昨日、確認申請書の印鑑をもらいに某邸にいった。
午前10時半到着。
正午までに役所に提出したい。
申請者は留守だったので奥さんが対応された。
60代半ばの少し太った温和な奥さんだった。
どうぞ、どうぞと応接テープルに案内された。
すぐに印鑑ではなく、お茶をだされるようだ。
断るわけにもいくまい。
お茶を飲むくらいの時間はある。
ガラスの器に入った麦茶がテーブルに置かれた。
奥さんに印鑑を押してもらおうとしたが、どうぞ、どうぞといわれるので私が
押印することにした。
どうせたいした書類ではない。
一通り書類の説明をしながら押印していった。
ものの数分でことはすんだ。
このまま失礼しようと思ったがせっかくお茶を出してもらったので頂くことにした。
一礼して、麦茶に手を延ばす。
器に手が届く直前で器の中の異変に気付く。
なにか浮いている。
直径三ミリ程度の白っぽいものが。
いけない。
見てはいけないものを見てしまった。
このまま器の中を見続けてはいけない。
奥さんに察知される。
奥さんに気まずい思いをさせたくない。
器からパッと目をそらす。
ここで手を引っ込めるわけにはいかない。
なにもなかったかのようにグイッと一口飲む。
一口では失礼になるのでもう一口飲む。
半分ほど飲み干した。
これで怪しまれることはない。
すぐさま立ち上がり、お礼をいって家を出た。
麦茶に浮かんだ白いもの・・・
飲みこんだのか、飲み残ったのかはわからない。
どちらであってもいい気分ではない。
考えるまい。
大したことではない。