コニー・ウィリス「マーブル・アーチの風」
コニー・ウィリスと言えば、とにかく「読みやすい」が第一の特徴。ぐいぐいと読んでいくスピード感が心地良く、長編にその良さがうまく発揮されているかと思うのですが、この日本オリジナル中短編集はいかがでしょうか。
「白亜紀後期にて」
経営効率化の観点から環境変化が押し寄せる大学の研究現場。かつて、環境の変化で絶滅した恐竜たちをオーバーラップさせたコミカル小説。
「ニュースレター」
クリスマスカードとは別に、自分の近況報告を書き綴り交換する「ニュースレター」。今年は何をテーマに書こうかと頭を痛めていると・・・。突然世の中が・・・良い人ばかりが増えてきて・・・。人間がクリスマスが近づいたからって善人になるわけがない! じゃあ、なぜ?? それは・・・・。
「ひいらぎ飾ろう@クリスマス」
ホログラムを駆使して依頼者のあらゆる希望に応えるクリスマス・プランナー。古今東西、ああゆる名所、名場面、有名人もデータベース化されていて、もちろん完全オリジナル演出も可能です。クリスマス直前のドタバタ繁忙期に現れた男女2人の企みとは。
「マーブル・アーチの風」
ロンドンの地下鉄を利用した方なら誰でも、あの生暖かい構内の風圧を憶えているでしょう。その風が突然、爆風として自分を襲って来たら・・・・。謎を究明するために地下鉄を乗り継ぎ、駅を調べまくる主人公。それは、大戦中の空襲で落とされた爆弾の影響なのか、それとも・・・。真相は意外にも誰もが抱えるあの問題だったのです。
私も今度ロンドンに行った時に、突然地下鉄に乗りたく無くなるのかもしれません。
マーブル・アーチとは、ハイドパークの外周北東に位置する場所。その名の通り凱旋門のミニチュアのような白い門が建っています。門を中心に複雑な一方通行レーンで車の流れが引きも切りません。ここから東にかけて、オックスフォードストリートに沿ってショッピングストリートが始まります。
2000年のロンドン訪問時に利用したホテルが、シスル・マーブル・アーチ。オックスフォード・ストリートに面する古いビルディングで、一本裏の通りがエントランスになってます。外壁は相当地味ですが、ワンブロック丸々あるホテルなので中は相当広いです。中庭を囲む形で客室があり、直線的な長大な廊下は映画「シャイニング」の廊下を思い出します。
ロンドンの地下鉄を描いたおすすめは→
「インサイダー疑惑」
これが一番面白かった。
ロスの金持ち相手にチャネリングの霊媒者を演じ、多額の金をせしめる女性。そういうインチキスピリチュアル商法のウソを暴き、不正を告発する雑誌を編集する「懐疑論者」の男性。男性には美しい女優が何故かアシスタントとして付いていました。ある日のチャネリングの現場で、女性霊媒者が演じる霊に別の霊が摩り替わり話を始めます。話をしているのは・・・・。演技なのか、本物なのか。懐疑が確信に変わることがあるのか・・・・。
コニー・ウィリスのお薦めは
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