岩屋外相(左)は訪米中、トランプ次期米政権で国務長官に指名されたルビオ氏との会談を予定する
岩屋毅外相は19〜23日の日程で訪米し、トランプ次期米政権で国務長官に指名されたルビオ氏と会談する予定だ。
トランプ政権でもインド太平洋地域を重視する米側の方針を確認する。日本はアジアで防衛力を高めると伝え、日米同盟の強化につなげる。
先端技術や経済安全保障に関する協力の方向性も擦り合わせる。
岩屋氏は20日のトランプ次期米大統領の就任式に出席する。ルビオ氏は同日中に議会で国務長官に承認されるとみられる。21日にもワシントンで日米外相会談、日米豪印「Quad(クアッド)」の外相会合を開く。
日本政府関係者によると、トランプ氏陣営からインド太平洋地域を引き続き重視する方針を伝えられている。
ロシアによるウクライナ侵略を抱える欧州、パレスチナ自治区ガザ情勢の安定を急ぐ中東だけでなく、対中国戦略の要となるインド太平洋地域に日米で関与する姿勢を国際社会に強調する。
新政権の発足後すぐに日米の外相会談とクアッド会合を開催することをその象徴とする。
外相会談では石破茂首相とトランプ氏の初の首脳会談に向けた論点整理をする。日程も議題になる予定で、岩屋氏から国会審議の事情などを踏まえた首相の都合を伝える。2月前半にワシントンで開く方向で最終調整している。
首相は17日、首相官邸で岩屋氏と会い「同志国との連携が(日米にとって)大事だ。これからも一緒にやっていこうという話をしてきてもらいたい」と指示した。
岩屋氏は記者団に、首脳会談の時期は「遠からず確定したい」と語った。
岩屋氏は米国の核を含む戦力で同盟国を守る拡大抑止の強化を求めていく。大統領1期目(2017〜21年)のトランプ氏が求めた防衛強化に向けた日本の取り組みを説明する。
中国の不透明な軍事力の拡大について日米の問題意識を共有する。日米韓の枠組みで北朝鮮の核・ミサイル問題に対処していく必要性も申し合わせる。
岩屋氏から日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収問題を念頭に、日本企業の対米投資を含む日米の経済関係の重要性について指摘する可能性もある。
クアッド会合は成長する新興・途上国「グローバルサウス」の中心国のインドが参加し、海洋安保やサイバー、経済協力などを話し合う枠組みだ。
1対1の取引を好むとされるトランプ氏が多国間枠組みを重視するよう日本からクアッドの意義を伝えてきた。就任式への外相招待に合わせて米側の発案で会合が設定された。
中国が東・南シナ海で海洋進出を活発にするなど、インド太平洋地域の安保環境はトランプ氏の1期目と比べて厳しくなっている。
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