俳優の草刈正雄(63)が、次女で末っ子の女優・草刈麻有(22)とともに「鑑賞マニュアル 美の壺」(金曜19時半~、NHK・BSプレミアム)のロケ取材会に出席。
4月1日放送回で若かりし頃の恋人同士という設定で共演したことについて、「驚きましたねぇ。嫌ですねぇ。なんてコンテを作ってくれるのか」と苦笑い。一方の麻有は、「家ではだらだらしているパパしか見てないので新鮮でした」と、“働く”父親のりりしい姿に驚いた様子だった。
通称「美の壺」は4月で放送10周年を迎える人気教養番組。初代ナビゲーター谷啓の時代から同番組の大ファンだったという草刈は、「こんなセンスのいい番組に7年間も出演できてうれしい」と喜びを語ったが、今や草刈自身の俳優としてのセンスにもさらに磨きがかかり、円熟の域に達したといえるだろう。
■「真田丸」では主役を食う存在感
放送中のNHK大河「真田丸」で真田家当主(昌幸)を好演。抜群の二枚舌っぷりで視聴者を引きつけるのは広く知られるところである。有力武将のはざまで弱小一族の窮地を乗り切るべく、権謀術数の限りを尽くし生き残るさまを息子たちに見せつける。ドラマ前半の事実上の主役として抜群の存在感を発揮しているのだ。
「前半戦の見どころは、まぶしいぐらいに光る草刈の演技です。特に堺雅人や大泉洋が演じる息子たちと語り合う場面。これは見る側の心情によるところもあるかもしれませんが、昨年2月に23歳の長男が転落死し、息子に先立たれた草刈の無念な思いが芝居に深みを持たせているように感じます。若い頃にハーフ俳優として二枚目の役を全うし、いい具合に年齢と経験を重ねた。狡猾な一面をコミカルに表現する演技力は一日にしてならず。長年のキャリアのたまものだと思います」(コラムニストの桧山珠美氏)
草刈は先日のスポーツ紙のインタビューで「今でも波のように来ます。胸が重たくなります」と、亡き息子について癒えない胸の内を語っていた。この日の取材会で、麻有は「『真田さん』とあだ名をつけて呼んでいます」と、仲の良い草刈家を感じさせるエピソードを披露。酸いも甘いも乗り越えて、今や“軽み”の境地だ。