書棚の整理をしていて、家にある本は全部読んだのですが、
タイトルは覚えていても、内容がぼんやりとしか思い出せない、
そんな本がけっこうあることに落胆し(けっこう覚えてる自信が
あったのですけど)、今月は勝手ながら【再読強化月間】と銘
打ち、ブログを更新していきます。
ということで、日本人作家「あ」のトップ、書棚でいうといちばん
左上(五十音順に並べて)に位置する、朝倉卓弥『四日間の
奇蹟』。
過去の「記事一覧」を見てみたら、ありませんでした。つまりこの
ブログを始める前に読んだのですね。
「このミステリーがすごい!」大賞の記念すべき第1回大賞受賞
作品で、単行本、文庫の売上げが累計100万部突破、さらに映
画化もされ、「このミス」は上々の船出、信頼に足る文学賞という
評価を得るようになった(この後に海堂尊という怪物を輩出したこ
とも大きいですが)、まあいわば「試金石」的作品。
将来を嘱望されながら、留学先のウィーンで事故に巻き込まれて
指を失ったピアニストの如月敬輔、その事故で両親を失い、身元
引受人も見つからず天涯孤独となった、脳に傷害を持つ少女、千織。
千織を連れて帰国した敬輔は、ある日、千織にピアノを弾かせて
みると、彼女の“特殊な”能力に気付きます。それは、一度聴いた
メロディを完全に覚えているという、知的障害者に症例の多い「サ
ヴァン症候群」の典型例で、敬輔はそれまでピアノと向き合うこと
をためらっていたのですが、千織に教えることに。
それから敬輔と千織は、全国の施設を巡ることに。
これから向かう施設は、ものすごく山奥にある療養センターで、
そこで岩村真理子という職員と出会います。真理子ははじめは
隠していたのですが、じつは敬輔の高校の後輩で、敬輔の卒業
するときに第2ボタンをもらったのですが、敬輔は覚えていません
でした。
千織のピアノ演奏が終わり、なんやかやでもう一泊することに
なった二人。翌朝、千織は真理子を庭に出て歩いていたところ、
急に大雨となり、運悪く上空を飛んでいたヘリコプターに雷が
直撃、二人のところに墜落してきたのです。とっさに千織を
かばう真理子でしたが・・・
センターに併設している医療施設に運ばれる真理子は意識不明の
重体。千織は多少の火傷でしたが、事故から一夜明けて目が覚め
るも、一言も発しません。
はじめは事故のショックだろうと思った敬輔でしたが、医師や職員
が出て行って、千織が発した言葉は、自分は真理子だというのです・・・
真理子はかつて農家に嫁いでいたことがあり、それ以来、卵が食べられ
なくなる、という一見どうでもいいエピソードが、物語の重要な伏線と
なっているのが面白いですね。
登場人物ひとりひとりが文中にしっかりと「そこに立って」いるような
丁寧な描写。情景もきちんと描かれていて、話の主軸、サイドストーリー
の絡ませ方もスムーズで、再読ながら泣かされてしまいました。
タイトルは覚えていても、内容がぼんやりとしか思い出せない、
そんな本がけっこうあることに落胆し(けっこう覚えてる自信が
あったのですけど)、今月は勝手ながら【再読強化月間】と銘
打ち、ブログを更新していきます。
ということで、日本人作家「あ」のトップ、書棚でいうといちばん
左上(五十音順に並べて)に位置する、朝倉卓弥『四日間の
奇蹟』。
過去の「記事一覧」を見てみたら、ありませんでした。つまりこの
ブログを始める前に読んだのですね。
「このミステリーがすごい!」大賞の記念すべき第1回大賞受賞
作品で、単行本、文庫の売上げが累計100万部突破、さらに映
画化もされ、「このミス」は上々の船出、信頼に足る文学賞という
評価を得るようになった(この後に海堂尊という怪物を輩出したこ
とも大きいですが)、まあいわば「試金石」的作品。
将来を嘱望されながら、留学先のウィーンで事故に巻き込まれて
指を失ったピアニストの如月敬輔、その事故で両親を失い、身元
引受人も見つからず天涯孤独となった、脳に傷害を持つ少女、千織。
千織を連れて帰国した敬輔は、ある日、千織にピアノを弾かせて
みると、彼女の“特殊な”能力に気付きます。それは、一度聴いた
メロディを完全に覚えているという、知的障害者に症例の多い「サ
ヴァン症候群」の典型例で、敬輔はそれまでピアノと向き合うこと
をためらっていたのですが、千織に教えることに。
それから敬輔と千織は、全国の施設を巡ることに。
これから向かう施設は、ものすごく山奥にある療養センターで、
そこで岩村真理子という職員と出会います。真理子ははじめは
隠していたのですが、じつは敬輔の高校の後輩で、敬輔の卒業
するときに第2ボタンをもらったのですが、敬輔は覚えていません
でした。
千織のピアノ演奏が終わり、なんやかやでもう一泊することに
なった二人。翌朝、千織は真理子を庭に出て歩いていたところ、
急に大雨となり、運悪く上空を飛んでいたヘリコプターに雷が
直撃、二人のところに墜落してきたのです。とっさに千織を
かばう真理子でしたが・・・
センターに併設している医療施設に運ばれる真理子は意識不明の
重体。千織は多少の火傷でしたが、事故から一夜明けて目が覚め
るも、一言も発しません。
はじめは事故のショックだろうと思った敬輔でしたが、医師や職員
が出て行って、千織が発した言葉は、自分は真理子だというのです・・・
真理子はかつて農家に嫁いでいたことがあり、それ以来、卵が食べられ
なくなる、という一見どうでもいいエピソードが、物語の重要な伏線と
なっているのが面白いですね。
登場人物ひとりひとりが文中にしっかりと「そこに立って」いるような
丁寧な描写。情景もきちんと描かれていて、話の主軸、サイドストーリー
の絡ませ方もスムーズで、再読ながら泣かされてしまいました。