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欧州安保、強まる「独自強化論」 トランプ氏当選で拍車

2024-11-08 16:21:46 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


欧州政治共同体(EPC)は7日、ハンガリーのブダペストで首脳会議を開いた=ロイター

 

 

【ブダペスト=辻隆史】

米大統領選でトランプ前大統領が勝利を確実にしたことを受け、欧州で安全保障を独自に強化する動きに拍車がかかりそうだ。トランプ氏との関係維持に努めつつも、中長期的に米国依存から脱却すべきだとの意見が強まる。

「トランプ氏と再び働くのを楽しみにしている。彼は(加盟国が)防衛費を国内総生産(GDP)比2%以上に高めるよう刺激した。彼のおかげであり、もっとやる必要がある」。

 

北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長は7日、ハンガリーのブダペストで開かれた欧州政治共同体(EPC)首脳会議に先立ち、記者団にこう語った。

オランダ前首相のルッテ氏は、1期目の大統領時代のトランプ氏と何度も対面し米欧連携について協議した経験がある。トランプ氏は過去に米国以外のNATO加盟国の防衛支出が少ないと不満を表明し、有事に欧州加盟国に対する防衛義務を果たさない可能性に言及した。

 

ルッテ氏はトランプ氏の発言が欧州の防衛費増加につながったと持ち上げ、ロシアや北朝鮮といった欧米共通の脅威に共同で対処すべきだと訴えた。

トランプ氏がNATOの活動やウクライナ支援に消極的にならないよう、まずはつなぎ留めをはかる。

 

 

 

マクロン氏「戦略的自立」説く

中長期的には、欧州の安保を巡っては、欧州のNATOや欧州連合(EU)加盟国が主体的に強化していくべきだとの考えが出始めている。

仏大統領府高官によると、7日の会議でもマクロン大統領が欧州の「戦略的自立」の重要性を説いた。「我々の安全をいつまでもアメリカに委ねるわけにはいかない」と明言した。

 

 

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「欧州の未来は私たちの手にある。今こそ行動しなければならない」。EUのフォンデアライエン欧州委員長も会議でこう強調した。トランプ氏との協調に触れながらも「(欧州が)防衛力と防衛投資を強化し、備える」必要があると話した。

「地政学的なアウトソーシングの時代は終わった」。ポーランドのトゥスク首相は2日、X(旧ツイッター)で米国依存からの脱却は不可避だとの認識を示した。NATO加盟国には多くの米軍兵が駐留し、米国製の兵器に頼る現状がある。NATOは欧州の加盟国の兵器増産を後押しする。

 

EUは年内の発足をめざす欧州委員会の新執行部で初めて防衛担当の欧州委員ポストを新設する。フォンデアライエン氏はEUが一体となって域内の防衛産業を振興し、「防衛同盟」を形づくる構想を描く。

フィンランド前大統領のニーニスト氏はフォンデアライエン氏に米中央情報局(CIA)に相当するEUレベルの情報機関の創設を提言した。

 

 

域内の「結束」課題に

欧州内の結束を保てるかが課題となる。

「これは新しい状況だ。欧州は応えないといけない」。ハンガリーのオルバン首相は7日の会議後の記者会見で、トランプ氏の返り咲きに喜びを隠さなかった。同氏と協力し、ウクライナとロシアの停戦交渉を進めることに意欲を示した。

 

権威主義的な政治手法をとり、ロシアにも融和的なオルバン氏はウクライナ支援の拡大に否定的だ。早期の和平交渉入りを唱え、EUやNATOの重要決定を阻もうとする場面が目立つ。

EUの外交・安保分野の決定には全会一致が必要で、NATOは全加盟国の同意がいる。一国の拒否権の存在感は高まる。

 

2010年からハンガリーで政権を握るオルバン氏も、内政では権力に陰りがみえてきた。地元メディアによると、同氏率いる極右ポピュリスト政党の支持率は10月の世論調査で約20年ぶりに2位に転落。中道右派が首位となった。

