ちょっと前の知財記事から。
(朝日新聞デジタルより、以下引用)
「商品名似てる」ヨネックスを提訴 ゴルフ用品メーカー
自社のゴルフグリップと似た名称のテニスラケットが商標権を侵害しているとして、ゴルフ用品メーカー「Tour(ツアー) G」(東京都渋谷区)が、スポーツ用品大手ヨネックスに対し、そのラケットの販売差し止めや2200万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
提訴は7月3日付。訴状などによると、ツアーG社は2013年に別の会社から「TOUR G」という名称のゴルフグリップに関する事業を譲り受け、製造・販売を始めた。
(引用終わり)
<登録状況>
登録商標はこちら。
(第5307318号)

(第5731112号)

<使用状況>
被告HP→こちら
ちなみに原告HP→こちら
【所感】
=なんで訴訟にまで至ったんだろう?
被告側の「tourG」は、HPからも分かるように、いわゆる“シリーズ名”ではない。
シリーズ名は「VCORE」。
おそらく社内的にも保護の強弱はつけられていて、
「VCORE」は国際登録もされている(国際登録第1069030号:AU,CN,KR,EM,USを指定)。
「Tour G」は国内でも出願していない(なので今回の事態に至っている)。
「SI100」とかと同列に考え、品番・型番的な感覚だったのかな。
しかし、「Tour F93」「Tour F97」などを品番・型番と主張するのは苦しいと思う。
商標権侵害で警告なしでいきなり提訴されるというのはまれで、
通常はその前に何らかのやりとりがある。本件でもそうだったのではないか、と想像する。
このようなケースでの、被告側の一般的な対処策を考えてみる。
(1)否認する(非類似を主張する・商標的使用でない旨主張する など)
(2)権利の消滅を図る
(3)ライセンス(使用許諾)交渉・譲渡交渉を行う
(4)使用を中止する
これらの対処策は択一的なものではなく、
例えば「今後生産分は変更するから在庫分について許諾を受ける」(=(3)+(4))
或いは「不使用取消審判請求しつつ、交渉を行い条件を有利に導く」(=(2)+(3))
といったミックスを行うこともある。
ただ本件について、飽くまで今Web経由で入手可能な情報の限り、
(1)は厳しそう。「Tour」と「G」のフォントはかなり異なるけれども、
それだけで登録商標と非類似とは言いづらい。
(2)も、不使用は上述の通りHP上明確に使用しているから難しく、無効審判は除斥期間が経過しており
よっぽどの事情がなければ難しい。
そうとすると、選択肢が(3)と(4)しかない。
(※知財紛争の枠を超えた解決、例えばM&Aなど、を狙っているなら話は別だが。)
この状況だと、訴訟に至らしめずに解決する、というのが通常の流れだと、傍目には思える。
外部には見えない事情があるのかも知れず。帰趨を見守りたい。
(朝日新聞デジタルより、以下引用)
「商品名似てる」ヨネックスを提訴 ゴルフ用品メーカー
自社のゴルフグリップと似た名称のテニスラケットが商標権を侵害しているとして、ゴルフ用品メーカー「Tour(ツアー) G」(東京都渋谷区)が、スポーツ用品大手ヨネックスに対し、そのラケットの販売差し止めや2200万円の損害賠償を求めて東京地裁に提訴した。
提訴は7月3日付。訴状などによると、ツアーG社は2013年に別の会社から「TOUR G」という名称のゴルフグリップに関する事業を譲り受け、製造・販売を始めた。
(引用終わり)
<登録状況>
登録商標はこちら。
(第5307318号)

(第5731112号)

<使用状況>
被告HP→こちら
ちなみに原告HP→こちら
【所感】
=なんで訴訟にまで至ったんだろう?
被告側の「tourG」は、HPからも分かるように、いわゆる“シリーズ名”ではない。
シリーズ名は「VCORE」。
おそらく社内的にも保護の強弱はつけられていて、
「VCORE」は国際登録もされている(国際登録第1069030号:AU,CN,KR,EM,USを指定)。
「Tour G」は国内でも出願していない(なので今回の事態に至っている)。
「SI100」とかと同列に考え、品番・型番的な感覚だったのかな。
しかし、「Tour F93」「Tour F97」などを品番・型番と主張するのは苦しいと思う。
商標権侵害で警告なしでいきなり提訴されるというのはまれで、
通常はその前に何らかのやりとりがある。本件でもそうだったのではないか、と想像する。
このようなケースでの、被告側の一般的な対処策を考えてみる。
(1)否認する(非類似を主張する・商標的使用でない旨主張する など)
(2)権利の消滅を図る
(3)ライセンス(使用許諾)交渉・譲渡交渉を行う
(4)使用を中止する
これらの対処策は択一的なものではなく、
例えば「今後生産分は変更するから在庫分について許諾を受ける」(=(3)+(4))
或いは「不使用取消審判請求しつつ、交渉を行い条件を有利に導く」(=(2)+(3))
といったミックスを行うこともある。
ただ本件について、飽くまで今Web経由で入手可能な情報の限り、
(1)は厳しそう。「Tour」と「G」のフォントはかなり異なるけれども、
それだけで登録商標と非類似とは言いづらい。
(2)も、不使用は上述の通りHP上明確に使用しているから難しく、無効審判は除斥期間が経過しており
よっぽどの事情がなければ難しい。
そうとすると、選択肢が(3)と(4)しかない。
(※知財紛争の枠を超えた解決、例えばM&Aなど、を狙っているなら話は別だが。)
この状況だと、訴訟に至らしめずに解決する、というのが通常の流れだと、傍目には思える。
外部には見えない事情があるのかも知れず。帰趨を見守りたい。