弁理士『三色眼鏡』の業務日誌     ~大海原編~

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【知財記事(商標)】「コロナ便乗商法」…?

2021年07月02日 08時38分22秒 | 知財記事コメント
おはようございます!
連日の雨、な@湘南地方です。
ま、梅雨ですもんね。今日明日結構降るらしく、休校になった小学校もあるとか。
皆さまお気を付けください。

さて、今日はこんな記事

(zakzak by 夕刊フジより引用)
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「コロナ便乗商法」か コロナキラーにコロナバスター…不謹慎商標出願相次ぐ

コロナキラーにコロナバスター、人気漫画のタイトルをまねたとみられる「コロナの刃」まで。新型コロナ感染拡大に伴い「コロナ」を含む商標の登録出願が相次いでいる。殺菌装置や薬剤などの商標に加えて、生理用品や肥料といった感染症とは関連性がない申請も。コロナ禍打開への期待に便乗した商法との指摘もあり、特許庁は今後対策を講じる可能性もあるとしている。
(以下略)
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(引用終わり)

なるほど、JP-NETを用いて検索したところ、
「コロナ」の文字列が含まれる出願はこれまでに464件。
そのうち2020年1月1日以降の出願は131件だから、確かにここ2年足らずで“コロナ関連”の出願は多数なされている。
「コロナキラー」に「コロナファイター」、「コロナ生活」などなど…。

記事においては「乱用が疑われる事例も少なくない」とあるが、
「乱用」とは一体…?「不謹慎」とは一体…???

誰がどのような商品を出し、どのような広告宣伝を行って販売するかは、
法規に則って行う限りにおいて自由。
そりゃ“違法じゃないなら何でもよい”ってことではなく、商道徳や消費者感情も考慮した行動を選択すべきだとは思うし、
ネーミングセンスの良し悪しは別途議論の余地はあるとは思う。

しかし、
「コロナ」を冠した商品名が「不謹慎」でこれを「乱用」する、というのはどのようなバイアスがかかった考え方なのか。
記事内では標章「AINU」についての出願例(7号(公序良俗違反)で拒絶)と同様であるかのような記載をしているが、
特定の他者、或いは特定地域の共有財産に便乗する形での出願と、未曽有の社会問題に対する解決可能性を提示する商品についての出願とを
あたかも同じ穴の狢であるかのように述べており、不見識というほかはない。

「特許庁は今後対策を講じる可能性もあるとしている」というが、
「対策」とは?そもそも「特許庁」のどこの部署に取材したのかが不明確。
「コロナ」が含まれた出願は公序良俗違反だとでも?
こういう、中途半端でミスリーディングな記事は迷惑でしかない。

そのときそのときの流行りに絡んだ出願というのはあるもので、
同様の例だと
「オンライン○○」(通算1308件、うち2020年以降412件)
「おうち○○」(通算1120件、うち2020年以降308件)
「リモート○○」(通算483件、うち2020年以降176件)
…とまあ、「便乗」なるものはこの分野、極めてフツーにあるもの。

別にこういう意味での「便乗」は可罰的でも公序良俗違反でもない。
ただ、センスは大事。

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