垣根涼介の作品で初めて読んだ「ワイルド・ソウル」に衝撃を
受けて、つぎにデビュー作「午前三時のルースター」に驚きを
おぼえ、そして順番はバラバラですが、この『君たちに明日は
ない』を読み終わり、やはりこの作家は面白いと確信そして感心。
規模こそ小さいながらも確かな実績のリストラ代行会社の村上
真介は、ある建材メーカーのリストラ面接に出向きます。
そこでズバズバと、情け容赦なく「不要」な社員に引導を渡す
べく面接を行うのですが、その中のひとり、課長代理の芹沢
陽子に”興味”を持つのです。
陽子はバツイチ、年齢も41歳と再就職にはなにかと不利。
現在抱えてるプロジェクトを成功させるまで、何としても会社を
去ることを拒否します。
気になるのが、自分は社内のリストラ候補の(どのくらいの位置)
にいるのか、それによっては早期退職の厚遇も受けておいたほう
が得と思い、真介に声をかけると、なぜか陽子は食事に誘われ、
帰りがけにエレベーターの中で無理やりキスされて・・・
真介は、年上の女性と付き合っていた過去があり、若いだけが取り得
の女性よりも年上に惹かれ、陽子にはリストラ面接官と被面接官と
いう関係性がありつつも、どことなく気になる部分があるところに、
自分のリストラの社内順位を知りたいと聞いてきたのです・・・
日本の法律上、従業員に直接解雇はできないので、人事はこういった
リストラ請負の会社にリストを渡し、なんとか「自己退職」という
カタチに運んでいきたいという事情があり、さらには社内派閥を考慮
という部分もあったり。
そんな中、都市銀行のリストラ面接に出向いた真介は、高校の同級生
だった男の名前を見つけて・・・
真介はもともと別の会社にいて、そこで営業職だったのですが、まず
自分が会社に不利益をもたらさない最低限の働きさえすればいいとい
う、あまりマジメではない社員だったのですが、それが現在のリストラ
請負会社の社長の目に止まりスカウトされます。
「自分は往復3時間かけて通勤して自分を犠牲にしてまで会社に貢献
してきたのに!」と訴えるリストラ候補社員。しかし、それはその個人
の事情であって、それが会社の利益とは関係ありません。
会社とは、会社の中の社員という自分とは、仕事とは。リストラという
現代社会の象徴を描きつつも重苦しいわけではなく、シニカルにほどほど
笑えて、かといって言いたい部分はバシッと鋭く。このバランス感覚が
とても読みやすいのですね。
受けて、つぎにデビュー作「午前三時のルースター」に驚きを
おぼえ、そして順番はバラバラですが、この『君たちに明日は
ない』を読み終わり、やはりこの作家は面白いと確信そして感心。
規模こそ小さいながらも確かな実績のリストラ代行会社の村上
真介は、ある建材メーカーのリストラ面接に出向きます。
そこでズバズバと、情け容赦なく「不要」な社員に引導を渡す
べく面接を行うのですが、その中のひとり、課長代理の芹沢
陽子に”興味”を持つのです。
陽子はバツイチ、年齢も41歳と再就職にはなにかと不利。
現在抱えてるプロジェクトを成功させるまで、何としても会社を
去ることを拒否します。
気になるのが、自分は社内のリストラ候補の(どのくらいの位置)
にいるのか、それによっては早期退職の厚遇も受けておいたほう
が得と思い、真介に声をかけると、なぜか陽子は食事に誘われ、
帰りがけにエレベーターの中で無理やりキスされて・・・
真介は、年上の女性と付き合っていた過去があり、若いだけが取り得
の女性よりも年上に惹かれ、陽子にはリストラ面接官と被面接官と
いう関係性がありつつも、どことなく気になる部分があるところに、
自分のリストラの社内順位を知りたいと聞いてきたのです・・・
日本の法律上、従業員に直接解雇はできないので、人事はこういった
リストラ請負の会社にリストを渡し、なんとか「自己退職」という
カタチに運んでいきたいという事情があり、さらには社内派閥を考慮
という部分もあったり。
そんな中、都市銀行のリストラ面接に出向いた真介は、高校の同級生
だった男の名前を見つけて・・・
真介はもともと別の会社にいて、そこで営業職だったのですが、まず
自分が会社に不利益をもたらさない最低限の働きさえすればいいとい
う、あまりマジメではない社員だったのですが、それが現在のリストラ
請負会社の社長の目に止まりスカウトされます。
「自分は往復3時間かけて通勤して自分を犠牲にしてまで会社に貢献
してきたのに!」と訴えるリストラ候補社員。しかし、それはその個人
の事情であって、それが会社の利益とは関係ありません。
会社とは、会社の中の社員という自分とは、仕事とは。リストラという
現代社会の象徴を描きつつも重苦しいわけではなく、シニカルにほどほど
笑えて、かといって言いたい部分はバシッと鋭く。このバランス感覚が
とても読みやすいのですね。