時、うつろいやすく

日常のたわいもない話…
だったのが、最近は写真一色になりつつある。

「硫黄島からの手紙」

2007-05-01 00:49:50 | 映画・海外ドラマ
丁寧に作られた映画だった。
丁寧に作れば映画はおのずと光りを放つものである。
登場人物は現代風の日本人にアレンジされてはいるが、
海外の映画によく出てくる「日本人もどき」の日本人ではなかった。
ちゃんとした日本人が描かれていた。
良質な日本映画を見ているような安心感すら覚えた。
ただ、戦争の緊迫感、残虐性、過酷さという点では意図的なのかやや手加減
されているように受け取れた。
クリント・イーストウッド監督の視点は、戦争よりも人そのものを描くことに重点
を置かれていたからではないかと思う。
現実の硫黄島の戦いでは日本兵20129名、アメリカ兵6821名が戦死している。
その戦闘の熾烈さたるや想像を絶するものであったに違いない。

渡辺謙が演じた名将、栗林忠道陸軍中将が戦闘前に家族へ宛てた手紙がある。

「島の将兵2万は皆覚悟を決め、浮ついた笑い一つありません。
悲愴決死其のものです。私も勿論そうですが、矢張り人間の弱点か、
あきらめきれない点もあります。

殊に又、妻のお前にはまだ余りよい目をさせず、苦労ばかりさせ、
これから先と云ふ所で此の運命になったので、返すがえす残念に思ひ
ます。

私は今はもう生きて居る一日一日が楽しみで、今日会って明日ない
命である事を覚悟してゐますが、せめてお前達だけでも末長く幸福に
暮らさせたい念願で一杯です…

私も米国のためにこんなところで一生涯の幕を閉じるのは残念ですが、
一刻も長くここを守り、東京が少しでも長く空襲を受けないやうに祈っ
ています」

映画ではひときわ栗林中将の優しさが強調されていたが、実際の栗林中将も
映画に劣らず情愛深い人柄であったと思われる。
添付した写真は実際に指揮をとる栗林中将の姿である。
コメント (1)
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