インフレに加え、欧州委との度重なる対立やロシア寄りの姿勢が影響したとみられる。26年春のハンガリー議会選の結果次第でEU内の構図は変わり得る。

 

オルバン氏や他のEU内の極右勢力は、トランプ氏との近さをアピールして支持拡大に躍起になっているともいえる。

オランダの極右政治家ウィルダース氏は6日「愛国者たちは世界中で選挙に勝利している」と誇り、「自国第一」の考えや不法移民の排除こそが有権者の求めなのだと説いた。

 

 

 

「有志国」で連携も

トランプ氏の返り咲きや欧州内の対立が響き、NATOやEUの意思決定が停滞するリスクは高まる。

国際機関での粘り強い交渉や妥協は不可欠だが、安保に対する危機意識を持つ有志国がNATOなどの決定を待たずにウクライナ支援などを進める機運も生まれる。

 

ポーランドのトゥスク氏は7日、英国も参加するEPC会合に合わせ、英国やフランスの首脳と個別に会談して安保強化策を話し合う意向を明かした。

「英国はEU非加盟だが、安保では共通の体制を組める」との期待を述べた。ロシアとの国境に近い中東欧や北欧、バルト3国はこうした議論のけん引役になっている。

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

 

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伊藤さゆり
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 常務理事
 
分析・考察

EUの防衛・安全保障の強化、戦略的自立は、加盟国間の足並みが一致せず、進展が阻まれてきました。

フランスは伝統的に戦略的自立を重視する立場ですが、ドイツや中東欧諸国が米国の欧州へのコミットを低下させることに繋がりかねないとして消極的だったと理解しています。

しかし、トランプ1.0での対米関係の緊張、ロシアによるウクライナ侵攻という環境変化は消極派の国々も戦略的自立を支持する立場に変えました。

マリオドラギ氏によるEU改革の提言「欧州の競争力の未来」でも、防衛をEUの連携を通じて強化すべき領域としています。

立ちはだかるのは赤川総局長のコメントにあるとおり、リーダー不在、財源不足の問題です。

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福井健策
骨董通り法律事務所 代表パートナー/弁護士
 
分析・考察

日本はどうするのでしょうね。

今年、米国が対立する州同士の内戦状態に入った近未来をリアルに描く映画「シビル・ウォー」が、世界的にヒットしました。

今度の選挙結果をどう評価する方も、米国が今まで以上に移り気で安定感を欠く同盟国になった点では恐らく、一致するのでしょう。

親米一辺倒が最大の外交戦略のように見える国々の、ひとつに残り続けるのか。詳しい方々の解説や、記事を読んでみたいと思いました。

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赤川省吾のアバター
赤川省吾日本経済新聞社 欧州総局長
 
ひとこと解説

究極の目標は「欧州軍」。外交・安保で米国と距離を置くフランスがけん引役です。

この記事にあるようにトランプ2.0で追い風がある一方、実現には2つのハードルも。

1つ目は域内の政権弱体化。ドイツはレームダックで、来年の総選挙待ち(以下リンク)。フランスも27年の大統領選待ち。独仏が機能不全ならEUも動けません。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGR07E0Y0X01C24A1000000/

 

2つ目は財政余力の問題。米国なしなら、欧州は軍事費を爆発的に増やさないと。

景気低迷のなか、果たしてできるのか。 兵器の共同開発など手近なところから始め、「独自の軍」は数十年先という息の長い工程表になっていくでしょう。日本が積極的に欧州との兵器開発に加わるのはありだと私は思います。

 (更新)
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米大統領選2024

2024年に実施されるアメリカ大統領選挙に向け、ハリス副大統領やトランプ氏などの候補者、各政党がどのような動きをしているかについてのニュースを一覧できます。

データや分析に基づいて米国の政治、経済、社会などに走る分断の実相に迫りつつ、大統領選の行方を追いかけます。

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日経記事2024.11.08より引用

 

 

 


