独南部ニュルンベルクのチャージングハブは2階にラウンジが併設されている(3月15日)
【フランクフルト=林英樹】
ドイツ高級車大手のアウディは4月下旬、東京都内に都市型の電気自動車(EV)向け高速充電施設を新設する。
欧州域外での展開は初めてで、アウディ車以外でも充電できる。自宅に充電設備を設置できず、EV保有に消極的な消費者にアピールする。
これまでドイツとオーストリア、スイスの計6カ所に充電施設「チャージングハブ」を設置している。
アウディ技術担当のクリスティアン・ハートマン氏は「日本の都市部は集合住宅が多く、自宅に充電設備を導入しにくい住環境からニーズが高いと判断した」と、欧州3カ国の次に日本を選んだ理由を語った。
ドイツの新車販売に占めるEV比率が18%なのに対し、日本のEV比率は23年に2.2%にとどまる。充電インフラの整備遅れが足かせとなっているといい、アウディは新型車投入と高速充電設備の両輪でEV潜在需要の掘り起こしを狙う。
ラウンジでコーヒーを飲んでいる間に充電が完了している。
個室がありオンライン会議もできる――。独南部ニュルンベルク中心部にあるアウディの充電施設「チャージングハブ」は2021年12月の開設以降、延べ3万人以上が利用した。
アウディで同事業を担当するニコライ・ゼンスト氏は「6〜7割は自宅に充電設備がない利用者だ」と話す。
可動式のアームで力をかけずに充電できる(独南部ミュンヘン)
同施設には最高出力320キロワットの充電器を6基設置している。
米テスラが世界で展開する「スーパーチャージャー」最新型の250キロワットを上回る最高出力で、アウディの新型EVの場合、10分間の充電で250キロメートルの航続が可能になる。
アウディ車以外でも利用できる。
ニュルンベルクのハブ利用は48%が他社製EVの保有者だ。利用料金はアウディ車が1キロワットあたり35セント(約57円)、他車は同50セント。さらにアウディ保有者には専用アプリで充電器を予約できる特典がある。
利用者がくつろげる専用ラウンジを設置したり、カフェやフィットネス施設が近隣にある立地を選んだりし、充電時間を有効活用できるようにしている。
日経記事2024.04.05より引用