ピョートル・アンデルシェフスキ、ピアノリサイタル。2009年6月9日、ロンドン、ロイヤルフェスティバルホール。
Schumann: Gesange der Fruhe for piano, Op.133
J.S. Bach: Partita No.6 in E minor for keyboard, BWV 830
Janacek: In the Mists
Beethoven: Piano Sonata in A flat, Op.110
地下鉄が午後7時からスト、とのことで、早めに出掛けたのだが、Bakerloo Lineはその前から止まっていて、バスにて向かう、がラッシュアワーとも重なって、到着はぎりぎり。ストが拍車を掛けたのか、お客さんも非常にまばらで気の毒な感じ。
バッハはいい。ところが、聴いているうちに、モーツァルトのホットケーキ効果ならぬ、コーヒー喫茶効果が。。。国立の喫茶店『書簡集』を思い出す。そこでこの曲を聴いたのかは定かでないが、バッハのピアノ曲を聴くことが稀(ゴールドベルク以外)な私にとって、どうもバッハのピアノは家で聴くものではなく、ちょっとこだわり系の喫茶店で聴くことが多かったからだろう。ちなみにアンコールの2曲目もバッハと思うが、題名を知らない曲で、最初は「何だろう?」と思ったのだが、暫くして喫茶店がまず頭に浮かび、「あ、バッハか」であった。かなり間違った思考回路の私である。
ヤナーチェクは、親しみやすい曲に思われた。アンコール1曲目も何か民族音楽のような気がしたが。聴いていて日本の「夏祭り」のような曲、と感じた。
ベートーベン、これは私の中にバックハウスの演奏が深く刷り込まれているので、フレージング、テンポ、いろいろ新しかった。気に入ったところもあれば、そうでないところも。アンデルシェフスキは、ある意味キーシンと対極的なピアニストという印象を受けた。分散和音はとても綺麗に弾き、歌も歌えるのだが、和音の力強く早いパッセージなどは、なんとも頼りない感じ。シューベルトの遺作ソナタを弾いたら、綺麗に歌えるのではないか、と思い、サイン会でお願いしてしまった。
演奏会の後、恒例のサイン会。流石にCDを買う気にはなれなかったので、カメラだけ持って、手の写真をお願いした。
何処かのサイトに「ポーランドの千秋様」と書いてあった。家族の中で、ただ一人、千秋に対して何の好感情も持たない私であるが、それでも、千秋が気の毒ではないか、と思うのは私だけだろうか。