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官僚の国会答弁づくり、深夜1時まで 悩む「一行通告」

2023-10-01 13:30:57 | 日本政治・外交

国会の見どころといえば首相や閣僚と議員との質疑応答の丁々発止だ。霞が関の官僚の長時間労働がその見せ場を支えている。国会は官僚の働き方改革の一環で、役所への質問内容の事前通告について迅速化を決めた。近年は多少改善したとされるが「夜なべ」作業は減ったのだろうか。

議員は事前に委員会などの質問内容を各府省庁に通告し、官僚が閣僚らの答弁案を作成して質疑に臨む。

国会会期中は最終的に「通告なし」を確認できるまで職員が職場に長時間待機する例がある。

通告を受けた場合は質疑当日の朝までに答弁案をつくる。通告が遅れると深夜残業に直結する。

「一行だと本当にしんどい」。議員によっては「経済対策全般について」や「外交に関して」など曖昧な質問を提示する例がある。

霞が関の隠語で「一行通告」や「一行要旨」と呼ぶ。官僚は答弁作成に頭を抱える。通告が「経済対策全般」だとどんな質問が来るか予知が難しい。

その種の質問に対応したことのある官僚は「質問者のブログやSNS(交流サイト)、過去の発言から問題意識をあぶり出す。

そこから質問を類推して答弁を作成し続けるという果てしない作業をしていた」と話す。

別の官僚は「所管を守らない質問もあった」と振り返る。「閣僚が担当する管轄ではないのに、責任を持って答えるよう言われたことがあった」と説明する。

閣僚の不祥事などを追及する議員にとって通告で手の内を明かすことに慎重になる心理も働く。

人事院は前から国会に質問通告の改善を要請してきた。今年6月に与野党は衆院議院運営委員会の理事会で質問通告のあり方を決めた。

「速やかな質問通告に努めるとともに、デジタルツールを利用した質問通告の推進に努める」と記した。

「所属する会派はその事情を調査のうえ、必要な措置を講ずように努力する」とも強調した。結果は努力義務にとどまった。

議運委の山口俊一委員長は「衆院の機関として正式な合意となった。実効性が高まる」と強調する。

与野党の合意で「通告内容の明確化」「趣旨が不明な一行要旨による通告の改善」と明記する案もあったが、野党側が反発し見送った。

質問通告の是正の歴史は古い。1999年に与野党が「(質疑の)2日前の正午」と通告期限を申し合わせた。

2014年に与野党で「充実した質疑と、国家公務員の過剰な残業是正等を行うため、すみやかな質問通告に努める」と確認した。

ところが改善した様子はなかった。内閣人事局が23年1月に公表した調査によると、22年11〜12月に2日前の正午までに通告があったのは質問全体の19%にとどまった。

ある野党議員は「2日前に質問を出すのは厳しい」と述べる。質問者が決まるのが2日前になる時もあり、準備を急いでも早く出せないときがあるという。内容が曖昧という指摘には「手の内をみせたくない」と反論する。

日本維新の会には2日前の夕方5時までに通告するルールがある。所属議員の一人は「それより前に通告するようにしている」と語る。

内閣人事局は8月に通常国会での国家公務員の働き方の実態調査を発表した。委員会で官僚が最後の答弁作成に着手した平均時刻が委員会前日の午後6時26分だった。

22年秋の臨時国会と比べて1時間28分早まった。すべての答弁作成が完了した時刻の平均は1時間14分改善したものの、委員会当日の午前1時42分だった。深夜3時前が2時前になっただけで「午前様」はかわらない。

深夜勤務の翌日もたいへんだ。官僚は朝から閣僚らへの「レク」とよぶ説明にあたる。閣僚の答弁がうまくいかず委員会が荒れたらさらに対応が必要になる。心身ともにストレスフルだ。

人事院が3月に公表した省庁の国会対応に関する調査で、残業の理由のトップは「通告が遅い」、次いで「内容が不明確」だった。持ち時間に対し過剰な数の質問を通告する議員の例も指摘された。

