2021年2月のブログです
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伊岡瞬さんの『いつか、虹の向こうへ』(2005・角川書店)を読みました。
面白かったです。
何日か前に、本書の感想文をあるかたのブログで読ませてもらって、面白かったので読みたくなり、たしかあったよな、と思いながら本棚を探してみたら、下のほうにひっそりとありました。
2005年の本で、貧乏なじーじにはめずらしく単行本、ひょっとすると古本屋さんで購入したのかもしれません。
なかみは当然(?)、すっかり忘れていて、「いつか、虹の向こうへ」という少し格好良すぎる題名で敬遠をしていたのかもしれません(伊岡さん、ごめんなさい)。
しかーし、いい小説です。
一日で一気に読んでしまいました。
あらすじはあえて書きませんが、登場人物の5人がそれぞれ哀しい過去を抱えながらも、新しい出会いとある事件をきっかけに、少しだけ前を向いて生きることなります。
人は生きているだけで、悪意はなくても他人を傷つけてしまうかもしれないということ、そういう哀しみをうまく描いています。
そして、哀しいことに悪意のある者も少なくないことも描きます。
そこで試されることは何なのか、考えさせられます。
贖罪、赦し、…。
重たい課題ですが、希望といえないまでも、前を向ける何かは感じられそうな気がします。
そういうことを考えたり、思ったり、感じたりできる、いい小説だと思います。 (2021.2 記)