今まで、トータル何冊宮部みゆきの作品を読んできたかわかりませんが
(本棚を見ればわかるけど面倒くさいのです)、しかしすごいのは、どれ
ひとつとして「ハズレ」の作品がない、ということ。
まあ、人によって向き不向きもあるでしょうけど、この『長い長い殺人』は、
ある意味、冒険心にあふれた、といいますか、着眼点が斬新といいますか、
物語の語り手は、登場人物の「財布」なのです。そう、お金とかカードを
入れておく財布。
一人称が財布、ということで、その持ち主の金銭事情がもっとも当事者とも
いえる財布によって語られてゆくのです。
金銭事情だけではなく、よもやまのプライベートな、あるいは「事件」(タイトル
に「殺人」とあるだけに)を目撃する財布。自分に入ってくるお金は、はたして
きれいな金なのか、汚い金なのか。
第1章は、刑事の財布。娘も成長し、薄給なのに無理をして買った家のローンで
毎日が「きゅうきゅう」の生活。もうボロボロになった財布を持ち、仕事に出かけ
ます。新しい財布を買えばいいのにとの妻の言葉にも、身分不相応な家を買った
ばかりに貧乏風情だなと皮肉を言います。
ひき逃げの犯行現場に到着し、目撃者の談を嘘と見抜く老練の刑事・・・
それから、物語は、ひき逃げされ死亡した男の妻、男が通ってたスナックの
ホステス、妻の愛人、愛人の婚約者、その婚約者の甥、等々の登場人物の
財布が語り手となって、一連の殺人事件をなぞっていきます。
あれ、なんだかこの展開、どこかで読んだことがあるな、という既視感があり、
それは、同じ作者の「模倣犯」なんだ、と。
具体的にどこらへんが展開が似てるのか、とぢらもあるいは片方しか読んでない
という方のために明かすことはできませんが、その、なんというか、「策士、策に
溺れる」とだけ書いておきましょうか。
(本棚を見ればわかるけど面倒くさいのです)、しかしすごいのは、どれ
ひとつとして「ハズレ」の作品がない、ということ。
まあ、人によって向き不向きもあるでしょうけど、この『長い長い殺人』は、
ある意味、冒険心にあふれた、といいますか、着眼点が斬新といいますか、
物語の語り手は、登場人物の「財布」なのです。そう、お金とかカードを
入れておく財布。
一人称が財布、ということで、その持ち主の金銭事情がもっとも当事者とも
いえる財布によって語られてゆくのです。
金銭事情だけではなく、よもやまのプライベートな、あるいは「事件」(タイトル
に「殺人」とあるだけに)を目撃する財布。自分に入ってくるお金は、はたして
きれいな金なのか、汚い金なのか。
第1章は、刑事の財布。娘も成長し、薄給なのに無理をして買った家のローンで
毎日が「きゅうきゅう」の生活。もうボロボロになった財布を持ち、仕事に出かけ
ます。新しい財布を買えばいいのにとの妻の言葉にも、身分不相応な家を買った
ばかりに貧乏風情だなと皮肉を言います。
ひき逃げの犯行現場に到着し、目撃者の談を嘘と見抜く老練の刑事・・・
それから、物語は、ひき逃げされ死亡した男の妻、男が通ってたスナックの
ホステス、妻の愛人、愛人の婚約者、その婚約者の甥、等々の登場人物の
財布が語り手となって、一連の殺人事件をなぞっていきます。
あれ、なんだかこの展開、どこかで読んだことがあるな、という既視感があり、
それは、同じ作者の「模倣犯」なんだ、と。
具体的にどこらへんが展開が似てるのか、とぢらもあるいは片方しか読んでない
という方のために明かすことはできませんが、その、なんというか、「策士、策に
溺れる」とだけ書いておきましょうか。