プーチン氏、トランプ氏と「対話の用意」 停戦交渉視野か

2024-11-08 16:12:55 | NATO・ウクライナ・ロシア・中国・中東情勢


ロシアのプーチン大統領は7日、内外有識者が参加する国際会合「ワルダイ会議」
で演説した(ロシア南部ソチ)=ロイター

 

 

ロシアのプーチン大統領は7日、米大統領選で勝利を確実にしたトランプ前大統領について「対話する用意がある」と述べた。

ロシアが続けるウクライナ侵略についてトランプ氏は戦争の終結に意欲をみせており、交渉を優位に運ぶ狙いとみられる。

 

プーチン氏は南部ソチで開催した有識者会合「ワルダイ会議」で発言した。

ロシアメディアによると、プーチン氏はトランプ氏が当選確実となったことを「祝福する」と述べた。トランプ氏の暗殺未遂事件への対応にも触れ「彼は勇敢な男だ」などと称賛した。

 

プーチン氏はトランプ氏がロシアとの関係を修復し、ウクライナでの「危機」の終結に寄与したいという考えを示していることは「少なくとも注目に値する」とも言及した。

トランプ氏は6日の演説で「戦争を止めるつもりだ」などと述べ、ロシアが侵略を続けるウクライナの問題については停戦を目指すとみられる。

 

かねて自身が大統領に就任した際は24時間以内にウクライナ戦争を終結させると強調してきた。来年1月の就任前にもロシア側との実質的な協議に乗り出す可能性がある。

プーチン氏はワルダイ会議で、ロシアへの経済制裁を念頭に「我々に圧力をかけても無意味だ。我々は互いの利益を考慮して交渉する用意がある」と述べ、ロシアとの交渉が重要だと強調した。

 

ロシアはウクライナ4州での制圧地域を拡大しており、今後の停戦交渉を優位に進めたい考えがあるとみられる。ショイグ安全保障会議書記は7日、「(前線の)情勢はウクライナに有利でない」と述べ、西側諸国は現状を認識して交渉を始めることが選択肢にあると指摘した。

プーチン氏はワルダイ会議での質疑で「包括的戦略パートナーシップ条約」を6月に締結した北朝鮮との合同軍事演習を実施する可能性があるとも述べた。

 

同条約は相互の軍事支援を規定している。ロシア上院は6日に批准の前提となる法案を承認していた。

プーチン氏は6月、ロシア外務省での演説でウクライナ侵略に触れ、同国との停戦の条件としてウクライナ東・南部4州からのウクライナ軍の撤退が必要と述べた。「ウクライナが(ロシアが併合した4州から)軍隊を撤退させ、北大西洋条約機構(NATO)への加盟を放棄すれば、我々は即座に停戦し和平交渉を始める」と述べた。

 

プーチン氏はトランプ氏との対話に応じることで、ウクライナ侵略以前から主張していたNATOの東方拡大の動きを抑えたい狙いもあるもようだ。

ロシアは「住民投票」を経て2022年秋に東部ドネツク州などウクライナ東・南部4州を一方的に併合した。ロシア軍は東部ドネツク州などの未制圧地域に兵士の犠牲をいとわず投入し、前進を続けている。

 

ウクライナはロシアの侵略行為に対抗するためNATO加盟を求めている。NATOは条件が整えば受け入れる方針だが、24年のNATO首脳会議では加盟時期は明示されなかった。

 

 

※掲載される投稿は投稿者個人の見解であり、日本経済新聞社の見解ではありません。

 

 

 

 

 

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青山瑠妙
早稲田大学大学院アジア太平洋研究科 教授
 
ひとこと解説

プーチン大統領の発言で、ウクライナ情勢は新しい局面を迎えたといえる。

トランプ氏は大統領に就任したら24時間以内にウクライナ戦争を終結させるとの豪言を発したが、アメリカの支援に頼り切っているゼレンスキー大統領ならともかく、ロシアを交渉に応じさせる術がアメリカにあるのかという懸念はあった。

朝鮮半島のように38度線を引いて非武装地帯を設けるのか、ウクライナのNATO加盟を凍結するのか、などの案は浮上しているものの、停戦交渉でウクライナがどこまで譲歩するかが焦点となってくる。

