晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

佐々木譲 『警察庁から来た男』

2014-06-19 | 日本人作家 さ
この作品は「笑う警官」の続編で、前作では北海道警の婦人警官が
警察の”アジト”で殺され、かつて道警の根幹を揺るがす不祥事を
起こした元警部の”右腕”と疑われていた津久井(調査の結果シロ
だった)が婦人警官の交際相手だったということで重要参考人から
容疑者に、さらに射殺命令まで出て、これにおかしいと思ったかつて
津久井といっしょに仕事をしたことのあった佐伯が仲間を集めて
真相を探る、といった話でした。

前作のネタバレになってしまいますが、津久井はなんとか道議会の
特別委員会に出席し、道警の不正経理について証言し、その”見せしめ”
といいますか、警察学校に飛ばされてしまいます。

道警は上へ下への大騒ぎ。というのも、突然、警察庁の特別監察が入る
ことになったのです。

道警本部にやって来たのは藤川というキャリアの警視正。藤川は来て
早々、なんと津久井に監察の協力を要請。

これには本部長も「ヤバイことになりそうだ」と不安がります。なにせ
津久井は過去に”うたった”ことのある、いわば組織の裏切り者。

この監察は、あるタイ人女性が警察に逃げ込んだのに警察は逆に暴力団
に返してしまい、そのタイ人女性はふたたび逃げ出したということが
あって、これが国際問題に発展したのです。

ススキノに人身売買の組織があって、道警と関係があるのではという疑いが
強く、藤川は調査に来たのですが、”いちおう”道警の警官である津久井は、
同僚が暴力団とツルんでいるとは考えられず、しかし起きたことは起きたこと
なので、監察に協力します。

ちょうど同じ頃ですが、福岡からある男性が大通署に来て、自分の息子が
ススキノのビルから転落死した”事故”の再捜査を依頼します。
この”事故”は、ススキノにある風俗店が入っているビルの上階から出張に
来ていた男性が転落死したというもので、”事故”として処理されていたの
です。

この話をたまたま聞いた刑事の佐伯は、再捜査を依頼に来た男性に会うことに。
そして男性がホテルの部屋に帰ると、中が荒らされていて・・・

ススキノでは暴力団排除の目的で(薄野浄化条例)が施行され、健全化に向かって
いると思いきや、警察とツルんでいたとしたら、これは大変なこと。

聞き込みのあたる藤川と津久井。そこで得た情報を照合していきますが、
クロに近いと思われる警官は何人か出てくるのですが、その”共通点”が特に
見当たりません。

そんな中、ススキノの風俗店で転落死のあった件で、新たな動きが。なんと、
”事故”のあった日、店にいた風俗嬢が、亡くなった男性が非常階段の方へ
連れていかされている動画を携帯で撮影していたというのですが・・・

はたして道警と暴力団の癒着は本当なのか。そして、彼らの繋がりはいつから
どのようにして始まったのか。
津久井と佐伯はいっしょに仕事をしたことがあると前述しましたが、警察庁から
の要請で、おとり捜査をやり、しかし逮捕寸前で失敗に終わった、ということが
あったのですが、どうやらその時の件も絡んできて・・・

展開がスピーディーで読み始めたら止まりませんでした。例えが正確かどうか
わかりませんが、A・J・クィネルやフレデリック・フォーサイスばりの面白さ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする