ジェームス・マイエール・ド・ロチルドが建てた屋敷を描いた水彩画。競売に出品される作品の多くはこれまで、この屋敷に展示されていた /Christie's Images Limited 2023
（ＣＮＮ） 欧州の金融財閥ロスチャイルド家が個人の収集物として長年保有していた美術品、家具、銀食器、陶磁器、宝石の膨大なコレクションが、今秋、クリスティーズ・ニューヨークで開催される数回のオークションに出品され、落札総額は３０００万ドル（約４５億円）に上ると見られている。
今回、コレクションを出品するのはフランスのロスチャイルド家で、同家のコレクションのみを扱うオークションが北米で開催されるのは今回が初となる。
コレクションの大半は、１９世紀にジェームス・マイエール・ド・ロチルド（ロスチャイルドの仏語名）男爵とその妻ベティ、そして彼らの息子のアルフォンス男爵が入手し、以来、彼らの子孫がコレクションとして保有してきた品々だ。
銀メッキを施したドイツ製の容器。競売で１０万～１５万ドルを付けるとみられている/Christie's Images
Limited 2023
このコレクションの中には、ロスチャイルド家が入手した美術品、特にオールド・マスター（１８世紀以前に活躍した欧州の大画家たち）の作品が含まれている。
中でもオランダの画家ヘラルト・ドウの絵画「野ウサギを持つ若い女性と窓辺の少年」は、１７世紀に描かれた作品で、落札価格は３００万～５００万ドル（約４億５０００万円～７億５０００万円）に上ると見られている。
今回出品される品の中で最も古い品の一つは、西暦１世紀の古代ローマのサードニクス（宝石）を使ったローマ皇帝クラウディウスのカメオの肖像で、推定落札額は２０万～３０万ドル（約３０００万～４５００万円）だ。
このカメオが前回オークションに出品されたのは１８９９年だが、偶然にも、この時のオークションハウスもクリスティーズだった。この時は３７５０ポンド（現在の価値で約７４００万円）で落札され、その直後にロスチャイルド家のコレクションに加わったと考えられている。
クリスティーズの米大陸担当幹部ジョナサン・レンデル氏は電話インタビューで、「これらの作品は、１９世紀末以来ずっと人目につかない場所に保管されてきた。
フランスのロスチャイルド家の知り合いでもない限り、目にすることはなかっただろう」と述べ、さらに「通常、我々がニューヨークでこの種の品を扱うことはない。欧州の方がこの手のオークションを目にすることは多い」と付け加えた。
クリスティーズによると、ジェームス・マイエール・ド・ロチルド男爵の子孫で、今回のオークションの出品者であるフランスのロスチャイルド家の人々は、ニューヨークでのオークションの開催を強く希望したという。
レンデル氏によると、この一族は第２次世界大戦中、米国に住んでいたという。しかし、このコレクションなら世界中どこでオークションを開いても大成功を収めるだろう、と同氏は付け加えた。
最高１０万ドルで落札されるとみられている楕円（だえん）形のマヨリカ焼き/Christie's Images Limited
2023
今回のオークションには、美術品のほかに、家具、陶器（イタリア・ルネサンス期のマヨリカ焼きなど）、銀食器、タペストリー、宝石なども出品される。これらの品にはロスチャイルド家独特の趣味が表れており、レンデル氏はそれを「豪華さと家庭生活の絶妙なコンビネーション」と表現した。
「１００年前、１５０年前にこれらの品が出品されていたら、オークションは大変な騒ぎになっていただろう。今はもうこのような品がまとめて出品されることはない」とレンデル氏は言う。
クリスティーズによると、オークションは数日にわたって開催され、１０月１１日のイブニングセールの後、２回のデイセールが行われるという。また一部のロットの開始価格が１００ドル（約１万５０００円）という低価格のライブオークションも並行して行うとしている。
それにしても、ロスチャイルド家はなぜ今コレクションを売却するのか。この理由についてレンデル氏は、「合理化」や「世代的な（考え方の）変化」ではないかと考えている。
「誰もが１９世紀のロスチャイルド家のように生きているわけではない。それはロスチャイルド家も同じだ」（レンデル氏）
CNN記事 2023.10.07より引用
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（関連情報）
・ロスチャイルド財閥-199 LVMH、時価総額5000億ドル超え 欧州株の王者にhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/e881b3ac69830629ad8bcb9cc972003f
・ロスチャイルド財閥-111 国際金融財閥の序列https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/af41696ec05203f68b46d63b897e9b3d
・ロスチャイルド当主 ANAホテル（赤坂）でのプライベート会合https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/15e42c79348485224e0b9ae63ca899e4