「トランプ新政権の時代」を迎えて、交渉にたける国が有利になり、国際情勢は交渉で動くのだと改めて感じさせられるようになった。

 (更新)
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鶴岡路人
慶應義塾大学総合政策学部 准教授
 
ひとこと解説

ロシアによる「対話の用意」自体は目新しくない。問題はその内容だ。

ロシアとしては、トランプ次期大統領の出方を見極めたいところだろう。

しかもプーチン大統領は、この戦争は米国をはじめとする西側との戦いだと強調してきたため、米大統領が交代したからといって、そう簡単に立場を変えるわけにもいかない。

トランプ政権にとっては、ウクライナに影響力を行使するのみならず、ロシアからどのような譲歩を引き出し、ウクライナや米欧が受け入れ可能な妥協点を実現させられるかが問われる。

 (更新)
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ウクライナ侵略

2022年2月、ロシアがウクライナに侵略しました。戦況や世界各国の動きなど、関連する最新ニュースと解説をまとめました。

 

 

 

 

日経記事2024.11.08より引用

 

 


糖尿病は薬なしで治せる-6  血糖値が上がる仕組み

2024-11-08 11:26:23 | 医療・病気・疫病・ヘルスケア・健康・食事・睡眠 及び産業

 

超一流の医学研究者である渡邊昌先生のロングセラーの秀逸な本の内容を紹介します。
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f85cfa932acdeab805da09571da6f910

 

 

ここでまず、血糖値の上がる仕組みと、インスリンがそれを細胞に取り込む仕組みを考えてみましょう。 なぜ贅沢に食べ過ぎると高血糖症になり、糖が尿に出てくるようになるのでしょうか?

 

人間の健康にはどのような栄養が必要かということがわかったのは一九世紀も末(1800年代末)の事です。 三大栄養素といわれるのは『糖質』『脂質』『タンパク質』です。 このどれが欠けても人間はやせ衰えて死んでしまいます。

 

沖縄・糸満(いとまん)市の猟師が魚釣りに流され、四六日後に千葉に漂着したことがありました。 この時は、釣った魚を食べていたという事でしたが、確か六八桐グラムあった体重が三八キログラムにまで激減していたと記憶しています。

 

人間は飲まず食わずで生きられる日数は九日が限度とのことです。また、三大栄養素のほかにビタミンやミネラルなども必要です。 これらは微量栄養素といわれるように、なくてはならないものですが、たとえていえば潤滑油のような働きをするため、必要量はごく微量です。

 

それに対して三大栄養素は、体を作る材料になったり、活動のエネルギーの元になるので、ビタミンなどに比べると、数十グラムから数百グラムとはるかに多くの量が必要になります。 三大栄養素のうち、たんぱく質や脂質は体を作る材料になり、糖質は主に活動のためのエネルギーとして利用されます。 そしてこれが血糖値を高める元になります。

 

糖質というのは、人類が主食としている米や麦などの穀類、サツマイモ、ジャガイモなどのイモ類に多く含まれるデンプン類のことです。

 

ご飯などに含まれている糖質は、最初は枝分かれのある長い鎖のような形をしています。それが唾液や胃腸の消化衛液いよって分解され、しだいに鎖が切れて短くなり、鎖の輪が五、六個になった『オリゴ糖』、二個になった『2糖類』、やがて一個一個の鎖の輪に分解された単糖となって小腸から吸収されます。

 

単糖で最も多いのが『ブドウ糖』です。 砂糖は、ブドウ糖と果糖という輪が二つ繋がった2糖類です。 蜂蜜にはブドウ糖そのものが入っています。ブドウ糖や砂糖は吸収されやすい糖なのです。

 

体の中に吸収されたブドウ糖は、いったん肝臓にグリコーゲンとして貯蔵され、血糖が下がってきたり、運動で体が大量にエネルギーを必要としている状態のときに、またブドウ糖に分解されて血液中に放出されます。ブドウ糖は、体のエネルギーとして使われます。 

