晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

平岩弓枝 『はやぶさ新八御用帳2 江戸の海賊』

2016-11-20 | 日本人作家 は
さっそくシリーズ2作目を読みました。

まずはおさらいから。
主役は南町奉行、根岸肥前守の家臣で内与力、隼新八郎。
(内与力)とは、代々続いている江戸の町方役人、彼らの屋敷がある
ことから(八丁堀)なんて呼んだりしますが、それとは違って、奉行
の直属の部下にあたるのが、この内与力です。

文中では(根岸肥前守の懐刀)なんて紹介されていますが、つまり
同心や与力にちょっと頼みづらいことや内々の探索にはもってこい
ってことですね。

新八郎の奥さんは、幕府新御番組頭、神谷伊十郎の娘で、郁江。
その郁江の兄は江戸城勤務の鹿之助。新八郎とは幼馴染。

例えば新八郎の探索で大名や旗本の誰それはどういった人物で
まわりの評判は、といったことを知りたいときには鹿之助が
調べてくれたりします。

さて、新八郎は、町奉行所の深川方同心、高丸龍平とともに、
桜の名所である飛鳥山に来ています。
深川方とは、まるでベネチアのように縦横に運河が張り巡ら
された深川という町は、大雨や台風でけっこう浸水被害が
あったり橋が壊れたりでその救助や、あとは沿岸パトロール
をする、特別な係。

なぜそんな深川方の同心と、海川とは関係のない飛鳥山に
いるのか?

それは、ここ最近、江戸に入ってくる船が海賊に襲われて、
積み荷が奪われるといった事件が頻発しているのです。
そして、深川の橋に奇妙な張り紙が。

この頃お江戸に流行るもの
地震大水幽霊船
退治したくば飛鳥にござれ
花の下なる平将門

といった、意味不明なもの。
しかし、海賊のなかでも特に(幽霊船)と呼ばれる、神出鬼没で
被害も大きいこれが書かれているのは捨ててもおけまい、という
ことで、飛鳥山に。
まだ桜は満開にはなっていませんが、それでも花見の客はいっぱいいて、
茶店も繁盛している様子。中でも行列の長い茶店があって、新八郎に同行
していた高丸は「あそこはさくら茶屋です」と。

そこのお小夜という女中が「緋桜小町」と呼ばれる美人で、お小夜の父は
本所で船頭をしていて、高丸とは知り合いだったのです。
で、休憩がてら茶を飲み団子を食べていると、そこに武家の女房ふうな
女性が茶屋に入ってきます。そのあとに雷鳴が聞こえて雨に。
そこに五、六人の侍たちが雨宿りで入ってきます。すると大きな落雷が。
店内の人は頭をかかえて体を低くします。
頭を起こすと、さきほどの武家の女房ふうの女性に刀が刺さって死んでいる
ではありませんか。五、六人の侍たちは店にいません。

町奉行同心と内与力が同じ店内にいながら刺殺事件が起きるとは何事かと
軽く嫌味をいわれたりもしましたが、それにしても身分のしっかりして
そうな被害女性の身元が十日たってもわからず。

そんな中、仙台伊達藩の御用船が、江戸湾で幽霊船に襲われたのです・・・

さっそく現場検証に行ってみると、そこに緋桜小町ことお小夜が。船頭である
父の源七にお願いして、船で襲われた現場に行ってみることに。
そして、深川方の高丸と再会し、仙台藩の荷揚げを仰せつかってる「海手屋」
という荷揚げ屋に行って番頭に訊くと、あの日は仙台藩より使いが店に来て、
積み荷は品川で降ろすから大川には入っていかない、と言われたというの
ですが、仙台藩はそんな使いは出してないというのです。

海賊のアジトはどこにあるのか。そしてここ近年急成長した海手屋ですが、
一方で海手屋に得意先を取られて衰退した荷揚げ屋である事件が・・・

そして話はとんでもない方向に。それはそうと、シリーズ一作目に出てた
新八郎が結婚する前に女中奉公に来ていた、じつは新八郎はその女中、お鯉
のことが好きだったのですが、結婚してから自分の想いに気付いて・・・
みたいな話だったんですけど、そのお鯉は出てきません。まあその代わり
といっちゃアレですが、今回の「ヒロイン」は、緋桜小町ことお小夜。
お小夜は新八郎に恋心を抱いているのか、なんかそれっぽいシーンもあって、
このシリーズは、毎回違う女性が出てきて、事件のカギを握っていて、
新八郎とちょいとそういった感じになる、そういう構成なんでしょうかね。

まあそれは別にして、この江戸ミステリは読み応えがあります。
「御宿かわせみ」の短編もいいのですが、長編もまた違った味わいで
いいですね。


コメント
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