英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

各駅停車のたび(西九州編)

2011-01-27 | 日常
急に鉄道旅行がしたくなりました。それもただ乗ることだけが目的の旅が。
お得なキップがないかと探しておりましたら、見つけました。
その名も「旅名人の九州満喫きっぷ」。
JR九州はもとより、西日本鉄道、松浦鉄道、熊本電鉄、福岡市地下鉄、北九州モノレール、肥薩オレンジ鉄道・・・・、九州のあらゆる鉄道にお好きな日、3日分乗り放題(ただしJRは普通列車に限る)という優れもの?キップなのです。それでお値段10,500円なり。


これがキップ。
左下に乗車した日付をスタンプしてもらって使用します。
一人で3日使ってもいいし、3人で1日使用することも出来ます。



まずは福岡市交通局地下鉄に博多から乗車、唐津を目指します。
日曜朝の地下鉄駅構内はガラガラ。

姪浜からは地上に出て、JR筑肥線に乗り入れます。


唐津で乗り換え、同じく筑肥線で伊万里へ。
ここからはワンマンローカル列車の旅です。


伊万里からは今回の目的でもある松浦鉄道に乗り換え、ひたすら2時間半かけて佐世保へ。
松浦鉄道は北松浦半島に沿って走る旧国鉄松浦線で、現在は第3セクターでの経営となっています。


乗車時冷えていた車中も、時間が経つとポカポカに。
だんだん眠くなってきます。


途中駅はだいたいこんな感じ。


日本最西駅である、たびら平戸口駅です。
かつては平戸への玄関として栄えた駅です。


佐世保が近づくとようやくお客が増えてきます。
中佐世保駅と佐世保中央駅の間はわずか200メートル。ビルの間をすり抜け、アーケード街を跨いだりと、なかなかアーバンな鉄道です。

佐世保に到着。
ここで再びJRに乗り換えです。


佐世保駅ホームからは佐世保港に係留されているイージス艦も見ることができます。
駅構内で販売している佐世保バーガーに後ろ髪を引かれながら、佐世保線に乗り込みました。


降りたのは有田。


ここも昔は陶磁器の出荷で栄えた駅。
今でも春の陶器市にはたくさんの人出が見られますが、この時期は・・・・。
次の列車まで時間があったのでちょっと有田の町をぶらぶらしましたが、猫一匹ともすれ違いませんでした。

ここから伊万里まで松浦鉄道に乗ります。
これで松浦鉄道完乗です。


松浦鉄道の車両は比較的新しく清潔感があります。

伊万里からは行きと同じく、筑肥線、地下鉄と乗って博多に帰り着きました。


この日の行程
博多→唐津(地下鉄・JR筑肥線)1,110円
唐津→伊万里(JR筑肥線)630円
伊万里→佐世保(松浦鉄道西九州線)2,020円
佐世保→有田(JR佐世保線)450円
有田→伊万里(松浦鉄道西九州線)410円
伊万里→唐津(JR筑肥線)630円
唐津→博多(JR筑肥線・地下鉄)1,110円
合計6,360円分乗った計算。
あと2日乗れるけど、元取るのはけっこう大変だ・・・・・!!


でも、ゆったりした車中で読書が捗ったので良かった。






20年間交わされた往復書簡

2011-01-25 | イギリス

ちょっと前にご近所に古本屋が出来ました。どうも何処かから引っ越して来たようです。そこは以前は雑貨屋さんの店舗だったので大きな窓から本棚の列が見えます。前を通る度に入ろうと思うのだけど、どうしてもドアを開ける勇気がでません。それは、ドア正面に座って店番しているお婆さんの姿が堪らなく怖いからなのです。いつも格子柄の着物姿で凛とした姿勢で正面を向く視線は、隣のコンビニの駐車場からもはっきりと判ります。「冷やかしで店に入るな!」「雨に濡れた傘を店に持ち込むな!」・・・、罪深い気弱な私に、お婆さんは目だけでプレッシャーを与えてくれます。そう言えば、店内にお客の姿を見たこともないのです。


ヘレーン・ハンフ「チャリング・クロス街84番地―書物を愛する人のための本」


NY在住の駆け出しの脚本家ヘレーン・ハンフが49年、ロンドン、チャリングクロス84番地にある古書店に手書きを書く。~こういう本で良い物があったら送ってくださいな。ただし料金は1冊5ドルを超えないように~ この注文に担当フランク・ドエル氏は丁寧な返事を書く。そこから始まる大西洋を跨ぐ手紙のやり取り。ヘレーンの手紙は時にフランクをからかい、励まし、そして感謝する。古書店の店員たちはそんなNYからの手紙を楽しみにするように・・・。戦後間もないロンドンは戦勝国にもかかわらず食糧は依然配給制。ヘレーンは古書店へのクリスマスプレゼントとして肉や卵を差し入れます。そして感激したフランクの奥さん、他の店員たちもNYに手紙を書くようになるのです。繰り返されるロンドンへの招待を、ヘレーンは来年は、来年は、と延ばし延ばし・・・。いつの日か手紙のやりとりは20年も続いていました。最後に古書店から届いた手紙には・・・・。
オーダーされる本のタイトルも興味深いし、だんだんと変化していくコンプリメンタリー・クローズも微笑ましい。本当に薄い文庫本ですが、記憶に残る本となりました。


さて、我が家の近所の古本屋さん。窓にホームページのアドレスが書かれています。検索してみると・・・・、けっこう、と言うか、かなり硬派なお店です。たぶん、商売はネット上で大半が行われているようです。
よし、今度は勇気を持ってドアをくぐってみよう。お婆さんに負けないぞ!





