英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

やんごとなき小説

2009-03-31 | イギリス

アラン・ベネット「やんごとなき読者」

原題は「The Uncommon Reader」
女王様が読書にはまったら?はたしていかなることに?というお話。
ある日、いつものように宮殿内で犬の散歩を行っていた女王は、厨房入り口に横付けされた移動図書館に遭遇します。話の成り行きから本を貸してもらうことになったのですが・・・・。
女王様が「読書」をする。こう聞いて別段不思議はないのですが、英国君主たるもの何事もバランスが大切なのです。つまりある一つのことに執心することは、例えそれが趣味の領域であっても王室運営の中で秩序を乱すこととなるのです。そう女王はすべてのものと均等な距離を置かなくてはならないのです。
公務そっちのけで「読書」の喜びに目覚めた女王に、まわりの御付の者たちはドギマギ。中にはアルツハイマーの兆候か!と心配する輩も。首相にいたっては、会うたびに「本」を勧められるものだから迷惑至極・・・。
お馴染みの作家たち、作品たちもたくさん登場!(もちろん知らない作家もぞろぞろ) 女王の普段の生活、国民との近しく会話する時間などなどが、抑制の効いたユーモアで語られていきます。主題はもちろん「読書」がもたらす「喜び」。女王自ら「本の前では誰もが平等」 と感じる場面が印象的です。
作者アラン・ベネットは映画にもなった「英国万歳」を書いた劇作家。
「読書」が皆からどうも歓迎されていない、と悟った女王が下した結論とは・・・。最後のオチもなかなかに良いです。

新井潤美さんの解説も背景を理解できるうえで楽しかった。何故、女王はオースティンの世界を楽しむことが出来ないか? イギリスの高貴な身分の方々は、どうして自分を知的には演出しないのか?  こうやって見ると、あながちウッドハウスが描くおバカな高貴な人々も、まったくの虚構ではなく、リアルな存在として感じられますね。

たとえ、家に未読の本が大量にあったとしても・・・・この本は「買い!」です。






ちょっと景気を刺激してみる

2009-03-30 | 日常

少しは景気浮揚対策の一助になればと、嫌がる家族を車に押し込みお出掛けです。気前良くガソリンも満タンにして目指すは浜田の水族館「アクアス」。
混んでる?と思って入った高速道路ですが、いつもより通行は少なめ?ETCでない車がこぞってボイコットでもしているのでしょうか。
浜田までは約1時間。ぎりぎり100キロ圏内ですから、これまでも土日は半額になってた場所。ですから今回の恩恵は片道250円ということに。
程なく、「アクアス」に到着。駐車場はほぼ満車。意外と多い岡山ナンバー。そうだよね、日帰りだったら岡山あたりが現実的ですね。中には四国ナンバーもちらほら。
館内は・・・、うーん混んでます。春休みだし、団体さんも続々到着しています。もうちょっと気温が高いと、裏にある遊具施設や隣接する海岸に人がバラけるんですが、この日は皆さん目的は一ヶ所。そう、シロイルカのバブルリングショーです。演じているイルカのうち2頭がご懐妊ということでショーはあと1週間でしばらく休演。ですから、みんな観たいとホールは通勤ラッシュ並みの混雑に。なんとか娘をイルカが観れる前方に押し込み、私は空いているペンギン館に退散です。
写真はこのペンギン館。ペンギンが泳ぐ姿が上から、横から、下からと眺められます。下から眺めるとペンギンが空を飛んでいるよう・・・・・。

結局、景気を刺激した実感もなく遊び疲れて帰りました。




これが「しあわせのバブルリング」です。
(アクアスのHPより)




お留守番

2009-03-23 | 日常

3連休、家内と娘は従姉妹の家族といっしょにディズニーランド!に・・・。ミラコスタ2連泊!なんですって・・。「いいじゃん!行っといでよ。でもめちゃ混みだよ。」と嫌味半分で送り出してはみたものの・・・。やっぱりこれはおかしいのでは。ご主人様が何で1人で「メダカ」とお留守番なんでしょうか。
我家には今、メダカが4匹います。昨年の秋にお祭りで娘が手に入れてきたものです。当初は11匹いましたが、最初の1ヶ月で4匹に減って、そのメンバーでめでたく越冬できました。だれも世話する人がいないので、餌やり、水替え等はもっぱら私の役目です。寒い時期は4匹とも底の方でじっとしていますが、3月になるとものすごい食欲で、私が仕事から帰ると、「早く、早く、ごはんちょうだいよ!」と催促をします。(多分) 
写真はその餌。値段は確か・・300円ぐらいでした。毎日あげても2年分ぐらいありそうです。そもそも寿命の短いメダカたち。夏場の暑さが乗り切れるか心配です。





ノブレス・オブリージュ

2009-03-16 | イギリス

ドラマ「白洲次郎」、なかなかに面白い作品です。最終回も絶対観るぞ!と勇んでおりましたら・・・・、あれあれ、次回は8月放送だって・・・。この辺が、プリンシプルじゃないですね。NHKさん。どうして8月まで半年も引っ張るのでしょうか?

P・G・ウッドハウス
「ブランディングズ城は荒れ模様」

ドラマでも大きく語られていました「ノブレス・オブリージュ」。「高貴なる者の義務」と訳されるこの言葉、高貴なるおバカが多く集うブランディングズ城にも、もちろん備わっています。ただし、その言葉が使われるのは、エムズワース伯のあまりのおバカな発言に業を煮やしたレディー・コンスタンスが、伯爵の頭に殴りかかるのを寸止めで思いとどまるという場面。ご本家の方々の日常における「ノブレス・オブリージュ」とはこういうものなんですね。(笑)
カントリー・ジェントルマンを実践した白洲次郎も、ブタと日々暮らしを一にするエムズワース卿の泥と糞にまみれたツイードジャケットに比べれば、少し色あせて見えます。
この「荒れ模様」は先に出た「夏の稲妻」から10日後の物語という設定です。御馴染みな登場人物に加え、イギリスの支配階級がその存在に震え慄く「ギャラハッド閣下の回想録」の原稿を奪取すべく、城に乗り込む大出版社の社長が更なる大混乱を巻き起こすのです。
格差婚に果敢にチャレンジするコーラスガール「スー」の運命は!いかに!






日本だったら長寿シリーズ?

2009-03-05 | イギリス

スティーヴンスン「新アラビア夜話」


19世紀後半のロンドンとパリを舞台としたアラビアンナイト風都市奇談。
物語は大きく2つ。現代の自殺サイトにも似ている会員制「自殺クラブ」。そして人間の欲望の交錯を描いた「ラージャのダイヤモンド」。ボヘミアのフロリゼル王子と従者ジェラルディーン大佐の御忍びコンビが遭遇する冒険物語です。フロリゼル王子の身分を隠しての正義感溢れる堂々とした活躍は、水戸黄門さまか遠山の金さんってところか。面白い設定なのでもっとエピソードを増やすとよかったと思うのですが、スティーヴンソン自身あまり気に入っていなかったのでしょうかね。
革命に追われ、ロンドンで煙草屋の亭主となった王子のその後も知りたいものです。
本家アラビアンナイトと決定的に違うのが、「艶」が一切無いこと・・・。もっとエキゾチックな妖しさを取り入れてもよかっとのでは感じました。
レスタースクエアに隣接するオイスターバーが物語の始まりですが、今のレスタースクエアはファーストフード店やピザ屋ばかりで風情に欠けますね。