弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【恒例】流行語大賞で学ぶ商標2022(第1回)

2022年11月08日 08時45分01秒 | 名作シリーズ(笑)
おはようございます!
快晴の青空広がる@湘南地方です。

さて、もうこんな話題を取り上げる時期になりました。
そうだよね、昨日11/7は暦の上では「立冬」=冬のはじまりだもんね。
気が付けばこのブログで最初に取り上げたのは2012年ですから…11年目となりました。


「現代用語の基礎知識」選 ユーキャン新語・流行語大賞

ノミネート語をさらっと見ると、コロナの色濃かったここ2年と比べるとだいぶバラエティに富んでいる。
その中でも野球関係が少し多め、かな? =「大谷ルール」、「きつねダンス」、「青春って、すごく密なので」、「BIGBOSS」、「村神様」、「令和の怪物」

そんなわけで今日はこんな話題。

(1)「〇〇(の)怪物」:登録/拒絶の境界線①

「令和の怪物」は、プロ野球で28年ぶりに史上16人目の完全試合を達成した、ロッテ佐々木朗希投手(21)の異名。
完全試合がセンセーショナル過ぎて(ちなみに相手チームは今年日本一になったオリックス)、その後の活躍があまり目立たないな…なんて思っていたけど、
シーズン通算での被打率.177って、やっぱり怪物だわ。。

「令和の怪物」の前には「平成の怪物」がいたわけで。
言わずと知れた松坂大輔
横浜高校で公式戦44戦無敗。延長17回完封勝利。春の甲子園決勝でノーノー達成。
などなど、記録にも残る選手であることはもちろん、記憶にも残る選手。

まあ「怪物」というと、“モンスター、魔物”といったどちらかというとダークなイメージの方が強い語で、
規格外であることを表す語として用いられている。

そんなわけで、商標的にもあまり使いにくい語なのかな。検索を掛けてみたけど、
「〇〇怪物」「〇〇かいぶつ」「〇〇カイブツ」だとこんな感じ。



いた。「平成の怪物」。酒類関係でかつて登録されていた(現在は更新しておらず権利は消滅)。

商標法上、このような規定がある。

(商標登録を受けることができない商標)
第四条 次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
八 他人の肖像又は他人の氏名若しくは名称若しくは著名な雅号、芸名若しくは筆名若しくはこれらの著名な略称を含む商標(その他人の承諾を得ているものを除く。)


他人の「芸名」やその「著名な略称」だと登録を受けることができない。
が、「平成の怪物」は松坂大輔の「芸名」ではなく周囲が勝手に付けた異名なのでこの条文には引っかからず、他の登録要件具備を条件に登録される。

だから、大のロッテファンな社長さんが自社の商品に「令和の怪物」というネーミングをしてこれを出願した場合も、登録をされる可能性は高い。
でも、大のKing&Princeファンな社長さんが自社の製品に「キンプリ」というネーミングをしてこれを出願すると、「他人の名称の著名な略称」に該当し拒絶される可能性が高い。

というわけで、流行語大賞で学ぶ商標、第1回はこの辺で。


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