英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

クリストファー・ロビンのうた

2008-01-28 | イギリス
P・G・ウッドハウス
「ジーヴスと恋の季節」


いつもの、というより、いつも以上のドタバタ喜劇です。恐怖のアガサ伯母さんから「5人のおばさんが生息するという館」への滞在を厳命されたバーティ・ウースター・・・。その館ではおもいっきりコンガラガッタ4組の恋の物語が進行中だったのです。かくしてバーティは友人ガッシーに成り代わって館に到着するのですが・・・・。
ウッドハウスの筆は乗りまくっており、レトリックにレトリックを上塗りした書き方に、いったい主語は何?と振り落とされそうになるのもしばしばです。原文の手強さが伝わってきます。ウッドハウス未体験者にとってはここからの参戦はちとキツイかも・・です。
読んで行くうちに、ちょっと気になってきました。出てくる登場人物がいまいち存在感が薄い?ような・・・・。47年の執筆で49年発刊のこの作品ですが、バーティもジーヴスもそのお取り巻きも盛んに活躍?するのですが何か遠くに感じてしまうのです。もともと、「時代から乖離した高貴な人々」を描いてきたシーリーズですが、戦後の新しい体制の中でその主題がますます乖離し始めたような寂しさをちょっとだけ覚えました。むしろハリウッドの俳優として成功しているキャッツミートとその妹コーキーの元気さがより際立っていて印象的でした。戦時中、イギリスから国賊として批判されたウッドハウスは55年に正式にアメリカ合衆国に帰化します。
作中、村の演芸大会でバーティが披露しようと準備していたのが、「クリストファー・ロビンのうた」(When We Were Very Young 1924)。A・A・ミルンが息子を主人公にした子供向けの童謡集です。この出版の成功でミルンは「クマのプーさん」(1926)を世に出したのです。バーティ・ウースターが朗読する「クリストファー・ロビンのうた」・・・考えただけで笑ってしまいます。

世界同時株安

2008-01-25 | 日常

凧が揚がった!揚がった!と、喜んでいたらおもいっきり株が暴落してしまいました。世界同時株安です。こうなっちゃうとリスクを軽減するために日本、NY、ロンドン、インド、ブラジル・・・と分散させてた資産があれよあれよと落ちていきます。やっぱり素人は普通預金で何もせずにほったらかしにしてた方が害はないし、精神的にも良さそうですね。

少しだけ株式投信をやっていると、1720年にイギリスで起きた「南海泡沫事件」(South Sea Bubble バブル経済の語源)なんかの滑稽なドタバタが身近に感じられて勉強になります。(かなり言い訳ですが)

多少戻して来てますが、しばらくは低迷するんでしょうね。となると・・・「買い!」なんですけど・・・。

ちょっとロマンチックな名前の「通り」

2008-01-16 | イギリス

ポール・セロー「ハーフムーン・ストリート」


だいぶ前の出版から1冊。
ローレンは中東問題研究所に勤める才女。とあるパーティで「世界には5千人の人間しかいない」と語った男に興味を惹かれる。昼の仕事とは別に高級エスコートクラブでの夜の顔を持つローレンは、素顔で出ることでその世界で有名になっていく。
ちょっとサスペンス仕立てでスリリングなロンドンが描かれる中編です。
「ハーフムーン・ストリート」はロンドン・メイフェアにある実際の通り。地下鉄グリーンパーク駅のすぐ近く、ピカデリー通りから北に入った通りです。リッツホテルもすぐ近くにあるエリア。このあたりにフラットを借りるには莫大な賃料がいるでしょうね。
ポール・セローといえば、日本では村上春樹が翻訳した「ワールズ・エンド(世界の果て)」が有名ですね。これはまだ読んだことがないのですが、ここで言うワールズ・エンドはやはりロンドンのキングスロードにあるエリアです。そう言えばヴィヴィアン・ウエストウッドのショップが「ワールズエンド」でしたね。一度だけ店内に入ったことがあります。おもいっきり日本人の店員が「いらっしゃいませ!」って声かけてきたのでびっくりしたのを思い出します。逆回転する13時まである時計が目印な小さなショップです。パンクの仕掛け人から最近のエレガント路線までなかなか存在感のあるデザイナーですね。

「ハーフムーン・ストリート」は86年にシガニー・ウィーバー主演で映画化がされています。

壱岐の鬼凧

2008-01-15 | 日常
年末に島原に旅行に行った際、フェリー乗場の売店で、新春らしさを演出するため壁にでも掛けておこうかと買ったのがこの凧。以来ほったらかし。成人の日、たまたま近くの公園に出かけることになったので、この凧も持って行きました。正直、売店で買った和凧なんて揚がる訳が無いと馬鹿にしていました。というか子供時代、駄菓子屋で求めた凧はどれ一つ満足に揚がらなかった記憶が・・・。
公園に到着。ゲイラカイトを揚げている親子が何組かいます。こんな小さなお土産用凧ですから、ちょっと恥ずかしくなります。ところが糸を3mぐらい繰り出し風になびかせてみると・・・・、あら、あら、するすると空に揚がっていくじゃないですか。思わず「揚がった!」って叫んじゃいました。一躍公園中の注目の的です(たぶん・・)。揚がり方もなんとも呑気ですが、洋凧の垂直的な揚がり方とは違って余裕のある態度で好感が持てます。多少の失速もすぐにリカバリーできる実力に感激でした。
この凧、「壱岐の鬼凧」という種類だそうで、袋の裏には「製造者 障害者授産施設 松浦作業所」と入っています。
この凧、最高です!揚がります!楽しいです!安いです!
長崎土産に最適です。

