2019年のブログです
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久保俊治さんの『羆撃ち』(2012・小学館文庫)を再読しました。
久保さんは、先日、ご紹介をした竹田津実さんの『獣医師の森への訪問者たち』(2018・集英社文庫)に出てきた猟師さんで、じーじはこのお二人が知り合いとは全く知らずに、お二人の本を別々に愛読してきており、本当にびっくりしました。
竹田津さんの本を読んでいるうちに、この名作をもう一度味わってみたくなり、さっそく読んでみました。
椎名誠さんが本書の帯に、その研ぎ澄まされた感性に羨望する、と書いておられますが、クマを追い詰め、クマと真剣勝負をする久保さんとクマとの死闘は本当にすごい!の一言につきます。
命がけという言葉が大げさではない世界で、クマも久保さんも全力で闘います。
その緊張感は、人間も動物の一員なんだなと思わせるものがあります。
久保さんは途中からフチという名のアイヌ犬を育てて、狩猟の相棒とします。
このフチと久保さんのやりとりがまたすばらしい世界です。
詳しいことは書きませんが、両者の信頼関係の美しさには本当に羨望します。
人間の世界でも、こんなに美しい関係はめったに見られないかもしれません。
北海道の大地を舞台にしたすばらしい物語を味わうことができました。
今年の夏は、この物語の舞台となった標津の森と山に行ってみたいなと思います。 (2019.3 記)