弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(著作権他)】声を出す勇気、認めて正す勇気

2019年06月02日 15時02分10秒 | 知財記事コメント
おはようございます…じゃないや、もうこんにちはだ。
曇り空の常楽寺です。大物の洗濯中@コインランドリーです。

そんな中、こんな記事

(HUFFPOSTより引用)
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星野源さん、自身の写真をファンがSNSアイコンに使用していることを「申し訳ないですけど、嫌です」と告白

5月28日深夜に放送されたラジオ番組「星野源のオールナイトニッポン」(ニッポン放送、毎週火曜深夜1時)で、音楽家・俳優の星野源さんが、自身の写真をファンがSNSのアイコンとして使用していることを、「僕、個人的な思いとしては嫌です。すいません」と言いにくそうに告白した。番組にファンから寄せられた質問に答える形で話した。

星野さんは、「『みんなやってるからダメじゃない』みたいになってるけど、例えばさ、テレビの画面を撮ってアイコンにしたりするって、本当はダメなことなんだよね。法律的にもさ。雑誌を撮って上げるとか、僕らが出したツイッターの画像を上げるとか、本当はダメなことなんだよね」と指摘した。

「このことに関して、僕一言も今まで言ってないから、今までやってる人たちは何も悪くありません」とファンを守った上で、「いい機会だから言わせてもらうと、僕は本当に申し訳ないですけど、嫌です」と告白した。

(以下略)
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(引用終わり)

人気商売だもの、言いにくいですよね。
たとえそれが明白に違法な行為であったとしても。

今の著作権周りの法律や肖像権、パブリシティ権に関する状況は、一般の方にはとても理解しにくいと思う。
その原因は複合的ではあるのだけど、
・法律そのものが複雑、或いは単一の規定として成文化されていない。
・違法行為が黙認ないし看過されている状況が極めて頻繁に散見されるため、アウト/セーフのラインが判らない。
・一見違法行為に見えるものでもライセンスを得て行っている場合もあるが、その「ライセンスを得ている事実」は一見してはわからない
という3点が特に大きいのではないか、と個人的には思っている。

法律という規範は、法の知識と遵法意識があって初めて機能する。
皆が法律を深く知っていることは望むべくもないが、そこまで深く知らなくても、明らかにアウトだとわかることでも
“みんなやってるから”“ちょっとくらい”でやるケースはあると思う。
群集心理で遵法意識が希薄化する場面とでも言えば良いのだろうか。

で、今回の源くんのように、本人がファンに向かって発することで状況が是正される状態、
(記事によれば番組中に問題となっていたインスタのアカウントが削除されたそうだ)
これは、別に遵法意識が高まったわけでもリテラシーが高まったわけでもなんでもなく、
ファンの在り方という別の規範(少なくともファンにとってそのコミュニティのなかでは「スター」の発言は正義だ)が機能したに過ぎない。
過ぎないのだけど、こういう動きはとても大事だ。
影響力のある人が、公権力に言わされるのではなく、自分の気持ちとして発信する。
これを受け手も受け止めて行動する。

そうとすると、社会全体のリテラシーを高めるために必要なのは、
個々末端まで自らの声を届かせることではなく、影響力のあるスターの意識を高めることなのかな。


…或いは自分がスターになるか(笑)
コメント
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