レジナルド・ヒル「死の笑話集」
前作「死者との対話」の続編。というか、前作と本作が一つの作品と言っていいだろう。だからこれのみ読むのは禁止だ。
前作のラストで、読者は解決したはずのワードマン事件の真相を目の当たりにする。この事実は犯人と読者しか知らないのだ。こうした形で始まる本作、告げられた真相は果たして本当でダルジールたちはどう真実に近づき解明するのか。ボリュームある冊子の展開に少々不安がよぎる。
パスコー警部のもとに長文の手紙が届く。差出人はフラニー・ルート。彼は、以前パスコーによって刑務所に送られた前科者だが、今は学者としての生活をスタートさせている。もともとルートは邪悪な男だと広言はばからないパスコーにとって、この手紙は神経を逆なでするものであった。送り続けられる手紙にパスコーの集中力は乱されるばかり。読者にとってもこのルートの手紙には手を焼くかもしれない。なにしろ長いし、粘着質な文体。作品の展開にあまり関係ないと思われるルートの近況報告にページを繰る手が億劫に・・お腹がいっぱいなのだ。確かにそこには犯罪の微かな臭いが漂っているのだが・・・。ひょっとしてワードマン事件の真相は新たにここに?とも疑ってしまう始末。
ウィールド刑事の登場も今回は多い。男娼として働く少年からもたらされる犯罪情報・・・。大きな窃盗事件の計画なのか・・・。ウィールドもまたこの少年との関係に神経を使っていた。
ラストの展開!多くの殺人の犯人は実際誰だったのか?ダルジールとパスコーはどこまで真相を知りえたのか?読者の知りえたことは果たして本当だったのか?
あらゆる面で重量級。
日本であまり知られていないベドウズの作品が、根底に流れているのだろうが・・・ よく分からなかった。
ネットで検索してみると、たぶんこれが本家「死の笑話集」なのだろう。
http://www.archive.org/stream/deathsjestbooko00bedgoog#page/n8/mode/2up