多重多面な中世カタログ

2011-01-24 | 日常

ウンベルト・エーコ「バウドリーノ」

あのウンベルト・エーコが中世を舞台に書いた小説!と聞けば、覘きに行かないわけにはまいりますまい。どこに謎が隠されているのか、落とし穴があるのか、知的興奮高まる箇所はいずこに?!・・・ まあ、まったく教養の欠片もない私が読んでもトラップがどこにあるかも分からないのですがね。それでもぐいぐいと楽しめる作品。
時は1204年、コンスタンティノープルはヴェネツィアに手引きされた第4回十字軍によって火を放たれ、略奪され放題。東ローマ帝国(ビザンティン)の歴史家ニケタス(実在する)がまさに巡礼者たちに殺されようとするのを助けたのが、主人公バウドリーノだったのだ。ニケタス一家を安全な場所に連れて行くことを請合ったバウドリーノは、ニケタスにこれまでの波乱万丈の人生を語り始める。
北イタリアの貧しい農家の子、バウドリーノはひどい濃霧の晩、道に迷った一人の騎士に出会う。この騎士が神聖ローマ帝国皇帝フリードリッヒ1世赤髭王だったのだ。王にその天才的語学力と口の上手さを認められたバウドリーノは王の従者、養子として育てられることになる。パリへの遊学、皇帝のお后への恋等々が語られ、皇帝に時に激しく楯突く都市同盟(ほら、世界史に出てくるロンバルディア同盟ですよ)との戦いは、ついにバウドリーノの故郷にも迫る・・・。司祭ヨハネの手紙の捏造。最後の晩餐でイエスが使った杯の発見、第3次十字軍への参加、完全密室殺人事件の発生。そして伝説の王国、「司祭ヨハネの王国」への長く過酷な旅路・・・・。出てきますよ・・、キマイラ、一角獣、一本足族、頭と首が無い族、あそこが胸についている族、耳が地面についている族、鶴を追いかけるピグミー族、巨人族、恐ろしい白フン族・・・。大岩が流れる大河に、幾日も暗黒に包まれる大地・・・。
後にコンスタンティノープル陥落を克明に記述したニケタスも、半信半疑で聞き出したバウドリーノの冒険談に魅了され、自ら話の先をせがむ有様・・・。どこまでが嘘でどこからが本当なのか?ニケタスは歴史家としてこの冒険談を後世に残すのか? てなことを感じ始めたら、それこそエーコの罠にはまったのかも。そう、これは小説!なんです。小説の中で「嘘か真か」なんて・・・ね。
密室殺人事件の真相は、ラストでちゃんと教えていただけるのですが、それを知ったバウドリーノは我々の前から一人旅立ちます。

基礎知識が無くてももちろん楽しめますが、叙任権闘争、カノッサの屈辱、フリードリヒ1世、東ローマ帝国、第3回、第4回十字軍なんかをちょっとオサライしておくとお得感が倍増かも。






東京国立博物館

2011-01-17 | 日常
2週続けての国博だ。真面目でしょ?
理由は、たまたま週末東京出張で。数日前の朝日新聞で尾形光琳の「風神雷神図」が今なら観れると紹介してあったから・・・。



九博はちょっと威厳に欠けるけど、ここ東博は風格がありますね。
10年前にも一度来ています。


お目当ての「風神雷神図」
ここはカメラにも寛容
スペースもゆったり取ってあって落ち着けます


反対側には洛中洛外図巻
庶民の生活が丹念に描かれています


前回来た時にもお会いした高村光雲作「老袁」


本館を堪能した後はお隣に・・・
現在、東洋館は改築中で、アジアンギャラリーは表慶館で観ることができます。
表慶館には今回初めて入ったのですが、
なかなか立派な洋館です。


エントランスロービーから見上げたところ・・・
2重の回廊が素敵です。


床は彩色タイルでモダンな意匠が



階上へは館の左右にある階段を使うみたい。
(現在公開は1階部分のみです)



ガンダーラの仏様は皆端正なお顔立ち



イケメン!




帰り道、ちょっと西洋美術館に寄り道。
有名なロダンのカレーの市民。
ロンドンの国会横の公園にも同作品が置かれています。

ゴッホ展

2011-01-11 | 日常

九州国立博物館で開催中のゴッホ展に行って来た。
冷たいみぞれが降りしきる成人の日。寒いから人出も少ないでしょう、との予想で家を出たのですが・・・・。
西鉄大宰府駅を降りると・・、「人多い!」じゃないですか。そうか、今週末はセンター試験か・・、受験直前クライマックスシーズンでした。
混雑する参道、境内をすり抜け博物館を目指します。
「よかった」待ち時間0で入れそうです。

でも会場内はやはり大混雑でした。
係員が「歩きながらの鑑賞をお願いします」なんて囁いてきます。パンダ見物じゃないんだから・・とそれは無視・・。
今回出された作品は主にゴッホ美術館とクレラー・ミュラー美術館のコレクションがしめています。
印象に残った作品は「ゴーギャンの椅子」、そして自殺した年に描かれた「草むらの中の幹」。後者は何でもない草むらの構図なんだけど、その筆使いの激しさと左下に咲くタンポポの花に感動しました。

音声解説はTBSの安住紳一郎さんです。


再び天満宮境内に戻り、ここまで来て挨拶しないのも失礼かな、と御参りさせていただきました。


おみくじもピンク色・・・
中はけっこう良いこと書いてました。
でも「転居、早いほど良し」だって・・・




最近行った焼き鳥屋の前にあったモンゴル料理の店。
店の中に大小のゲル(中国語読みでパオ)が見えますね。
中では民族衣装も貸してもらえるんだって。






記録として・・・今年のおせち料理