スウェーデンのクリステション首相㊨、NATOのストルテンベルグ事務総長㊥と会談し、同国の
加盟を容認した際のエルドアン氏(7月、ビリニュス)=ロイター
【イスタンブール=木寺もも子】トルコはスウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟を巡り、米国などとの駆け引きをなお続けている。
加盟を承認するトルコ議会が1日に再開するが、エルドアン大統領は米国に戦闘機の売却を求めており、手続きが迅速に進むかは見通せない。
「彼ら(米国)が約束を果たせば我々の議会も約束を果たすだろう」。トルコメディアによるとエルドアン氏は9月25日、米国によるトルコへのF16戦闘機売却と、スウェーデンの加盟承認が交換条件であることを示唆した。
トルコを警戒する米議会にはF16売却への反対論がある。
NATOへの新規加盟には、トルコを含む全加盟国の承認が必要だ。スウェーデンとフィンランドが2022年5月に加盟を申請した際、加盟国のほとんどは歓迎を表明したが、トルコは敵対する非合法武装組織、クルド労働者党(PKK)などが両国で活発に活動しているなどとして難色を示した。
トルコはフィンランドについては問題が解消したとして23年3月に加盟を承認した。スウェーデンとは交渉が続き、7月のNATO首脳会議の直前、F16戦闘機売却交渉の前進などの手応えを得たトルコは加盟を容認する姿勢を示した。
エルドアン氏は7月時点で「(10月に)議会が始まれば議長が優先的に議論するだろう」との見通しを示していた。政府はまだ議会に加盟批准の法案を提出しておらず、批准手続きの日程はみえていない。
トルコ大統領府で外交・安全保障の顧問を務めるチャール・エルハン氏は9月25日、日本の研究者らとの討論会で「スウェーデンのNATO加盟は保証されたものではない」との見解を示した。
PKKなど「テロ組織」への対処が不十分だとみているほか、スウェーデンで極右活動家らがイスラム教の聖典コーランを冒瀆(ぼうとく)するパフォーマンスを続けていることも問題視した。
トルコは加盟承認と引き換えに、F16戦闘機など米欧からの見返りを最大限引き出す狙いだ。世界銀行の幹部は9月、トルコへの融資額を倍増させる検討を進めていると明らかにした。世銀は米国の影響が強い。
欧州連合(EU)とは既存の関税同盟を強化することを目指す。
スウェーデンの加盟を巡っては、人権問題などで西欧と対立するハンガリーもまだ国内承認の手続きを済ませていない。オルバン首相は9月25日の議会演説で、手続きを「急がない」と述べた。
北欧2カ国はロシアのウクライナ侵攻を受け、長年の中立政策を転換してNATOに加わる決断をした。当初は迅速に実現するとみられていた加盟の遅れは、西側の足並みの乱れを露呈した格好だ。
ウクライナ侵攻
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■戦況 ■マーケット・金融への影響 ■ビジネスへの影響
日経記事 2023.10.01より引用