ケアハウス ラポーレ駿河ってこんな処

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どうして風力発電は伸びないのだろう?

2013年03月06日 | 気になるネタ

再生可能エネルギーとして期待の一翼を担ったはずの風力発電がどうも振るわない。

日本風力発電協会のまとめによると、2012年の1年間で設置された風力発電は、前年比61%も減少の7万8000キロワットだった。昨年7月から「電力固定価格買い取り制度」が始まったにもかかわらず、どうして風力は伸びないのだろう。

 買い取り制度では1キロワット当たり57・75円(発電量20キロワット未満)と太陽光発電同42円より高いにもかかわらず、買い取りの申請が少なかった。要は太陽光発電などに比べ立地や設備の設置が難しく、取り扱いがやっかいだからだ。経産省によると買い取り制度で昨年11月末までに認定を受けた発電設備は、太陽光が326・2万キロワットと全体の9割とほとんどを占めた。

 業界のPR風にいえば、これまで一般にはなじみのなかった風力発電だが、最近は駅の屋上などに設置されるケースが増えてきた。小型のシステムであれば、住宅や店舗でも屋上や庭などの空きスペースに設置が可能。設備の構成要素は風車部分を除けば太陽光発電システムとほとんど変わらない。

 だが、難点も多い。家庭用の小さな風車なら直径が2メートル程度で、発電能力は1キロワット程度が一般的。企業がビルの屋上に設置するような大きめの風車になると、10キロワットクラスの製品もあるが、発電能力は風車の直径の2乗に比例するので、10キロワットの製品だと風車の直径が6メートルにもなる。

 太陽光パネルを住宅の屋根全体に設置すると4キロワットくらいの発電能力となるのに、風力でそれと同等の発電能力を実現するためには、直径2メートルの風車を4基も設置しなくてはいけない計算になる。住宅街などでは設置が難しく、この大きさが太陽光よりも劣るとされる点だ。また、設備費も割高で、固定買い取り制度での試算では小型の風力発電で1キロワット当たり125万円と見積もられている。

 しかし、風力は適地さえ得れば、有力な発電所となる。原理的にいえば、電力量は風速の3乗で増えていくからだ。海岸沿いの立地で風速が毎秒5メートルの場合、1キロワットの風車で発電量は1500キロワット時が見込める。適地での風力発電は大型化が可能だし、望まれてもいる。東北や北海道の海岸沿いで大型風力発電がスタートしているが、好調だ。

 ただ、これが即座に広がるかといえばやはり異論がある。かねてから指摘されている低周波振動や美観、設置工事の難点などだ。人家に近接して設置された場合、近隣住民がめまい、動悸(どうき)、耳鳴りなどの症状を訴えるケースがあった。ブレードやタービン部が出す風切り音、低周波振動が原因とされた。このほか鳥類への被害も報告されている。立地が消費地と離れていれば送電線も建設しないといけない。その建設工事が周辺の自然環境に与える影響も心配される。

 そこで海上風力なども検討されているが、一部で実験的に行われている程度で、本格的な建設動向には至っていない。

 風力を再生可能エネルギーの“エース”とみる経産省は、北海道や東北など適地があるのだから送電網を整備すればよいとして、新規立地する企業から資金を集め、風力発送電網を構築。現在の3倍の発電量を計画している。原発代替として再生可能エネルギー拡大に懸命な経産省としてはなんとしても風力発電の育成に望みをつなぎたいようだ。(産経新聞編集委員・小林隆太郎)


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