弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【特許】たとえばこんな参入障壁

2017年08月14日 09時32分27秒 | 実務関係(特・実・意)
おはようございます!
梅雨明けしてからの方が雨の日が多い湘南地方です…今日も雨(+_+)

さて、今日はこんな生地、じゃない、記事

(ITmediaビジネスONLiNEより部分的に引用(詳細はリンクをどうぞ))
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たこ焼き器はたくさんあるのに、なぜイワタニの「炎たこ」が売れているのか

…たこ焼きをつくったことがない人でも“失敗せずに”つくれるのであれば、このたこ焼き器は売れているのではないか。そんな疑問をイワタニの商品開発担当者、福士拡憲さんに投げかけたところ「2012年から15年にかけて、1.6倍も売れました」という。家電量販店などに足を運べば、多くのたこ焼きが並んでいるのに、なぜイワタニの炎たこは売れているのか。その理由について聞いた。

…ちょっとずつ工夫はしていたのですが、それでも「うまくひっくり返すことができない」といった声はたくさんいただいていました。誰でも簡単にたこ焼きをつくることができないのか。生地をうまくひっくり返すことはできないのか。そうした課題をクリアするために、プレートに「切り溝」を付けたらうまくひっくり返すことができるのではと考え、実験でつくってみたところ、失敗しにくいことが分かってきました。

…バーナーの穴を見ていただけますか。長年、たこ焼き器を開発してきて、その歴史の中で、穴の位置を変えたり、向きを変えたり、角度を変えたり、大きさを変えたり、数を変えたりしてきました。焼きムラをなくするためにはどうしたらいいのか。そのために何度も何度も実験を繰り返して、いまの形になっているんですよね。

いえ、特許は取得していません。というわけで、他のメーカーさんも炎たこを参考にして、たこ焼き器をつくろうと思えばつくれるかもしれません。

実は、法律的にボンベはカセットコンロの部品扱いなんです。というわけで、カセットコンロは指定されたボンベを使わなければいけません(液化石油ガス器具等の技術上の基準等に関する省令)。ちなみに、カセットコンロは公的機関の検定を受けていまして、検定を受ける際、使用するボンベは自社のモノしか確認されていません。

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(引用終わり)

たこ焼き好きな私にはとても興味深い記事。
若かりし頃大阪転勤になったとき、開栓に来た大阪ガスの人に
「タコ焼き機どないします?」
と当たり前のように言われたのがちょっとしたカルチャーショックだった。

このタコ焼き機「スーパー炎たこ」は、カセットボンベタイプ。
場所を選ばずどこでもできる。

細かい改良の積み重ねで売れる商品を作り上げる。
そして後続排除のために通常なら特許も考えるところ、本件については特許は取得していない。
※気になって調べてみたが、「岩谷産業株式会社」名義での公開公報659件。特許出願には積極的な企業と言って良い。
 とはいえ上記記事にもあるように、生活用品・調理器具の分野での出願は控えめ(「コンロ」を全文中に含む公報で21件)。
 エネルギー分野の出願が多い様子。

法律上の制約があり、「部品」であるボンベで事実上囲い込みができているから敢えて特許は不要、という選択肢。
リソース配分の仕方としては参考になるところ。

Amazonでみてみたら、カスタマーレビュー脅威の「4.7」(レビュー数58件)!
うーん。買いたくなる(笑)



コメント
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