おはようございます!
曇り空の@湘南地方です。
多少筋肉痛がマシになってきました。今日は普通に歩けそう。
さて、今日はこんな記事。
(日経XTRENDより引用)※太字、着色は当職が行いました。
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カシオG-SHOCKの知財戦略 2度目の挑戦で「立体商標」獲得
2023年6月、カシオ計算機の「G-SHOCK」が、ロゴも文字もない形状だけの立体商標として特許庁に登録された。G-SHOCKは、1983年の発売から40年が経過した今も八角形のベゼルが特徴の初代のフォルムを採用し続けており、同社にとって代表的なデザイン。しかし立体商標の登録は2005年に1度却下され、今回、ようやく登録に至った。
(中略)
申請に当たっては、ロゴや文字ではなく形状自体が広く認知されていることを裏付ける必要があった。そのため、G-SHOCKの特徴的な形状に加え、同じ形状を長く使い続け、それが広く認知されていることを示す資料を用意した。
資料の一例が、これまで、雑誌や新聞といったメディアに取り上げられた掲載記事だ。中でも、「耐衝撃性を突き詰めた形」や「初号機にして完成形」など、形状について言及があった記事を多く集めた。他にも発売当時の資料や、様々なブランドとのコラボレーション実績、宣伝広告などの実績を収集した。
カシオ計算機 開発本部 知的財産統轄部知財渉外部部長の松村聖子氏は、「発売後からの資料をしっかりとそろえ、提出することが重要。それが、この形状の継続使用の証拠になる」と言う。
(以下略)
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(引用終わり)
登録情報がこちら。
履歴をみると、当然のように拒絶査定不服審判までは上がっている。
というのと、現状異議申立てがかかっている模様(詳細はオープンになっていない)。
商品の形状それ自体の立体商標の登録には、原則的に周知性の立証が不可欠。
記事中にも写真が載っているけど、周知性の立証は基本「キロ単位」ないし「箱単位」。
昔からの使用の証明がメインになるので、(提出形態は電子化されたものになるとしても)元データは紙媒体、ということが多い。
「商標登録を受ける」ということは、同時に「他人の自由を制限する」ということも意味する。
特に商標登録は一回権利が確立すれば、その後は更新手続きにより半永久的に権利保持が可能な制度設計になっている。
したがって、商品の形状それ自体についての登録を認めることについて、特許庁サイドはどうしたって慎重にならざるを得ない。
今回は約17年の時を経て2度目のトライだったとのこと。
期間の経過とともに実績は積み重ねられていくから登録にプラスな材料は増えていく。
その一方で第三者による類似形状の商品も世に出回ることになり、商品形態それ自体が普遍化していってしまう、というマイナスの側面もある。
商品の形状それ自体が出所表示としての機能を獲得する、そういうケースは市場で確かに存在する。
商品の取扱い主体としてはその状態を恒常化させたいから、登録を目指す。
同業他社としては、とりわけ商品の形状デザイン選択は制限されたくないから、権利化を阻止する方向で動く。
行政庁としては競争秩序の維持の観点、バランスの観点から登録の可否を判断する。
そうやって考えると、立体商標の登録というのは、「営業努力の積み重ね」と「他社の選択の自由」を天秤にかけた結果、
前者がより重たいと判断されて初めて成立する。その立証が「キロ単位」になるのはある意味必然でもあるわけだ。
曇り空の@湘南地方です。
多少筋肉痛がマシになってきました。今日は普通に歩けそう。
さて、今日はこんな記事。
(日経XTRENDより引用)※太字、着色は当職が行いました。
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カシオG-SHOCKの知財戦略 2度目の挑戦で「立体商標」獲得
2023年6月、カシオ計算機の「G-SHOCK」が、ロゴも文字もない形状だけの立体商標として特許庁に登録された。G-SHOCKは、1983年の発売から40年が経過した今も八角形のベゼルが特徴の初代のフォルムを採用し続けており、同社にとって代表的なデザイン。しかし立体商標の登録は2005年に1度却下され、今回、ようやく登録に至った。
(中略)
申請に当たっては、ロゴや文字ではなく形状自体が広く認知されていることを裏付ける必要があった。そのため、G-SHOCKの特徴的な形状に加え、同じ形状を長く使い続け、それが広く認知されていることを示す資料を用意した。
資料の一例が、これまで、雑誌や新聞といったメディアに取り上げられた掲載記事だ。中でも、「耐衝撃性を突き詰めた形」や「初号機にして完成形」など、形状について言及があった記事を多く集めた。他にも発売当時の資料や、様々なブランドとのコラボレーション実績、宣伝広告などの実績を収集した。
カシオ計算機 開発本部 知的財産統轄部知財渉外部部長の松村聖子氏は、「発売後からの資料をしっかりとそろえ、提出することが重要。それが、この形状の継続使用の証拠になる」と言う。
(以下略)
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(引用終わり)
登録情報がこちら。
履歴をみると、当然のように拒絶査定不服審判までは上がっている。
というのと、現状異議申立てがかかっている模様(詳細はオープンになっていない)。
商品の形状それ自体の立体商標の登録には、原則的に周知性の立証が不可欠。
記事中にも写真が載っているけど、周知性の立証は基本「キロ単位」ないし「箱単位」。
昔からの使用の証明がメインになるので、(提出形態は電子化されたものになるとしても)元データは紙媒体、ということが多い。
「商標登録を受ける」ということは、同時に「他人の自由を制限する」ということも意味する。
特に商標登録は一回権利が確立すれば、その後は更新手続きにより半永久的に権利保持が可能な制度設計になっている。
したがって、商品の形状それ自体についての登録を認めることについて、特許庁サイドはどうしたって慎重にならざるを得ない。
今回は約17年の時を経て2度目のトライだったとのこと。
期間の経過とともに実績は積み重ねられていくから登録にプラスな材料は増えていく。
その一方で第三者による類似形状の商品も世に出回ることになり、商品形態それ自体が普遍化していってしまう、というマイナスの側面もある。
商品の形状それ自体が出所表示としての機能を獲得する、そういうケースは市場で確かに存在する。
商品の取扱い主体としてはその状態を恒常化させたいから、登録を目指す。
同業他社としては、とりわけ商品の形状デザイン選択は制限されたくないから、権利化を阻止する方向で動く。
行政庁としては競争秩序の維持の観点、バランスの観点から登録の可否を判断する。
そうやって考えると、立体商標の登録というのは、「営業努力の積み重ね」と「他社の選択の自由」を天秤にかけた結果、
前者がより重たいと判断されて初めて成立する。その立証が「キロ単位」になるのはある意味必然でもあるわけだ。