例えば、心臓が鼓動を打つことも、手足の筋肉が動くのも、体温を一定に保つことを、内臓がそれぞれの動きをするのも、神経の働きや脳の思考でさえ、すべて食べ物から吸収したブドウ糖のエネルギーを利用しています。

 

ブドウ糖は、体全体のエネルギーの元ですから、不足するとたいへんなことになります。そのため、肝臓に蓄えられたブドウ糖を必要に応じて放出するなど、低血糖にならない仕組みが体の中にあります。

血液一〇〇ミリリットルあたり、七〇ミリグラム程度のブドウ糖はいつも必要です。 これ以下になると低血糖の症状、寒気や震えがでて、もっとひどくなると失神、昏睡に至ります。

 

しかし、血糖が高くなりすぎてもまた問題が出てきます。 そこで血糖値を低く抑えることに関与しているのがインスリンです。

 

 

 

 

食後のインスリン分泌がブドウ糖を処理


細胞内にブドウ糖が取り込まれるには、インスリンというホルモンの助けが必要です。 
インスリンは膵臓のランゲルハンス島にある、ベータ細胞というごくわずかな部分でしかつくられないホルモンです。

食事をして血液中にブドウ糖が増えると、普通はただちに膵臓のランゲルハンス島のベータ細胞からインスリンが分泌されて、ブドウ糖と同時にインスリンも血液中を流れるようになります。

ブドウ糖は、それ自体では細胞膜の内側に入ることはできません。 細胞膜には、ブドウ糖をキャッチして取り込むドアがあります。それをブドウ糖トランスポーター(GLUT)といいます。

細胞膜にはもう一つ、インスリンレセプター(インスリン受容体)という、インスリンが来たのを感知してキャッチする分子があります。 インスリンが、インスリンレセプターにキャッチされると、細胞内にあるセンサーが反応してドアを細胞表面に押し出し、ドアが開いて、ブドウ糖が細胞内になだれ込める仕組みになっています。

 

細胞内に取り込まれたブドウ糖は、細胞の中にあるTCA回路(クエン酸サイクル)と呼ばれる発電装置で多量のエネルギーに変換されます。その燃料として必要なのがブドウ糖です。

 

ブドウ糖が足りなくなると脂肪やたんぱく質も燃料として利用されますが、効率の面でブドウ糖には及びません。ブドウ糖は最終的に水と炭酸ガスに分解されるとてもクリーンなエネルギー源なのです。

 

 

 

ンスリン不足が高血糖に

糖尿病は、インスリンが足りなくなって細胞内にうまくブドウ糖が取り込まれなくなったために起きる病気です。 あまったブドウ糖は肝臓で脂肪として蓄えられたり、腎臓から尿として排泄されるようになり、糖尿をきたすようになります。


またインスリンが足りなくなり、ブドウ糖をエネルギーとしてうまく利用できなくなると、次に脂肪やたんぱく質をエネルギーのための燃料として燃やすようになります。

 

そしてついには、自分自身の筋肉崩壊をきたしたり、食べても食べても痩せるようになります。人類は一〇〇万年かかって進化してくる間、いつも飢餓の状態でした。 血糖値が五〇ミリグラムを下回ると、低血糖性の昏睡状態になり、命に係わる重篤な事態に陥ります。

ですから血糖を保つ仕組みはいくつもあるのに、飽食による糖のとりすぎに対応する手段はインスリンしかないのです。

 

中年以降に発症する2型糖尿病は、膵臓のインスリン分泌能力が徐々に衰え、不足するようになった状態です。

それで、血液中にはブドウ糖があふれて高血糖の状態が続くのに、細胞内にはそのエネルギーの燃料が届けられないため、次第に痩せるとか、身体がだるいなどの症状が現れてくることになります。

 

 

 

(関連情報)

超一流の医学研究者である渡邊昌先生のロングセラーの秀逸な本の内容を紹介します。https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/f85cfa932acdeab805da09571da6f910


①糖尿病は薬なしで治せる-1  はじめにhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ad6647c72d88efe29b0481d6b0ce77a0

