寒い、熱いコンサートでした。
これがいけなかったのか、連休2日目から身体に悪寒が・・・。でもこの日は家族で帝釈峡の国民休暇村のログハウスにお泊りの予定です。かなり無理してゴルちゃんを走らせて目的地に向います。日が暮れてからは、星空の下でのバーベキュー。これまた追い討ちをかける様に寒い、寒い・・。布団の中でウンウン唸りながら朝を迎えてしまいました。
次の日は本館前の芝斜面でソリ遊び。娘と急斜面を何度も往復すると汗だくに・・・。これで復活!体調が回復しました。紅葉の名所、神竜湖は昼前から大渋滞。こりゃだめだ!ということで上帝釈に向いました。何とか駐車場に入れて、渓谷を雄橋まで歩きます。この雄橋。自然が作った岩のアーチ。写真では何度も見てましたが、実物はなかなか迫力がありました。