Que ma vie est belle!

私とは、美しいもの、美味しいもの、楽しいものの集合体。

エフゲニー・キーシン、ピアノリサイタル@バービカン

2009-06-05 23:30:00 | コンサート

エフゲニー・キーシン、ピアノリサイタル。2009年6月5日19時30分。バービカンにて。

Prokofiev: Ten Pieces from "Romeo and Juliet" - excerpts

Prokofiev: Piano Sonata No.8

Chopin: Polonaise-Fantaisie

Chopin: Three Mazurkas

Chopin: Etudes - excerpts

20年ぶりのキーシン。

前半のプロコフィエフ-ロメジュリのピアノ版を予習用に購入したCDで聴いていて、「やっぱりオケよね」と思っていたのだが、彼が弾くと、ピアノでも十分に華麗だ。日本ではソフトバンクのCMで有名な「モンタギュー家とキャピュレット家」、こちらでは人気番組「Apprentice」のテーマ曲として有名。日曜日の最終回では、キーシンのピアノ演奏で「You are hired (firedではなく)!」はどうだろう?

ピアノソナタのコーダはもう見事としか言いようが無く、これをトリにしてもよいかも、と思った。プロコはピアノの名手だった、というが、そうでもなければこんな曲は書けまい。

プロコではピアノをかなり酷使するので、途中から調律が気になっていたが、ちゃんと休憩中に調律師さんがやってきてくれて安心。

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後半のショパン。私がそれ程ショパンを好きでないからか、最初のポロネーズは、まあ、こんなものかしら、と聴いていた。でも、練習曲になって、彼の信じられないようなテクニックが披露されると、もう目は鍵盤を舞う手に釘付け。かなりしっかりした大きな手で、「ガン、ガン、ガン、ガン、ががががーっ!!」と弾くかと思えば、アルペジオを弾く時にはウェーブのように動くクラゲの襞状態。「革命」を聴くと、あの頃(20年以上前!)を思い出す。

満場の拍手に応えてアンコールは3曲。やはりプロコは良い。「どうだっ!」と言わんばかりの演奏。皆スタンディングオベーション。それを見てキーシンも満足そうに微笑んでいた。終演は22時を回っていた。

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さて、恒例、手の写真。「May I take a picture・・・」で彼は、勿論、と言ってくれたのだが、「of your hands」でちょっと驚いて、でも、律儀にポーズをとってくれた。

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手の写真シリーズは、演奏家の性格が表れてとても興味深い。そういえば、演奏会でお辞儀をする時も、左肩をちょっと下げて、とても丁寧。

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演奏会の構成としても、知名度のある曲で始め(テクニックも要求されるのだろうが、彼にとっては朝飯前、丁度良いウォーミングアップか)、次いでメインともいえる彼の特長が遺憾なく発揮できるプロコのソナタ、後半は知名度の高いショパン、最後はそのエチュードで再び自分の得手を披露、という(素人目には)良く練られたプログラムだったと思う。個人的にはショパンよりベートーベンを聴きたかったけれど。いずれにしても、彼は、将来間違いなく21世紀前半を代表するピアニストと言われることだろう。