英国首相は閣僚に答弁頼れず 明治学院大・池本大輔教授

日本は質問通告があるが、海外の議会はどうなのか。英国政治に詳しい明治学院大の池本大輔教授に聞いた。

英国で議員が首相に質問する場合、原則として事前に質問通告する必要はない。首相は担当閣僚に答弁を委ねることはできず、すべての質問に答えなければならない。この慣習はサッチャー首相から始まった。


 議会で発言する英国のスナク首相=英議会提供・ロイター

 

首相への質問は週に1回、30分間設けられる。野党第1党の党首は6問、第2党の党首は2問質問できる。

日本は首相答弁は秘書官ら官僚が準備する。英国は政党のリサーチ部門の若手スタッフらが担う。スタッフは将来、政界のエリートコースを進む場合が多い。キャメロン元首相はメージャー元首相のもとで働いたことがある。

閣僚に質問する場合は3日前までに書面で通告する必要がある。関連質問は事前に提出しなくてよい。調べればわかることや6カ月以内に質問されたことの再質問は認められていない。閣僚は平均して5週間に1回ほど質問を受ける。

日本は当選回数が多ければ閣僚になれる仕組みがほぼできあがっている。英国は答弁をきちんとこなせる人が出世する傾向がある。官僚の負担に違いが出るとみている。

日本は国会を通年で開いているわけではなく「会期不継続の原則」があるため審議時間が重要となる。野党は閣僚を追い詰め審議の引き延ばしに注力しがちだ。本格的な政策の議論というより閣僚の不祥事などがテーマになる。

官僚は自分の省庁の閣僚がきちんと答弁できることが最も大切で答弁の内容を固める。長時間労働につながる背景の一つだろう。

記者の目 変わらぬ国会、人材遠のく

初めて永田町を取材したとき「日程闘争」という国会用語に驚いた。与野党が審議日程の駆け引きをすることを指す。野党は会期中の法案成立の阻止を目指し、国会対策の戦略として使う。

委員会審議などを止めて時間を引き延ばすのが一つの手段で、とくに会期末は「深夜国会」になりがちだ。遅い質問通告とともに霞が関の長時間労働につながっている。

政策の問題点や閣僚らの資質を正面から問いただし、時には野党も政府・与党に提案する建設的な議論を国会に期待したい。優秀な学生の霞が関離れにはいろいろ理由があるが、昔ながらの国会対策の手法に対応する仕事ぶりを嫌がる声もある。国会は霞が関の人材育成のためにも協力が欠かせない。(能勢美季)

 

日経記事  2023.10.01より引用

 

 

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寄生虫がアリを誘導? 草食動物のえさ場に移動

2023-10-01 13:21:51 | 動植物全般・恐竜・動物・昆虫・魚類・植物


槍形吸虫に寄生されたアリは草食動物の食事時に草の上部に集まる

 

デンマークのコペンハーゲン大学の研究チームは、寄生虫の「槍形吸虫」に脳を乗っ取られたことによるアリの行動の変化を明らかにした。

気温が低い夜明けや夕暮れに、草の上部に寄生されたアリが集まっていた。牛などの草食動物の食事時にあたり、それらの動物に寄生できるように槍形吸虫が仕向けている可能性があるという。

槍形吸虫はカタツムリやアリ、草食動物など様々な動物に寄生する。研究チームは寄生された数百匹のアリを観察した。

気温が低いときに草の上部で顎を草に固定しており、草食動物に食べられやすくなっていた。今後、詳細な仕組みの解明を進める。

 

日経記事 2023.10.01より引用

 

 

 

 


GS-13 ゴールドマン・サックスの大株主になった住友銀行

2023-10-01 06:51:34 | 世界経済と金融


リサ・エンドリック Lisa Endlich
MIT(マサチューセッツ工科大学)でマネジメントと都市計画の修士号を取得後、ゴールドマン・sっクスに入社。 外国為替部門のトレーダーとなり、ヴァイス・プレジデントの肩書を得る。退社後は夫と三人の子供とともにロサンジェルスに在住。

斎藤聖美
東京生まれ、慶応義塾大学経済学部卒、ハーバードMBA。モルガンスタンレー投資銀行の不動産部門の在日代表を経て独立、コンサルティング会社エースジャパン代表取締役。

 

