弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(特許)】特許非公開制度

2022年01月24日 08時42分48秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
薄曇りの@湘南地方です。

出張から戻ってきました。
疲労感が身体には残っていますが、まあ月曜日。巻きなおして頑張ります。

さて、今日はこんな記事

(日経電子版より引用)
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機密漏洩対策、企業に義務付け 経済安保法案
重要特許は国が非公開に 規程違反に補助金出さず

政府は19日、今国会に提出する経済安全保障推進法案の骨子をまとめた。先端技術の育成や半導体などの物資を確保するため、国内の基盤を強化する。官民に重要技術の機密保護を義務付け、財政支援をする場合の条件にする。罰則の導入も検討中だ。関係する企業は大きな影響を受ける。

岸田文雄首相は経済安保を重要政策に据えており、法案はその柱になる。

軍事や経済で力を増す中国が念頭にある。米国は各国に軍事転用可能な技術や機密情報の流出を防ぐよう促す。新型コロナウイルス禍では重要物資を中国に頼る構図が各国で問題になった。
(以下略)
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(引用終わり)

記事においては、
“国が審査して「安全保障上、極めて機微」と判断したものに限定して非公開を求める。”
とあり、ある意味恣意的に運用ができるとも読める。

この記事を理解する前提としては、「特許出願は原則優先日から1年6月で、審査状態の如何を問わず公開される」ということ。
「保護と利用の調和」という観点からは、公開の代償として一定期間の独占を認める、という制度の建付けとなっている。
この記事で言っている「特許の非公開制度」は、そうした建付けとは無関係(というか真逆)に、海外への技術流出を防ぐ観点からのもの。
保護主義というか、ブロック経済的な様相を呈してくるもので、知財に携わる人間としても一地球人としても素直に首肯しにくい面がある。

知財制度の問題、というよりは、国防(外交?)の問題、という理解。
米中対立が顕在化していく中、きな臭さを感じてしまうのは私だけではないと思う。

「極めて機微」が果たしてどのような基準なのかが良くわからないし、その基準はたぶん公開されることは無いのだろうけど、
極端な話「プレステ」一個あれば戦争できちゃうよね、という気もしている(あれだって「ハイテク技術」よ)。
まあ別の記事によれば、非公開の対象は当面「量子暗号」や「原子力」などの軍事転用の可能性が高い技術に限定されるとのことなので、
影響は限定的だとは思われる。
もともと欧米や中国には軍事関連技術を非公開にする制度はあるし、それと平仄を取る、という意味ではまあそうなのだけど。
コメント
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