風の生まれる場所

海藍のような言ノ葉の世界

空や雲や海や星や月や風との語らいを
言葉へ置き換えていけたら・・・

大人の恋

2009年10月12日 15時31分44秒 | エッセイ、随筆、小説




アロマディフーザーをセットした。
ドリカムやJUJUのPVを流して、ベッドに寝そべったまま、毛布に包まり空を見上げる。

青くて高い空。
秋の風がインド綿の布を柔らかく膨らませたり萎ませたりしながら揺らしていく。

高い空という表現が好きです。
今日の体調はどうですか?と短いメールが届いた。

昨日、私が胸を借りた商社マンからのもの。
私を、彼を知らなければ体調を心配させることもなかったのに・・・とすこし胸が痛んだ。
私の体調は安定しているものの、さっきまで眠っていたことも、今日は出掛けられないことも内緒にした。
今はカフェで、お茶を飲みながら医療の勉強をしています・・・・・と返信に宛てる。
本当はベッドで、毛布に包まって、青くて高い空をただぼんやりと眺めているだけだというのに。

優しさに触れると涙腺が緩んでしまう。
だから、外出ができない。
難解な医療本を目前にしていても、優しさを思い出しただけでどこでも泣けてしまう。
泣ける歳になったということなのだろうか。
それとも、泣けるだけの思いを、出来事を重ねて来たということなのだろうか。

あなたの1日が終わるときに傍にいるね。
なんにも言わないでやさしいキスをして。
そっと髪を撫でて肩を抱いて傍にいるね。
あなたが眠るまで、やさしいキスをして。

西日の、緋色の色彩があまりにも美しすぎて、仕舞ってあるはずの切なさをどこかから引き出してくる。
生命の色が緋色だという話をしたのは、確か、14年前の、あなたとの会話、NYにて。




※一部、ドリカムの「やさしいキスをして」を引用しています。