2015年のブログです
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藤山さんらが監修をされた『事例で学ぶアセスメントとマネジメント-こころを考える臨床実践』(2014・岩崎学術出版社)を再読しました。
やはり勉強になる本です。
精神分析的心理療法の初学者がベテラン2名にスーパーヴィジョンを受ける形式ですが,分析的な理解がとてもわかりやすく書かれています。
同じ現象をベテランはこんなに深く広く捉えられるんだと感動さえさせられます。
毎年参加させてもらっている精神分析学会で,同じ資料から先生がたは本当に多様で幅広く,そして深い理解を示されて唖然とすることが多いのですが,その一端がこの本でも体験できると思います。
もっともっと勉強をして,患者さんに役立つ理解を適切な形でうまく伝えられるようになりたいなと思いました。 (2015.5 記)
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2020年3月の追記です
久しぶりに読み返しました。やはり勉強になるいい本です。今回、印象に残ったことを一つ、二つ。
一つめは、カウンセリングをしましょう、という時の、カウンセリング、という言葉の意味が、カウンセラーとクライエントさんの間で違っている場合があるので要注意ということ。
これは、カウンセリングという言葉だけでなく、他の言葉、例えば、幸せ、とか、口うるさい、とか、厳しい、とかいった場合でも同様で、具体的に、細やかに、クライエントさんに話してもらい、理解をしていく必要があります。
二つめは、困っている相談主体をはっきりさせること。
困っている人と問題行動を起こしている人が違っている場合がありますので、大切な点です。
三つめは、クライエントさんを頑張りさせすぎないこと。
無理は続きませんし、かえってクライエントさんを傷つける場合があります。
背伸びをしたり、カウンセラーに気に入られようとして無理をしているような時には、クライエントさんの気持ちは尊重しつつ、無理をしようとしているクライエントさんの心理も検討をして、現実吟味をしっかりとしていくことが大切になるようです。
まだまだ勉強しなければならないことがたくさんあって、さらに読みを深めていきたいと思いました。 (2020.3 記)
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2023年秋の追記です
同じ言葉でも、人によって意味するところが違うということは、家庭裁判所の仕事でもずいぶん経験しました。
妻のいう「暴力」と夫のいう「暴力」、子どものいう「自由」と親のいう「自由」の違い。
聴いてみると、中身がずいぶん違ったりします。
それですれ違いになっている例が多くありました。
このすれ違いを理解する方法を下坂幸三さんがわかりやすく教えてくださっています。
「なぞる」という方法で、各人の言葉に込められた細かいニュアンスを拾っていきます。
ていないな臨床家は、おそらく、みなさん、同じような作業をされているのでしょう。
もっともっと学んでいこうと思います。 (2023.9 記)