風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

着物を着る仕事

2008年01月04日 10時05分48秒 | エッセイ、随筆、小説



着物を着る。
優雅に、艶やかに、粋に。
仕事で使用するため
高価な着物ではないにしろ、
時代劇から帯結びや
半襟や着物全体の色彩を盗み学び、
江戸の着付けを身に付けていく。


腰紐が体の歪みを正す。
体から痛みが消える。
体調が安定していく。
安定が確信へ。


今年は大好きな紬を仕立てよう。
夏花火の予約を済ませて
もう少し粋に着物が着られるように
今から練習だ。


桐箪笥は引っ越し後、
着物の生活は私の憧れだ。
体調がよくなるなら、
一石二鳥、言うことないぞ。




パンを焼く

2008年01月04日 09時40分11秒 | エッセイ、随筆、小説



メニューつくりのいっかんとして、
自宅にあったもので
パン作りすることに。
献立は、ドライトマトの刻みを練り込んだ
ふわふわパン、のつもり。
美味く完成しますように。
祈りながら
こねこね、ねりねりをしばし繰り返す。


シエルの散歩をしながら
リハビリを兼ねてストレッチを行う。
潮風が髪を揺らし、
頬を撫でる。
ヨガみたいに息の使い方に気遣い
深く深呼吸する。
体が軽くなっていく。
気持ちよい。


海に近い川の土手を
どこまでも歩いていたら、
顔に目立つ黒子を持ったご婦人と
すれ違った。
負のイメージ強い黒子のはずが
あまりに美しく
私は思わずみとれてしまう。
水面がきらきらと目映くて
夏かと一瞬錯覚してしまうほどに華やかに
たんぽぽや他の草花が
足元にひしめき合って
太陽の方向へ笑顔を
振りまいているみたいに
生き生きしている。


冬の光景ではない、と
私は心の中で思う。
だからといって憂うわけでもなく、
温暖化だと嘆くわけでもなく、
新年のそれとも違う景色に
希望や幸せを重ね合わせてしまう。


どこからともなく
幸せが運ばれてきて
それに酔いしれている感覚が
心地良すぎるのだ。


そうしたらいきなりパンを焼きたくなった。
店のメニューを考えながら
何時間も土手沿いを歩き、
小さな体のシエルは
すぐにばてて抱っこをせがむ。


私の体力が戻ってきた祝いは
やはりパンを焼くしか他に思い付かない。
もう少し上手に焼けるようになったら
店のメニューに取り入れよう。


グラニュー糖の結晶、
生地の肌触り、
オーブンから立ちこめる香ばしいかおり、
新年の祝いパンの出来映え、
はたらく意味、
その喜びと夢の実現への思い、
または情熱が向かう方向性、


焼きたてのパンを
シエルが美味しいといって
ぱくぱくと食べている。
娘はランチにするといって
そのほとんどをカバンに詰めている。


私が焼いたパン。
まだまだだ。
店のメニューに加えるなど
大それた欲望に
苦笑を浮かべてはいるものの、
私は本気だ。


祝いパン、なかなかの味わい。