➁糖尿病は薬なしで治せる-2  糖尿病とはどんな病気か? 古代から世界での記述
https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/ccf0fdb2c952f151b95a418a4eec3a24

③糖尿病は薬なしで治せる-3  死の病(糖尿病)をストップさせたインスリン

https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/7349b4c431852bfd0a7b43385d066415

④糖尿病は薬なしで治せる-4  二種類の糖尿病https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/b1fc6de41b522e545a15e208ac5a3327

⑤糖尿病は薬なしで治せる-5  糖尿病発症を予防する時代https://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/dfbb7b702c69618cf05d1f9a3d33a1c1

⑥糖尿病は薬なしで治せる-6  血糖値が上がる仕組みhttps://blog.goo.ne.jp/renaissancejapan/e/71cb134059ec804cc03e16d9a16db670

 

 

 


石破茂氏、G7内でも屈指の政治経験 公約実現に米国の壁

2024-11-08 10:12:11 | 日本政治・外交


インタビューに答える自民党の石破茂元幹事長(5日)

 

 

自民党は27日投開票の総裁選で石破茂元幹事長を新総裁に選出した。防衛庁長官や防衛相を歴任し、国防を「ライフワーク」と位置づける石破氏は、選挙期間中も独自の外交・安全保障政策を訴えてきた。新首相として実行段階に移る。

1986年に29歳で国政に進出し主要7カ国(G7)首脳の中で屈指の政治経験を持つ。国会議員生活は40年に近づき、上院議員を36年務めたバイデン米大統領を上回る。首相に就く10月1日時点では67歳。G7で81歳のバイデン氏に次ぎ高齢の首脳になる。

 

11月の米大統領選をハリス副大統領と争うトランプ前大統領は、石破氏が政治的に対立してきた安倍晋三元首相と蜜月関係を築いた。トランプ氏が当選した場合、石破氏がどう個人的な関係を構築するのかは日本の国益を左右する。

 

 

 

石破氏は総裁選で、他の候補と一線を画す外交・安保上の主張を続けた。公約を実現するには同盟国の米国への働きかけが欠かせない。

米国がアジア太平洋地域に持つ複数の同盟関係を基盤とした「アジア版北大西洋条約機構(NATO)」をつくる提案には、米国内からも実現性を疑う声が上がる。石破氏は在日駐留米軍の法的特権を認める日米地位協定の見直しにも触れた。

 

新首相は中国とどう対峙するかという課題に向き合う。中国は8月下旬に初めて軍用機が日本の領空を侵犯するなど軍事的挑発を強めている。両国の経済的な結びつきを踏まえれば、毅然とした態度を示しながら対話を進める外交手腕を要する。

石破氏は領空侵犯への対抗措置の強化を訴えてきた。「(正当防衛などを除き目標を狙う)危害射撃ができないと中国は知っているから抑止力が効かない」と指摘した。

 

8月には台湾を訪問し、頼清徳(ライ・チンドォー)総統と会談した。台湾侵攻を否定しない中国の習近平(シー・ジンピン)国家主席は独裁体制を強めている。習氏と直接渡り合う交渉力が首相になければ、対中外交は見通せない。

習氏やロシアのプーチン大統領ら覇権主義的な国家のリーダーと同様、グローバルサウスと呼ばれる新興・途上国の首脳にも向き合う必要がある。日本など西側諸国にも中ロにもつかず、国際社会で独特の動きを見せる。

 

グローバルサウスが集まる20カ国・地域(G20)の首脳にはインドのモディ首相、トルコのエルドアン大統領、10月中旬に大統領に就くインドネシアのプラボウォ国防相ら老練な政治家が名を連ねる。

強権的手法も指摘され、距離感の取り方は難しい。

 

 

 
 
 
 
 
石破茂新総裁

自民党の石破茂総裁が10月1日、衆参両院の本会議での首相指名選挙で第102代首相に選出されました。石破政権に関する最新のニュースをまとめています。

 

 

 

日経記事2024.09.27より引用