トランプ氏再登板で米中関係は改善するとみる中国企業が多い(19年、
握手するトランプ氏㊧と中国の習近平国家主席)=ロイター
日本経済新聞社が中国・人民日報系日刊紙の環球時報、韓国の毎日経済新聞と共同で実施した「日中韓経営者アンケート」で、中国企業の4割が対米関係が「改善する」と答えた。
韓国や日本の企業に比べ楽観的な見方が際立った。米中対立が続くもののトランプ米次期政権では交渉できるとの期待が背景にあるとみられる。
アンケートではトランプ氏が大統領に再選された後の米国と自国の関係がどうなると予想するか尋ねた。
中国企業では「大幅に改善」と「若干改善」の合計が38%に達し、「大幅に悪化」と「若干悪化」の合計の8%を上回った。
中国ではトランプ氏の第1期政権で交渉によって関税をある程度緩和できたことで、バイデン現政権に比べ対応しやすくなるとの見方がある。
米国で保護主義が進む結果、日韓との連携が強まるとの期待もある。
中国現代国際関係研究院・世界経済研究所の陳鳳英元所長は「トランプ政権が発足すると『米国中心』の戦略が実行される。
日韓は米国を当てにできないと考え中国との経済協力が増える」と指摘する。
日本企業は「変わらず」8割、様子見強まる
日本企業では対米関係について「変わらない」が83%に達し、様子見の傾向が強かった。「改善する」が2%、「悪化する」は15%にとどまった。
韓国企業は「改善する」が14%だった一方、「悪化する」は40%に達し、3カ国の中で最も厳しい見通しを示した。
20日に米大統領に復帰するトランプ氏は関税の引き上げを掲げており、韓国は特に身構える。韓国にとって米国は中国と並ぶ輸出先で、実際に関税が引き上げられれば大きな影響が出るとの懸念が広がる。
大韓商工会議所の姜錫求(カン・ソック)調査本部長は、トランプ氏が打ち出す政策に対応するため、「企業の根本的な体質改善と韓国政治の早期安定、企業を支援する政策づくりも必要だ」と指摘する。
世界と自国の経済見通し、韓国企業は悲観的
2025年の世界経済見通しでも日中韓の企業で温度差が見られた。韓国は「成長」の22%に対し「悪化」が44%だった。一方で日本の51%と中国の43%が「成長する」と回答した。
自国経済についても韓国の悲観的な見方が際立つ。1年後に「成長する」との回答は日本が8割、中国は5割だった一方、韓国は18%にとどまり、「悪化する」が42%にのぼった。
戒厳令が出されるなど政治の混乱が続いていることが一因とみられ、経済への影響の広がりが懸念される。
アンケート調査は24年12月2〜18日に実施した。日中韓合計で287社の経営者が回答した。
ドナルド・トランプ次期アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙でハリス副大統領と対決し、勝利しました。次期政権の行方などを解説します。
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日経記事2025.1.15より引用