娘そっちのけで凧揚げに興じた休日でした。

ナガリ書店と金榮堂

2008-01-11 | 日常
どちらも故郷小倉の本屋さん。金榮堂は9年前に、ナガリも最近店を閉めました。
中学生になって初めて岩波文庫を買ったのがナガリ書店(ヘッセの「車輪の下」でした。当時の価格表示は★でしたね)。長細い店内で奥が文庫本、2Fが参考書関連、3Fが専門書だったかな。中学、高校、予備校といつもお世話になってましたっけ。学校からの帰り道、「これから、ナガレる?」が寄り道の合言葉でした。
金榮堂は電車通りに面した本屋さん。さほどスペースは広くない店内に本が威圧するように並べられていました。1Fレジの向こうには店主が座り、その背後にはマルクス・エンゲルス全集が、あたかも「お前らには絶対に売らないよ!」ってな感じで置かれていました。(どう考えてもレジ内に入らない限りそこに手を触れることは不可能でした) そしてこの本屋でつけてくれるカバーが何とも良かった・・・。伊丹十三が書いた絵がデザインされており、きちんと鋏で切って本を大切に包んでくれてました。
大型書店、複合書店の進出、ネット書店の台頭で街の本屋さんは減るばかり・・・。想い出もそれとともに減るばかりでしょうか。

マン島って知ってました?

2008-01-10 | イギリス
マシュー・ニール
「英国紳士、エデンへ行く」


この歳になって初めて知ることが沢山あります。この本を読むまでは、「マン島」に関してオートバイレースで有名だと言う以外何の関心も持たなかったでしょうね。イギリス本土とアイルランドの間、アイリッシュ海に浮かぶ小さな島「マン島」は、イギリス王室の属国 (Crown dependency)として独自の議会、貨幣を持つ自治領で、イギリス連邦には加盟しているがイギリス連合王国(UK)には属していません。ちなみに外交と軍事はイギリスに委託だそうです。

時はヴィクトリア朝中期。この歴史的にも文化的にもイングランドと一線を画すマン島の1人の男が、一攫千金を夢見て密輸船を建造し商売に出るのですが、どうもツキに見放されたらしく上手く荷が捌けない・・・。で、下した選択が、傭船としてのカモフラージュ。船を借り上げた男達ってのが、タスマニアにエデンの園があると信じて疑わない牧師と、その随員として乗り込む人種優劣主義者の医者、そして何をするにもどこか他人事な植物学者の3人。まとまりのない一団が一路タスマニアに向けての航海を続ける訳ですが・・・。
一方、タスマニアは19世紀初期よりイギリス人による入植が始まり(初めは流刑植民地として)、入植者による島に住むアボリジニとの争いで彼らを絶滅寸前までに追い込んでいた。
タスマニアで3人の探検隊が見たものは・・・。次第に深まっていく牧師と医者の意見の相違は最後には狂気の事態を呼び起こすことに。
マン島VSイングランド、イングランドVSタスマニア、入植者VSアボリジニ、純血VS混血、船長VS船員、科学VS信仰、牧師VS医者等々、多角的かつ様々な対立軸で描かれる物語は全編を通してコミカルではあるが、時に残酷にシリアスに展開していく。
個人的にはマン島=タスマニア?に感じたりも出来たりして・・・。
原題は「ENGLISH PASSENGERS」。読み出しから、読了まで絶えず一定の満足感を切らさない技巧はさすがです。このプラチナ・ファンタジイシリーズ、今後も期待できるぞ!

仕事始め

2008-01-07 | 日常
今日から仕事始め・・・
9連休からのリハビリが当分必要な感じです。
年末には1泊の予定で雲仙の休暇村に。モーレツに荒れる!という天気予報に怯えながらノーマルタイヤのまま諫早を経由し島原半島に入ります。見ると雄大な雲仙岳は真っ黒な雪雲に包まれています。とりあえず昼御飯をと名物「具雑煮」を食べに姫松屋に。この具雑煮、具はしろな、焼アナゴ、ごぼう、かまぼこ3種、卵焼、椎茸、高野豆腐、レンコン、かしわ、春菊、そして餅が入っており、いたってシンプルな料理ながらちょっと甘めの出汁がクセになります。



食後、武家屋敷跡でもぶらつこうかと思いましたが、突風と冷たい雨にウンザリして宿へ向うことに。計画では雲仙岳に登り地獄見物と温泉(外湯)を楽しむことにしていましたが、路面凍結を恐れて断念。半島をぐるりと海伝いに廻って宿に入りました。
次の日思ったほどは気温は下がりませんでしたが、やはり雲仙岳へ向う道路はチェーン規制ということで「雲仙災害記念館」を見物しただけで早々にフェリーで半島を後にしました。

そして元旦。
実家で出されるおせち料理です。最近は重箱に1人分ずつ分けての食べ切りスタイルとなっています。
かまぼこ以外は100%手作りです。



それから昨日まで、まったく何もせずに過ごした冬休みでした・・・・。
もったいない・・・