シーメンスはデジタル産業部門に注力する(24年4月、独北部ハノーファー)
【フランクフルト=林英樹】
機器・システム世界大手のドイツ・シーメンスが14日発表した2024年9月期決算は純利益が前の期比5%増の89億9200万ユーロ(約1兆4800億円)で過去最高を更新した。
主力のデジタル産業部門が低調だったものの、企業や施設向け電力システムの受注が伸びた。子会社の株式売却益も寄与した。
売上高は1%増の759億3000万ユーロ、受注高は6%減の840億5600万ユーロだった。
デジタル産業部門では顧客企業や仲介業者が主力市場の中国で在庫を積み増した影響で、制御機器の受注が減った。同部門の売上高は10%減の185億3600万ユーロにとどまった。
ローランド・ブッシュ社長は14日の決算記者会見で「中国で生産過剰が続いているが、デジタル化や人工知能(AI)の流れは継続しており、回復への期待は大きい」と語った。
25年9月期の業績見通しでは全体の売上高が3〜7%増えると予想した。
シーメンスが17%の株式を保有するシーメンス・エナジーの24年9月期決算は最終損益が13億3500万ユーロの黒字(前の期は45億8800万ユーロの赤字)だった。
風力発電機子会社の品質欠陥の影響が小さくなったことに加え、収益性が高い電力ネットワーク事業やガス火力発電機器の受注を伸ばしたことが寄与した。
業績好転を踏まえ、シーメンス・エナジーは28年9月期の売上高営業利益率を、従来予想の「8%以上」から「10〜12%」に上方修正した。
クリスチャン・ブルッフ社長は「23年9月期は悲惨だったが、段階的に問題を克服しており、電力業界の好況も続くとみている」と見通しを語った。
【関連記事】
日経記事2024.11.15より引用