P50-53より引用

ゴールドマン・サックスの企業文化は、パートナー制のもとで育まれてきた。そして、経営者が同時にオーナーであるために可能な、金銭的な報奨制度の仕組みで守られてきた。 ゴールドマン・サックスが株式を公開したとすれば、現状を維持していくことは不可能であろう。

インスティテュースーショナル・インベスター誌は、「1986年は、ウォール街の大売り出しの年だった」と書いている。

その年に先立つ5年間に、主な競争相手は、公開企業となり、合併され、あるいは消滅していった。

 

発端は1981年、ソロモン・ブラザーズのフィリップ・ブラザーズへの売却だった。トレーディングの強さと巨大な資本が結びつき、同社は向かうところ敵なしの状態となった。

ソロモン・ブラザーズのパートナーは数百万ドルの資産を手にし、1980年代半ば、同社はますます力を強めて行った。

この出来事は、通りを隔てたゴールドマン・サックスのパートナーの頭から去ることはなかった。

リーマン・ブラザーズは1984年にアメリカン・エキスプレスに身売りした。キダー・ピーボディは1986年、コングロマリットのゼネラル・エレクトリック(GE)社に、1981年ディーン・ウィッターはシアーズに買収された。

ベアー・スターンズは1985年公開に踏み切った。 この一連の合併・買収で、強豪の相手が出現したかに見えたが、大半は時を置かずして困難な状況に陥り、結局は再び売却の憂き目にさらされている。

 


ゴールドマン・サックスが一番大きな衝撃を受けたのは、最も手ごわいライバル。モルガン・スタンレーが簿価の2.76倍の価格で株式公開を行たことだった。
20%の株式が一般に売り出され、同社は2億5400万ドルの資金を調達した。パートナーはマネージング・ディレクターとなり、大きな財産を手にした。

 

ファースト・ボストンやメリルリンチも侮りがたい競争相手となってはきていたが、ゴールドマン・サックスにとって、モルガン・スタンレーだけが唯一の競争相手であり、恐れる相手であった。

モルガン・スタンレーのパートナーたちは、レバレッジド・バイアウトやマーチャントン・バンキングなどのリスクの高い分野に手を広げていうためには、もはやパートナー制ではやっていけないと考えて、公海に踏み切った。

新たな資金調達の手段を得たことは、とりもなおさず新たな機会を得ることを意味し、モルガン・スタンレーは、ゴールドマン・サックスを遠く引き離してトップを走るのでは、とオールドマン・サックスは懸念した。

 

 

ゴールドマン・サックス自体も、1986年に株式の一部売却に踏み切っている。 それは、その一年前の出来事だった。 ある朝、名前を名乗ることを拒む男がジョン・ワインバーグの秘書、アン・エリクソンに電話をしてきた。

今から3週間後の火曜日に、ミスター・ワインバーグは席におられるだろうかと彼は訪ねた。 エリクソンはワインバーグの予定を確認できなかったので、分かりませんと答えた。電話の相手は、名前も何も残さず、また電話しますとだけ言って電話を切った。

 

2週間後、名前を名乗らぬ同じ男が電話をしてきて同じ日時を尋ねたとき、彼女はワインバーグはオフィスにいるはずだと答えた。約束の日になると、2人の日本人がワインバーグのオフィスに現れた。一人は訪問者であり、一人は通訳役のアシスタントであった。

日本語しか話さない男は、かたわらのアシスタントを通じて、自分は住友銀行頭取の小松康です、私は身を隠してあなたに会いに来ました、とワインバーグに名乗った。

 

 

彼は行き先を悟られないように、東京からワシントン州シアトルに飛び、そこでワシントンDC行期の飛行機に乗り換え、ワシントンからシャトル便でニューヨークのラガーディア空港に飛んだのだという。 ワインバーグはこの秘密めいた行動に驚いた。 そして、金融界の人間や弁護士は常にニューヨークとワシントンの間をシャトル便で行き来するから、隠密く行動なんか到底無理ですよ、と話した。


ワインバーグはこの訪問に不意を突かれた。 住友銀行が以前からアメリカの投資銀行に関心を持っており、ゴールドマン・サックスの動向を見守っていたなど、彼は知る由もなかった。 

