ルビオ氏は「戦後80年を経て、我々は混沌から自由の世界を再構築するよう求められている」と述べた=ロイター
【ワシントン=坂口幸裕】
次期米国務長官に指名されたマルコ・ルビオ上院議員は15日、上院外交委員会で指名承認の公聴会に臨んだ。「世界に関与し、再び米国の核心的利益を何よりも優先する」と述べた。
「戦後の国際秩序は時代遅れだ」と訴え、再構築する必要性を強調した。
ルビオ氏は現在53歳で、南部フロリダ州出身のキューバ系移民の家庭で育った。同州議会議員などを経て、2010年上院選で初当選して現在3期目。
20日に就任するトランプ次期米大統領が外交トップの国務長官に指名した。来週初めにも上院で人事案が承認される公算が大きい。
「戦後80年を経て、混沌から自由世界の再構築を」
ルビオ氏は公聴会で「米国が自国の核心的利益より国際秩序を優先し続けてきた一方、他国は自国にとって最善の利益であると認識する行動をこれからも続けていくだろう」と指摘した。
現在の国際秩序は「米国に対する武器になっている」とも主張。「戦後80年を経て、我々は混沌から自由の世界を再構築するよう求められている。再び自国の核心的利益を何より優先する、強固で自信に満ちた米国がいなければ不可能だ」と表明した。
トランプ氏が掲げる「米国第一」を念頭に「国益を何より優先するのは孤立主義でない。国益を最優先する外交政策は時代遅れな遺物などではない」と力説。
「米国が自国の安全を維持できなければ『世界平和』という大義を推進できない。米国が強くなければ同盟国にどれだけ有益なのか」と提起した。
自由貿易について「多くの先進国が自国の経済を犠牲にして無制限に、ほぼ宗教的なまでに固執した」と総括した。
「中間層が縮小し、労働者階級が危機に陥り、産業が崩壊し、重要なサプライチェーン(供給網)が敵やライバルの手に渡った」と断言した。
(世界最貧国の一つであった一党独裁共産党政権の中国にに技術援助・巨額の資金提供・一つの中国を認める最恵国待遇をあたえたのは、ロックフェラーと共和党ですけどね・・・。 それで今日、中国はアメリカの世界覇権を脅かすまでに急成長・発展し、科学技術・産業では米国より上にまでなりました。
1972年に共和党のニクソン大統領が訪中、北京で毛沢東主席と首脳会談上記内容上記内容を約束しました。それが起点です。 Renaissancejapan)
中国の台湾侵攻「多大な代償と中国に信じ込ませて抑止を」
意識するのは中国の存在だ。「我々は中国を国際秩序に迎え入れ、彼らはその恩恵をすべて享受したが、その義務や責任をすべて無視した」と話した。
「中国は嘘をつき、盗みを働き、我々を犠牲にして世界的な超大国の地位を手に入れた」と述べた。
米情報機関は中国が27年までに台湾を侵攻する能力を保有すると分析する。
ルビオ氏は「中国が台湾侵攻を成功させるのは可能かもしれないが、その代償があまりに大きすぎると中国に信じ込ませることで思いとどまらせたい」と明かした。
「それは台湾を守るためだけでなく、インド太平洋地域での大規模な軍事介入を防ぐためにも極めて重要だ」と訴えた。
ロシアによるウクライナ侵略について「この戦争を終わらせるべきだと米国が公式に表明すべきだ」と主張した。侵略を続けるロシアのプーチン大統領を「ウラジーミル・プーチン」と呼び捨てにし「容認できない」と明言した。
停戦の実現には「ロシアだけでなくウクライナも譲歩する必要がある」と言及。「プーチンは最大限の影響力を持ち、ウクライナに(米欧との関係で)中立を強いて、4年か5年後に再び同じことを繰り返すのが目標だ」と語り、再侵攻に踏み切るとの見方を示した。
停戦協議では米欧などによる対ロ制裁も議題にすべきだと訴えた。「平和的解決を考慮するにはこの問題も話し合いの一部として取り上げなければならない」と制裁緩和の可能性を示唆した。
トランプ氏は「力による平和」を外交・安保政策の基軸に据える。ルビオ氏は第1次政権を振り返り「新たな戦争は起こらず、米国民はより安全になった」と分析。
「有権者は強い米国を望んでいる。海外では平和を、国内では安全と繁栄を促進する」と発言した。
分析・考察
米国が強くなること、米国にとってよいことは、米国のみならず同盟国にとってもよいはずだという信念だ。
従来のように「ルールに基づく国際秩序」を守るといったロジックは通用しないことになる。
日本は、唯一の同盟国である米国とともにあることに、従来以上の覚悟を決められるかが問われる。
と同時に、しかしそれだけが世界ではない。豪州や欧州など、価値や秩序観を共有する米国の他の同盟国、さらには東南アジア諸国などとの連携を強化し、国際秩序のうち、力だけではない部分をこれまで以上に支える努力をすることが求められる。
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分析・考察
マルコ・ルビオ氏の証言は「洗練された米国第一主義」と言えそうで、強い米国が自信を持って世界に関与することが、米国民の利益と国益に適い、世界にも裨益するという考え方だ。
世界秩序の維持のために米国益を犠牲にすることを強く批判することが全ての前提にある。
トランプ大統領が目立つディールと同盟国のコスト負担に置かれていることと比較しても、広範な米国に対する脅威と増進すべき利益を見据えた世界観を提示している。
上院外交委員会に所属し国際関係に精通している。
その意味では、(第1期のティラーソン/ポンペオ元長官と比較しても)戦略を話し合う相手として十分相応しい。
第2期トランプ政権とのケミストリーだけは心配だ。
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