ポール・ドハティ「教会の悪魔」
以前ご紹介した「白薔薇と鎖」が描いたのが16世紀のロンドンでしたが、今回描かれるのは、13世紀のロンドン。エドワード1世の御世です。
物語は聖メアリ・ル・ボウ教会内で起きた首吊り事件に端を発します。誰が見ても自殺と判断する密室での事件ですが、エドワードに仕える大法官はその死に疑いを懐き、書記であるヒュー・コーベットを密偵として差し向けるのですが・・・。
トリックを暴き事件をすらすらと解決していく・・・というには平凡な筋書き・・・。むしろこの物語は単純に歴史ものとして楽しむのが正解かも・・・です。汚物にまみれる通りの様子、交通路としてのテムズの姿、香草を床に巻いた酒場の喧騒等々、暗くて臭くて治安の悪い中世のロンドンが、これでもかと詳細に記述されていきます。特に軍事拠点としてのロンドン塔、そして酒場で出される香料入りのワインなどが興味深かったです。
国家転覆を企む反逆者の象徴として、頻繁に登場するシモン・ド・モンフォールは、実在の人物。彼が一時期イングランドを掌握し、その時開いた議会は、今ある庶民院の原型と言われています。つまり、それまで王と貴族だけで開いていたものに、騎士や都市の代表者を招いたというものです。エドワード1世は後にこれを真似た形での議会を開催しています。これが「模範議会」と呼ばれているものです。
現在の聖メアリ・ル・ボウ教会は大火後にクリストファー・レンの設計により再興されたもの。ここの鐘が聞こえるエリアで生まれ育ったものが、本当のコックニー(生粋のロンドン子)なのです。
このコーベットものは、シリーズとしてかなりのストックがある模様。これからも楽しみです。
ウッドストック宮殿というものも登場しますが、かつてそのような宮殿(城)があったのでしょうか?ブレナムとは違うし・・・。
以前ご紹介した「白薔薇と鎖」が描いたのが16世紀のロンドンでしたが、今回描かれるのは、13世紀のロンドン。エドワード1世の御世です。
物語は聖メアリ・ル・ボウ教会内で起きた首吊り事件に端を発します。誰が見ても自殺と判断する密室での事件ですが、エドワードに仕える大法官はその死に疑いを懐き、書記であるヒュー・コーベットを密偵として差し向けるのですが・・・。
トリックを暴き事件をすらすらと解決していく・・・というには平凡な筋書き・・・。むしろこの物語は単純に歴史ものとして楽しむのが正解かも・・・です。汚物にまみれる通りの様子、交通路としてのテムズの姿、香草を床に巻いた酒場の喧騒等々、暗くて臭くて治安の悪い中世のロンドンが、これでもかと詳細に記述されていきます。特に軍事拠点としてのロンドン塔、そして酒場で出される香料入りのワインなどが興味深かったです。
国家転覆を企む反逆者の象徴として、頻繁に登場するシモン・ド・モンフォールは、実在の人物。彼が一時期イングランドを掌握し、その時開いた議会は、今ある庶民院の原型と言われています。つまり、それまで王と貴族だけで開いていたものに、騎士や都市の代表者を招いたというものです。エドワード1世は後にこれを真似た形での議会を開催しています。これが「模範議会」と呼ばれているものです。
現在の聖メアリ・ル・ボウ教会は大火後にクリストファー・レンの設計により再興されたもの。ここの鐘が聞こえるエリアで生まれ育ったものが、本当のコックニー(生粋のロンドン子)なのです。
このコーベットものは、シリーズとしてかなりのストックがある模様。これからも楽しみです。
ウッドストック宮殿というものも登場しますが、かつてそのような宮殿(城)があったのでしょうか?ブレナムとは違うし・・・。