ブリュッセルの北大西洋条約機構(NATO)本部=AP
【ブリュッセル=辻隆史】
北大西洋条約機構(NATO)の研究・教育機関である「NATO国防大学」は15日、台湾有事で想定される対応に関する報告書を公表した。
戦闘が激化した場合、集団防衛を定める北大西洋条約第5条の発動を含めNATOが関与する可能性があると分析した。
NATO国防大はローマに本部を置く関連機関。
報告書は学術的なもので、NATOの公式見解ではない。ただ台湾有事についての分析は珍しい。今後のNATOの戦略立案の参考となる可能性がある。
「NATOと台湾有事」と題した報告書は、台湾中央研究院で米欧研究を手がける李語堂アシスタント・リサーチ・フェローが執筆した。
まず中国の武力攻撃が、NATOの第5条発動につながる可能性を検討した。第5条は1つの加盟国への攻撃を、全加盟国への攻撃とみなす。有事が台湾周辺に限定された場合、発動の可能性は低いと明記した。
戦闘がエスカレートし、米軍基地のあるハワイが攻撃されるケースも取り上げた。ハワイやグアムは、第5条の集団防衛義務の適用外と言われてきた。
第6条は第5条の適用範囲について、欧州・北米・トルコの締約国の領域と「北回帰線以北の大西洋地域の島」に限定しているためだ。
報告書ではハワイの定義づけ次第では、第5条発動があり得ると示唆した。もっとも仮に中国のハワイ攻撃で第5条を発動しても、NATO加盟国の行動は限定的だとも指摘した。
台湾有事の場合、米欧がどのような連携をとるかといったシナリオも示した。米国がNATOの同盟国に対し、中国への制裁を呼びかける可能性があるとした。
インド太平洋で英国やフランス、ドイツ、カナダなどが米軍の作戦の支援を求められる事態も想定されると記した。
米国が台湾に集中することで、欧州の守りが手薄になるリスクも取り上げた。報告書は米国とNATOが有事に備え、あらかじめ共同で対処計画を取りまとめるべきだと提起した。
【関連記事】
日経記事2024.04.16より引用
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

NATO国防大学(NDC)のウェブサイトに掲載された全6頁の短いものです。https://www.ndc.nato.int/research/research.php?icode=42 著者はNDCの研究者ではなく、見解は著者単独のものであることは明記されています。
第5条は米国本土に中国から攻撃があれば、当然発動され得ます。ハワイやグアムへの攻撃であれば、通常の解釈ではないが状況によっては、という指摘で、ハワイで大きな被害が出ればこれも考えられない事ではありません。
9.11の時のような状況でしょう。ただ、中国が米国との全面戦争を望むとは考えにくいので、実際には可能性は低いでしょう。
一研究者の思考実験という性格のものですが、改めて米国の同盟国であることの意味を指摘したという意義はあると思います。