 



住友銀行は当時世界第三位の大きさで、日本で最も利益率の高い銀行であった。
彼らは経営コンサルティング会社、マッキンゼー社を雇って、アメリカの投資銀行市場に参入する最善の方法を研究させた。

マッキンゼーはゴールドマン・サックスに投資することを理想的な方法として推奨した。

長い歴史の中で、ゴールドマン・サックスが外部の資本を取り入れたことはなかった。 また、これはワインバーグ個人にとって難しい問題であった。

 

彼は第二次世界大戦で日本の海軍と戦い、長崎に原爆が落とされた直後、捕虜収容所解放を手伝っている。 小松はかつて海軍士官で、彼の駆逐艦はアメリカ軍に撃沈させられている。

ワインバーグは当初、提携に懐疑的ではあったが、パートナーたちに公平であろうとして交渉を進めることにした。

 

 

小松の提案を聞いてワインバーグは目を見張った。 澄人が評価したゴールドマン・サックスの資産価値は社内の評価をはるかに上回るものだった。 

小松は、現金出資し、その出資比率に応じた利益の12.5%を受け取る代わりに5億ドルを出資するという提案は、ゴールドマン・サックスの資産評価を40億ドルと評価したことを意味する。 他の投資銀行はさらに低い数字でしかなかった。 

 

この話は極秘のうちに交渉すること、ゴールドマン・サックス自身が作業を行い他社の仲介を受けないことが、条件として要求された。

これは大きな一歩を踏み出したことを意味する。それでなくても慎重なワインバーグは、注意深く、ゆっくりと話を進めた。 ゴールドマン・サックスは即座に資金を必要しておらず、急ぐ理由はなにもなかった。

 

 

住友銀行はアメリカの投資銀行業務について魔場びたいと考え、何十人かの研修生を送り込み、ゴールマン・サックスの社員の隣に座らせてもらって、直接業務を覚えさせたいと望んでいた。

 

それに関してはゴールドマン・サックスもFRB(連邦準備制度理事会)も反対をし、何らかの関係を持つとしたら、それは一定の距離をおいたものでなければならいとした。

また、FRBは、住友銀行の出資が資本の24.9%を越えてはならないとした。住友の投資は議決権のないリミテッド・パートナーとしてでなければならいことも条件の一つであった。

 

ワインバーグは、ゴールドマンが完全に独立した経営権を維持することが、ひいては住友のためになることを説明した。 

 

「別に交渉を難しくしようとしているわけではありません。 御社はゴールドマン・サックスの八分の一を所有することになるわけです。 

私たちが独自に経営判断を下し、自分たちの手で運命を切り開いていくこと、そして金融市場がそう見ることは非常に重要です。 さもなければ、当社は評判を失い、顧客を失い、投資銀行市場での地位を失うことになります」



FRBはこの投資を認めるにあたり、住友銀行がゴールドマン・サックスの経営決定に参与せず、互いに研修生を交換して緊密な関係を持ったり、便宜を図って相互のビジネスをぞうかさせないこと、すなわち単なる投資であることを条件とした。

 

両者はこの条件に合意し、投資は1987会計年度に実行された。 ゴールドマン・サックスはこの決断を後悔していない。 両者の関係は円滑で、得るところの大きいものとなった。

 

 

 

(関連情報)

 


・ロスチャイルド財閥-170  ゴールドマン・サックス(ロスチャイルド系) vs モルガン・スタンレー(ロックフェラー系)
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/943febf0a3cf5585d1a3a0dae4ac09ca

 

・GS-1 ゴールドマン・サックス、アメリカに渡ったマーカス・ゴールドマン https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b061c3d3841a22761a9c45fb6277221e

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・GS-12 ゴールドマン・サックス中興の祖 シドニー・ワインバーグ https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/538074a0056cbdbc8b24b486f3734cef

 

 

 

・世界最強の財閥・ロスチャイルド家より古い歴史を持つ住友家 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/851659949fd3bf4aa65d9f6c0a13940a

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・GHQによる財閥解体
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・財閥解体後、銀行を中心とした企業集団の形 https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/771795b2ff498dac837b24b7e47db727

 

 

 

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