P・G・ウッドハウス
「ジーヴスと恋の季節」
いつもの、というより、いつも以上のドタバタ喜劇です。恐怖のアガサ伯母さんから「5人のおばさんが生息するという館」への滞在を厳命されたバーティ・ウースター・・・。その館ではおもいっきりコンガラガッタ4組の恋の物語が進行中だったのです。かくしてバーティは友人ガッシーに成り代わって館に到着するのですが・・・・。
ウッドハウスの筆は乗りまくっており、レトリックにレトリックを上塗りした書き方に、いったい主語は何?と振り落とされそうになるのもしばしばです。原文の手強さが伝わってきます。ウッドハウス未体験者にとってはここからの参戦はちとキツイかも・・です。
読んで行くうちに、ちょっと気になってきました。出てくる登場人物がいまいち存在感が薄い?ような・・・・。47年の執筆で49年発刊のこの作品ですが、バーティもジーヴスもそのお取り巻きも盛んに活躍?するのですが何か遠くに感じてしまうのです。もともと、「時代から乖離した高貴な人々」を描いてきたシーリーズですが、戦後の新しい体制の中でその主題がますます乖離し始めたような寂しさをちょっとだけ覚えました。むしろハリウッドの俳優として成功しているキャッツミートとその妹コーキーの元気さがより際立っていて印象的でした。戦時中、イギリスから国賊として批判されたウッドハウスは55年に正式にアメリカ合衆国に帰化します。
作中、村の演芸大会でバーティが披露しようと準備していたのが、「クリストファー・ロビンのうた」(When We Were Very Young 1924)。A・A・ミルンが息子を主人公にした子供向けの童謡集です。この出版の成功でミルンは「クマのプーさん」(1926)を世に出したのです。バーティ・ウースターが朗読する「クリストファー・ロビンのうた」・・・考えただけで笑ってしまいます。
「ジーヴスと恋の季節」
いつもの、というより、いつも以上のドタバタ喜劇です。恐怖のアガサ伯母さんから「5人のおばさんが生息するという館」への滞在を厳命されたバーティ・ウースター・・・。その館ではおもいっきりコンガラガッタ4組の恋の物語が進行中だったのです。かくしてバーティは友人ガッシーに成り代わって館に到着するのですが・・・・。
ウッドハウスの筆は乗りまくっており、レトリックにレトリックを上塗りした書き方に、いったい主語は何?と振り落とされそうになるのもしばしばです。原文の手強さが伝わってきます。ウッドハウス未体験者にとってはここからの参戦はちとキツイかも・・です。
読んで行くうちに、ちょっと気になってきました。出てくる登場人物がいまいち存在感が薄い?ような・・・・。47年の執筆で49年発刊のこの作品ですが、バーティもジーヴスもそのお取り巻きも盛んに活躍?するのですが何か遠くに感じてしまうのです。もともと、「時代から乖離した高貴な人々」を描いてきたシーリーズですが、戦後の新しい体制の中でその主題がますます乖離し始めたような寂しさをちょっとだけ覚えました。むしろハリウッドの俳優として成功しているキャッツミートとその妹コーキーの元気さがより際立っていて印象的でした。戦時中、イギリスから国賊として批判されたウッドハウスは55年に正式にアメリカ合衆国に帰化します。
作中、村の演芸大会でバーティが披露しようと準備していたのが、「クリストファー・ロビンのうた」(When We Were Very Young 1924)。A・A・ミルンが息子を主人公にした子供向けの童謡集です。この出版の成功でミルンは「クマのプーさん」(1926)を世に出したのです。バーティ・ウースターが朗読する「クリストファー・ロビンのうた」・・・考えただけで笑ってしまいます。