英国的読書生活

イギリスつながりの本を紹介していきます

アラビアのロレンス

2006-06-20 | イギリス
ロバート・ペイン「アラビアのロレンス」

ようやくイラクから自衛隊が撤退します。
いったいこの戦争はどういう意味があったのでしょうか?
あまりにも大きな市民の犠牲、毎日起こる自爆テロ・・。帰国した自衛隊員の中に自殺者が多いとの話も聞きます。
そもそもこのメソポタミアの地に勢力を延ばそうとしたのはイギリス。第一次世界大戦中1916年に結ばれたサイクス・ピコ協定でイギリスはこの地を秘密裏に自国の勢力下に起こうとします。その一環として部族の武装蜂起を画策したとされるのが「アラビアのロレンス」ことT・E・ロレンス。オックスフォードで考古学を学んだロレンスは純粋に中東を愛し、情報将校としてアラブ諸国の独立のために尽力するのですが・・・。彼の願いとは別に独立の約束は反故にされ失意のうちにイギリスに帰ることに。チャーチル植民相の下、再びアラブ関係顧問としてイギリス主導でのイラク建国にも手を貸しますが、やはり自国の利権を重視するイギリスの政策に幻滅し辞任。のち名声を捨て一兵卒で空軍に参加し、最後はオートバイ事故で亡くなるという波乱の生涯でした。
独身を通したというより女性にまったく近づかなかったロレンスは、一方でマゾだったり、奇人と呼ばれたりと諸説ある人物なのですが、砂漠の民だけが彼の本当の気持ちを理解出来たのかもしれません。砂漠を愛しながらもイギリス人としての誇りも捨てない。彼の苦悩は今も続いているのでしょうか?
ロレンスの言葉、
「一番好きな街は、ロンドン。」

この本は78年に筑摩書房から出た世界ノンフィクション・ヴェリタというシリーズの一つです。


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